色々気難しいゲーム。システムやインターフェースがプレイヤーに優しくない。 しかし、ゲーム性の発想は非常に良く、心意気も感じる。ストーリーも楽しめた。 思いのほか血が流れるので苦手な人は注意。
無駄に長くなったので、最後に6行で簡潔にまとめました。
全部読むのが面倒な人はスクロールバーを下へ送ってください。
このゲームの評価の明暗を分けるのは、最も特徴的な「キーワード」「運命量」「フローマップ」の3つのシステムです。
面白いです。素晴らしい試みだと思います。
しかし、製作側も不慣れなのかユーザーに優しくない仕様が多く、これが非常に偏差の高い評価の要因となっています。
まず、キーワードが無駄に多いです。
これはやり込み要素うんぬんとか、舞プラス(造語)の楽しみを拡大させる効果うんぬんとか、まあ許せるところではあります。
問題なのは、ただ五十音順「あ行・か行」に並べてあるだけ、という点です。これが思いのほか負担なのです。
「取得ブロック(リスタートポイント単位)」「人物・動詞・名詞」などでパレットを選択することができれば、
プレイヤーとしてはかなり快適になります。
これを始め、インターフェースにはわかりにくい部分・不便な部分も多く、改良の余地があるように思います。
加えて、事象移動およびキーワードドロップによって、運命量が減るということです。
仕様に文句をつけるのは心苦しいのですが、このシステムはプレイヤーの試行錯誤を否定する仕様です。
キーワードを投げない、事象移動しないプレイの方が運命量枯渇からの戻しがない分、圧倒的に快適です。
頑張って読み解こうという姿勢をもつと却ってビハインドを背負うこのシステムは過酷だと思います。
現状、運命量システムって、実はユーザーにとっては枷でしかないんですよね・・・。
あとは、「ロストⅢ」ですか。
ゲームとしては価値あるシーンだとは思いますが、あれにぶち当たったプレイヤーのハートブレイクを思うと難しいところです。
僕は初回プレイではワイヤーで回避できましたが、そうでなければどのくらい点数が下がっていたことやら。
そもそも、フロー消すにしても「ミツキウサギⅠ」以後だけでよくないですかね?
「推理Ⅲ」やり直しとかダルくてしょうがないんですけど・・・。
あとは、仕様と難易度の乖離がありすぎます。
最初サキのリフォーム手伝い分岐に行った人が、ノーヒントで眠り店主ループを抜けられた人はどのくらいいるのか。
一葉がトラックに轢かれてショックを受けている和奏の気を、ノーヒントで引けた人がどのくらいいるのか。
前述の試行錯誤否定システムもあって、ヒント無しでの自力解決は相当難しいと思います。
しかしヒントを使うと最後に舞プラスできない。
(※追記 舞プラスのところで「すべてを無かったことにする」使えばHintだけ初期化されるらしいです……気づけるかっての!!)
ノーヒントでも、和奏が一葉の頚動脈ざっくりCGを逃したまま一葉グッドエンド到達するとフルコンプは詰む。(一葉の頚動脈ざっくり分岐を自力解決できた人はマジですごいと思います)
ちょーっと厳しいなぁと思いました。
もっとも、難易度の調整は難しいというのわかるので、ある程度仕方が無いことだとは思います。
ちなみに僕は、「二人の行き先」到達までは、たまにヒント投げて基本自力、それ以後は攻略サイト参照でフルコンプに向かいました。ヒントを使えばなんとかなると感じる難易度で、かつ初回でロストに引っかかることもなかったので、結果論的にはかなり快適にプレイできた側だと思います。
どのようにプレイしたか、どこで詰まったかは、このゲームの点数に大きく影響しそうなので、各プレイヤーの点数の意味には注意したいところです。
さんざん文句を言ってきましたが、「どの言葉を投げるべきか」を悩む過程は面白かったです。「名波咲」「クオリア」セットを自力解決できたときは「おっしゃ!」と内心でドヤ顔できました。うまくはまればすごく気持ちのいいシステムです。
あと、かなりプレイヤーに無理を強いてきた道中の失点をかなり挽回しうるのが、最後の「古色迷宮輪舞曲」通称舞プラスです。
言葉を投げるという小難しいシステムが、一気にシンプルになった瞬間であった。
さんざん運命彷徨わされた後ということもあり、かなり威力あります。舞さんがエロかわいい。
もう少し試行錯誤を認めて、ストレス軽減を図るよう調整できれば、もっともっと良くなると思います。
進化の余地を大いに残すシステムだと感じました。
製作側も大変とは思いますが、これに懲りずに、こういった意欲的なゲームデザインに挑んでいって欲しいと思います。
ストーリーですが、僕にはかなり難易度の高いものでした。
もう時系列が脳内で整理できなくなってぐしゃぐしゃになりました。正直ちゃんとわかってません。
木箱の話とか、「あれ? なんで舞さん耳塞がないといけないの?」とか思ってました。
僕の慣れや理解力うんぬんもありそうですが、単純に説明不足なのでは? とも感じます。
ただ、この試行錯誤するというゲームシステムゆえか、わからないなりに愛着は沸くものでして、
「運命の輪」の最後の一直線はしみじみと楽しませてもらいました。
最後に各ヒロインのグッドエンド分岐をやり直せる、というのも面白いですね。
あと細かいところ2点。
・美星さんのエッチシーンがないのは、どうなんだろう? 宣伝やホームページ的にだいたいあると考えそうだけど、不満は出なかったんでしょうか?
・一葉の鏡の国うつむき体育座りCGで思わず、ギョッ!としたのは僕だけではないと信じたい。「だ、誰!?」って思ってしまった。一部CGにイエローカード出てたように思います。
<6行まとめ>
・「どの言葉を投げるべきか」を悩む過程は面白い。
・キーワードパレットをはじめインターフェースは改良の余地がある。
・運命量システムは試行錯誤を否定するもので、プレイヤーとしてはつらい。
・ヒントを前提とした難易度、コンプ阻害要因が多いのが厳しく感じる。
・ストーリーは説明不足な部分もあるが、十分に楽しめるものだった。
・文句ばかり書いたが進化の余地を大いに残す意欲作であり、今後もこのような意欲的なゲームの登場に期待したい。