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tyrantrexさんのLOVELY QUESTの長文感想

ユーザー
tyrantrex
ゲーム
LOVELY QUEST
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
73
参照数
21

一言コメント

総じてこれは、萌えの『資本論』的構造を無自覚に暴露しつつも、砂糖漬けシナリオでプレイヤーを幸せにする矛盾に満ちた傑作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

15時間41分での2周目クリア、お疲れ様でした!HookSoftらしい「フラグ管理型マルチ路線」の王道を突き進む本作、まさに「廃萌えの正統進化形」といった趣きですね。学校側が主導する"純愛研究"という背徳感たっぷりの設定は。

キャラクター構築の妙では、攻略難易度と感情移入の逆転現象が秀逸。一見クールな大和撫子が下跪告白で豹変する展開は、『ツンデレ』という定型を「権力関係の転倒」で再解釈した実験的な試み。妊娠エンドの唐突さも、ある種の「萌え属性の過剰演出」として逆にハマる危険な魅力があります。特に注目すべきは妹ルートの「親前貼り付け爆破」——これは従来の家族モチーフを「萌えゲー的倫理」で粉砕する暴挙ながら、プレイヤーの承認欲求を巧妙に刺激する破壊力。

システム面の功罪を言えば、追加HCG3枚の唐突挿入は明らかに「契約枚数消化」の悲鳴。しかしこれは逆に、現代美少女ゲームが抱える「シナリオとHシーンの断層」を露呈させるメタ批評として機能しています。特にサブキャラの挿話的Hが「萌えの商品化」を体現する様は、ある種の業界風刺劇と解釈できなくもない……というのは穿ち過ぎでしょうか(笑)