不思議な世界観、魅力的なグラフィック、鉄板の声優陣でお届けした安定感のある仕上がりで、 終始楽しくプレイすることができました。素晴らしい。
この作品のキモはやっぱり雰囲気と世界観だと思うんですよ。
PULLTOP藤原ラインに近しいものを感じる「優しい町」の雰囲気。
「かみのゆ」はそれに「かみさま」という和風かつ幻想的な世界観を織り交ぜることで
独特の空気を醸し出しています。
一番の魅力はここかなぁと。
そして、AKINOKO.氏の特徴的なグラフィックが活きています。
とても雰囲気出してて、コロコロ表情変わって、それが可愛いったらない。
加えて声優陣がもうド鉄板。
これまで、脇を固めることの多かった美月さんがメイン攻略ヒロインの声を担当していて
個人的に感慨深いものがありました。
あと、いいなぁと思ったのは、セリフが吹き出しになるあのシステム。
グラフィックが良く見渡せてセリフの機微も表現できる。
多分スクリプターさんが血を吐いたんじゃないかと知識がないなりに想像します。
たまに花が咲くあの演出もいいですね。
シーンの情景の表現でなく、画面を見せるためだけの表現をいうのは何気にあまり類を見ない気がします。
褒めちぎってばっかりですが、ちょっと痛かったのがシステム面。
マウスホイールで送れないというのは個人的には辛かったです。
パッチがあることを後ほど知って導入するとセーブが使えなくなったり、
ちょっと動作が不安定になったりしてしまいました。
非常に欠点の少ない本作品のキズになってしまったことが惜しまれます。
キャラの話をすると、
女の子に少しずつ「かみさまゆえの変わってる部分・メンドくさい部分」があって、
それがキャラをオンリーワンたるものに仕上げてるなぁという感覚があります。
それでいて、重くならないよう配慮してるのがいい塩梅だなぁと。
例えば乙女なんて、そのまま使えば二重人格というちょっと重い感じになりますが、
「かみさま」の世界観をうまく使ってコメディ感を崩さないようにしてあります。
世界観とキャラを相互に立てあっているのが作品全体に活きています。
今回ここまで点数が伸びた一番の要因は、みんな可愛かったことなんですよね。
複数ヒロインゲームってなんだかんだ言いながらも、「アタリの娘」ってだいたい1人
うまくいって2人とかそんなもんになっちゃうんです、僕の場合。
極端な言い方すると、半分以上は消化試合になっちゃうんです。
「かみのゆ」はみんな可愛かったんですよね。
デレデレになって貫録もなにもない籐子も
ウェディングドレスに目を輝かせる乙女もすごく可愛いかったです。
男の娘は苦手も苦手なんですけど、
本質は女というエクスキューズがあるからか、杏里も可愛いと思えました。
ルート前/後での落差が最も大きかったのがあや乃でした。
異形の姿、絵をバリバリ食べる姿、率直な物言いで、当初は「……おおう」でしたが、一転すれば、一途で素直な女の子。
絵をずらしてぎこちない笑顔を見せるあのシーンはかなり好きです。
そんでもって、共通スキップしててもちょいちょい止まるんですが、
なんで止まるのかって、ヒロインとの呼び方が変わってるだけだったりするんですよね。
製作陣に配慮されているというか、すごく大切にされてるというか、
そういう画面外の優しさすら感じられるようです。
変わった世界観と設定を据えながらもコメディであることを貫き
魅力的なヒロインを優しい雰囲気が存分に堪能でき
グラフィックや画面演出もそつなくまとまった
とても優れた一品でございました。面白かった!