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tsubame30さんのうそつき王子と悩めるお姫さま –Princess syndrome–の長文感想

ユーザー
tsubame30
ゲーム
うそつき王子と悩めるお姫さま –Princess syndrome–
ブランド
Whirlpool
得点
60
参照数
454

一言コメント

なかなか面白い設定だが、設定だけで終わってしまった。もっと踏み込んで欲しかったです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「お姫さま病」という設定自体はなかなか面白そうで、
七烏未奏らしい思春期ウジウジ全開な展開になりそうだぜ、と期待していました。
しかし、凝った設定の割には、お話にはほぼ影響せず、
たまにバトルします程度でしかなかったのは非常に勿体なかった。
ギャグ要因が星子だけで、かつハマらなかったのも痛い。
展開自体もあっさりしたもので、クライマックスや~と思ったら次の瞬間には収束してる感じでした。

もっと病理自体と向きあう流れが欲しかったです。ヒロインにしろ、主人公にしろ。
ヒロインの「病理」、「王子」の能力、主人公の「うそ」だとか、もっとがっつり掘り下げて盛り上げる余地はあったはずなのに、
むしろネタ的には七烏未奏の真骨頂であるはずなのに、
なぜそこをスルーしてしまったんだ、というのが正直な思いです。

いやまあ、「これ、そういうゲームじゃないんで」と言われたらお手上げではあるんですけどね……。


シナリオに関してツッコミたい点が2つ。

泉編とリイナ編の展開自体がほぼ同じっていうのはいかがなものかなぁ、というのがまず1つ。
首謀者もネタも動機も全部同じ。ループするという点も同じ。ストレートに飽きます。

泉編のラストで、泉の家族のことを全部「うそ」でうやむやにして幸せに暮らしたというのがもう1つ。
『親のことがあるから、ループして楽しい時間をずっと暮らす』っていう「うそ」を否定して獲得したものが、それかよっていう。
泉の親という現実を向きあった上で泉との生活を獲得しろよ、とは思いました。
「うそ」を否定したいのか肯定したいのかわからない。
この自己矛盾は致命的だと思います。