評価が難しい。浅い楽しみ方は出来たけど、深いテーマは自分には刺さらなかった。
木村母も屑だけど精神が歪む背景がある分同情の余地がある一方で
理沙父があまりにも屑、どうしようもない邪悪
見て見ぬふりをしている理沙母も負けず劣らずの屑
目立たないけど木村父も当然のように母子を見捨てる屑
屑親のオンパレード、いや
屑親カーニバル
開 幕 だ
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二重(+α)人格の主人公とヒロイン、3つの視点で描かれる逃避行物語
逃避行と言っても隠れ家を変えてくような逃避行はほぼ描かれずヒロインに匿われている期間がほとんど
DID設定は最初は一応隠しているが、(そもそも大して隠す気もないだろうけど)最序盤に察しが付くためトリックモノというレベルではない
狂気が紡がれる学編、凄惨な過去と種明かしの武編、悲劇のヒロイン理沙編、とそれぞれの視点でうまく三段階に分解され徐々に彼らが見ている世界の理解を深める構成になっている
全編通して狂気と論理性が奇妙に融合した心理描写が非常に流暢かつ巧妙
理沙の家の数日間で出来事がほぼ完結する上、登場人物も少ないクローズドな舞台なので、回想や別視点で文章量は膨れているものの物語としては短編
DIDというテーマを限界まで活かしつつ、上手く世界を広げてキャラを増やし鬱要素を減らし長編コメディにしたのが俺つばだったんだな、あれは随分とCARNIVALを意識(パク・・・リスペクト)していたんだなと。すば日々は毛色が違う気がする
分岐しても報われないBAD√ばかりだが、泉√と最終√はそれなりに救いのある(ように見える)締め方になっている。
故に陰々滅々とした展開が続いた割に読後感は爽やか寄り。
ただ、ある程度逃避行の成功が描かれた泉√と違い、最終√はその後が一切描かれないため、やや消化不良感。
現実的に逃げ続けるのは不可能と思えるが、2000年代初頭なら逃げ切りもあり得なくはないのか・・・?
と、思ったら7年後まで逃走した小説版があるとのこと
泉は魅力的なヒロインだし、泉√もイイハナシダナーとなったけど
理沙√を見てしまうとやっぱり理沙√がTRUEだな、となる
学と理沙への虐待描写は凄惨で生々しく鬱と言えば鬱だが、
鬱展開がインフレした作品で溢れている昨今、さほどショッキングには感じない。
学は狂いつつもメンタルは冷静で、理沙共々なんだかんだポジティブな振る舞いを見せるので、表面上の雰囲気としては、陰鬱さもあまり感じない。
本題となるが、この作品で感動や心に残るものがあったかと聞かれると、そうではないという答えになる。
我慢を続けてきた理沙が、紆余曲折の末に本心を学に打ち明け、学もそれを(一応)受け入れ、2人で(一応)ニンジンを追いかけて生きていこうという(一応)前向きな結末になったことに、一定のカタルシスは感じたものの、涙が出るとか、鳥肌が立つとか、そういう方向での感動は無い(そもそも泣きは狙ってもないだろうが)
確かに面白かったけど、その理由は哲学的な話ではなくて、狂気に染まった心理描写や虐待のリアリティ、暴力や凌辱といった、サスペンスフルで直情的に訴えてくる描写によるものが大きい。
「幸福は手に入らない」という話を、悲惨な生い立ちがベースとなっているキャラで語られても、現実の自分とは、境遇が違いすぎて、共感できない。あくまで他人事に感じられるため、衝撃はあっても実感として心には響かない。
このレベルで不幸な境遇を経験した人は、感じ入るものがあるのだろうか。
(小説版のオチを知ると)物語として見ても「不幸なキャラは幸せになれない」という鬱屈した話で終わり、自分にポジティブなリアクションは生まれない。
好みの問題でしかないが、主人公が苦労する話は好きだが、それは最後に報われるカタルシスがあるからであって、それがないならただ暗い気持ちになる。
結局、狂気を描いたサスペンスモノ、バイオレンスモノとして、表面的な楽しみ方はできたけど、
幸福云々の哲学的な話はイマイチ響かず、ストーリーとしてもエロゲというエンタメで味わいたいものとはズレており、自分に刺さる作品ではなかった
小説版について
この作品のために数万出そうとも思えなかったので、いくつかレビューを見て大筋だけを知った
読んでないものに言及するのもなんだが、結局救われずに終わるというアンサーを明確に出すのであれば、希望を残すかのように濁したゲームの締め方はなんだったのだろう。元々後日談を書くつもりはなかったのか。そうでないなら分割せずにゲーム内で完成させて欲しかった。とはいえ、自分にとっては、仮に読んだとしても、劇的に評価が変わることはないだろう