面白い。面白いけど感動はない
呪術云々の設定は、実在した文献を引用して説得力を補強していて、エロゲにしては練られている方だと思う
呪術が便利すぎて、ご都合感もそこそこ気になるが、ファンタジーの魔法のカラバリと考えればこんなものだろう
登場人物は主人公含め曲者揃いで、個性は立っててキャラとしては面白いが感情移入もしにくい
だから死んでも生きても感動は薄かった
老齢で狡猾な登場人物達を持て余さず、台詞回しに貫禄が漂っていたのは良かった
ただ、刑部というキャラ、
理性的な態度の裏に底知れない狂気を内包したトリックスターとして魅力はあったが
結局、回想で偲の家で暴れてた時がピークだった
この所業が家族を体験したかったという月並な理由だったと明かされたまでは耐えられたが
終盤に取ってつけたような過酷な生い立ちや家族を知りたかった動機みたいなのが語られたのが残念
狂人の行動原理にプレイヤーが納得・共感できちゃう理由付けをされると
急に俗人に見え神秘性やカリスマが失われて陳腐に映る
END分岐は大団円の鳴文√と救いのない吐月√
選択肢として介入できるわけでもなく、2つの結末の違う√がスタート画面にただ並べられているので
プレイヤーとしては何が分岐の理由かも分からず「どっちが正史?」感が残る
先に鳴文√をやってしまったが後味が悪いので吐月√を先にすればよかった
長々と世界観や設定を組み立ててきた割に最終盤のテキスト量は少なくあっさり終わるのでイマイチ余韻もない
鳴文√の最後はインターネットを使ってシヅの呪力を分散させて倒すというオチだけど
流石にスマホ片手に呪言を唱えるのはシュールすぎる
最後に槐と会えてよかったね~な終わり方をしているけどこの謎空間の説明もないし鳴文に感情移入もできてないので感動がない
吐月√は大体のキャラが凄惨な死に方をする上、別に吐月にとっても鳴文√より良い終わり方というわけでもない
名前で分けた意味が分からない
普通にグッドエンド・バッドエンドで良かっただろう
吐月追ったらバッドになる理由も分からない
叔父×珠夜、シチュはいいのに行為が2回で終わったのが個人的に残念
軍神もワンパターン戦法で牛裂きヒル消化液以外のバリエーションを見せて欲しかった
絵は着実に上手くなっていて以前まであった芋っぽさがないのが良かった
軍神、刑部の家族ごっこ、廃人晴茂、母子相姦、希美ビデオ、等々心を抉るトラウマシーンが盛り沢山
他じゃ見れないものを見れて面白いけど
特に感動することもなく
今ひとつ名作にはなりきれないといういつものクロアプ
気持ちよく主人公が救われない=カタルシスに乏しい作風である限り
読後感はどうしてもすっきりしないので名作と思わせるのは難しいだろう
キャラの生死に関してはご都合主義を出さない(重要人物があっさり死ぬ)し、
かといって生死を感動的に描くわけでもないし
徹底して陰鬱なシリアスなのでコメディ的な面白さも皆無
だからこその魅力もあるとはいえ
結局はそこそこ楽しめるけど好きにはなれないという評価に落ち着く
そんな作品ばかりでマンネリと閉塞感を覚えるので
たまには毛色を変えてダークな世界観でもハッピーエンドな作品とか見てみたいが
ブランドの色になっているし
多分やらないんだろうなぁ