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tsubame30さんの終わる世界とバースデイの長文感想

ユーザー
tsubame30
ゲーム
終わる世界とバースデイ
ブランド
コットンソフト
得点
100
参照数
4006

一言コメント

あなたの誕生日を入力してください。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

誰しもが、後悔します。
後悔しない人はいないと思います。
それに囚われることも、無理もないことです。
やり直したいと思うのも、仕方がないことです。

ミカのような、勢いで言った心にも無い言葉だったり
柊のような、父に対する意固地な態度だったり
ナルのような、怠慢や注意不足だったり
和臣のような、本当に、取り返しのつかない過失だったり。

誰しもが間違いを犯し、後悔をします。


でも、その都度その都度、
自分が選択してやってきたことは間違いないのだと思います。
自分が考え、悩み、生きた、それらが積み重なった結晶であるのは、間違いがないのです。


和臣は、イリに名前と誕生日を与えました。
名前と誕生日は、その人を特定するもの
入莉の代替物でなく、「イリ」という人格、生を与えました。
そして、イリは和臣に、ハッピーバースデーを残し
「兄さん」の生き様を祝福しました。



誰もが、先の見えない今を生きながら、後悔します。
過去に囚われて、停滞したくなる時もあります。
でも、「自分が自分として」、何かを成そうとしたことは間違いありません。


僕には、そんな何かをなそうとする姿勢こそが「生きる」ことなのかなぁと。
そして、「生きることの肯定」こそが、愛情なのかなぁと、
そんなクサすぎて、ちょっとアレなことを考えるのでした。


このゲームは、最初に誕生日を入れる項目があります。
ゲーム内SNSなんてちょっと考えただけでも面倒なシステムを取り入れたのは、
最後のシーンを、できる限りサプライズにするためだけにやったのではないかと邪推してしまいます。
最後の最後に、僕の誕生日を、「イリ」に祝ってもらえました。


「ゲーム」としてではあるけども、
単なるプログラムではあるけども、
僕の現実の問題が解決するわけではないけども、
現実では後悔だらけの僕のことを肯定してもらえたようで、
なんとも言えない感謝の念でいっぱいになりました。


ありがとう。本当にありがとう。
私には語彙が足りません。
この作品から受けた感動を、これ以上ちゃんとした文章にする力がありません。
ただただ、このゲームに出会えたことを感謝するばかりです。