色々独特的だったけどまとめが良く、面白かった
まず主人公が不良というのも中々面白く、学生なのに酒を飲むわ暴言にセクハラじみた事を言ってくるわでそのスタンスでかなり笑わせてもらいました。序盤であった死ねを恥ずかしいぜと解釈した綾のように、暴言の裏には暴力的な意味合いはなく、大半が照れなどの気持ちを隠しているときによく使われており、特に不快感がなかったのがよかった。
本作は復讐の物語だとOPや初雪の言動から思ってたのですが、前提として初雪そのものがそこまで死者への弔いなどに命を懸けているわけではなく、父親がむしろ復讐に取りつかれた設定となっており、その父親に言われた被害のあった人たちがよみがえるという付加価値を主人公が求めていることからやっぱり復讐からは離れているんですよね。(ラストで初雪は復讐をしたかったわけではなく、自分の居場所となる人がほしかったと語っていますし)
「死者が生者の夢を見ることだってある」という言葉。特に響きました。
主人公がゴーストチャイルドだからこそ死者の言葉に耳を貸して死者の無念に使命を遂げるように、桜も世に亡き者として初雪に思いを乗せて卒業まで寄り添っていった。そしてあの時に犠牲になった人たちが自分の夢を見てくれているならば、春へ行くと、このクソったれな世界を生きてもいいかもしれないと父親と決別し、未来へ前進していくのがたまらなく好きです。
物語としては決してハッピーエンドというわけではありませんが、ナツユメナギサと同じく、気持ちよく前向きな気持ちになれる作品でした。