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tourouさんの智代アフター ~It’s a Wonderful Life~ CS Editionの長文感想

ユーザー
tourou
ゲーム
智代アフター ~It’s a Wonderful Life~ CS Edition
ブランド
PROTOTYPE
得点
95
参照数
574

一言コメント

こんな美少女ゲームがあるのかと衝撃を受けました。たぶんこれ以上の作品に出会うことはないでしょう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオと音楽のシンクロ度が半端じゃないです。
特にold summer daysが流れた瞬間は鳥肌が立ちました。
END後にメニュー画面で流れるhopeを聞いた時も胸が締め付けられるような感じでした。

前作では智代の強さと朋也の弱さが目立っていましたが、この作品では逆に成長した朋也の強さと智代の弱い部分が印象に残ります。(最終的には智代がとても強くなるわけですが)

万人に受け入れられる物語の終わり方ではありませんが、私はとても感動しました。
声優の演技も素晴らしいです。

いつまでも忘れられない作品になりそうです。


追記
他のユーザー様のレビューにあった「朋也が死ぬ必要性はあったのか」という感想に対してそこで返信したものをそのままコピペしておきます。
これが私の一番言いたいことでもあったので。


私はこの作品のテーマが「人生の宝物と共に智代が得たものは何なのか」だと思っています。

物語の終盤、智代は記憶をなくした朋也とのやりとりのなかで永遠の愛(=人生の宝物)があることを確信してそれを手に入れることができました。
その後朋也の手術が成功して皆が幸せになり、大団円を迎えてHAPPYENDというのも一つの終わり方ですが、
麻枝氏がそうしなかったのは「智代アフター」を智代の物語として終わらせ、作品のテーマを重視したかったからだと思います。
それを象徴しているのが、最後に智代がタイプライターでメッセージを打つシーンです。
このシーン(と歌の歌詞)から私は

・朋也が死んでも彼に対する智代の永遠の愛が決して揺らぐことはなく、一人で生きていく糧と強さを智代は手に入れていた。
・短い間だけでも朋也と共に生き、永遠の愛を手に入れることができた智代は幸せだったし、それがある限りこれからも幸せなんだろう。

このように感じましたし、この智代の成長がテーマに対する答えなのかなと思いました。

だからこういうメッセージ性(私の勝手な解釈ですが)を持たせるためには朋也は死ぬ、あるいはそれに近い状態である必要があったんじゃないかと思います。
隣に元気な朋也がいて、「例え彼が死んでも永遠の愛があるから大丈夫」なんて言われても説得力がありませんしねw

まとめると、この物語は二人で生きていくHAPPYENDではなかったけど、
智代が一人でも生きていける糧となる人生の宝物を手に入れることができたGOODENDだった
というのが僕の考えです。
稚拙な文章ですみません。

あと、PS2版ではED後にエピローグが追加されていましたが、この完全版ではそのエピローグが省略されているのでしょうか。(買ったもののまだプレイしていないので……)
作中で朋也が亡くなったとは明言されていませんので、エピローグの解釈の仕方によってはHAPPYENDともとれると思いますよ。