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toto712さんのぐらタンの長文感想

ユーザー
toto712
ゲーム
ぐらタン
ブランド
コットンソフト
得点
60
参照数
319

一言コメント

コメディに定評のあるコットンソフトが正面からバカゲーに挑んだ意欲作・・・のはずだったが、主人公のキャラに頼った笑いはこのメーカーの作風から考えると違和感が拭えなかった。ラストの着地もやや失敗した印象で良作と呼ぶにはやや辛い作品となった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ナツメグ・ナギサのに続くコットンソフトコメディ路線の系統に属される作品・・・といっても前2作がコメディ&ハートフルがバランスよく混ぜあわせた印象が強いのに対し、このぐらタンはバカ色の強い作品となっています。いや序盤プレイする限り純粋バカゲーといっても過言でないくらいのバカっぷり。ライターがここまでバカに徹するとは正直意外でした。

ただぼく的には正直この笑いがあまり合わなかった。これは主人公のキャラクターによるものが主要因で、かなりアクが強い・・・というよりあまりのセクハラ言動がどうにも趣味から外れてしまっていたからです。
これまでのコットンソフトの笑いというのはここまで強引さを伴ったものではなくて、会話の軽いテンポによるどちらかというと優しくクスリとさせるものでした。それがバカゲーとしての意識を強く持つと、ここまで不自然な笑いとなってしまうかと思うと残念でなりませんでした。

といっても最初に攻略した桐花ルートはそれほど悪くありませんでした。彼女とそのライバルである華梨との抗争はバカバカしくもホロりとさせられるフ部分もあって出だしに関しては好調といっても差し支えないデキでした。
ただその好調が次のルートまで続かなかったのが痛い。岬子&蒔紀もヒロインキャラクターとして悪くないのですが、桐花が変身する妖精と比べるとインパクト・・・というよりバカバカしさが薄い。その分、主人公がストーリーをかき回すことになるのですが、序盤から続くセクハラ言動の応酬にいいかげん飽きて・・・いや疲れてしまったのですね。下ネタは要所で入れると絶大な効果を発揮するのですが、あまりに多用すると逆効果となるのはよくある事。この作品もその例に漏れなかったのです。

そんなルートを経てプレイすることになったみのりルートはライターの海富一氏らしい考えさせられるものでした。変態紳士な主人公とみのりの保護者を自称する変態淑女の新とのやりとりはかなり笑わせてくれてラスト前を飾るには相応しかったと思います。ただぼく的にはみのりのキャラクターがぼくの趣味から遠いものだっただけに、のめりこむほどではなかったのですが・・・

そしてこの作品のラストを締める涼芽ルートですが、正直最後に持ってきたにしてはやや期待ハズレだったといえるでしょう。
これはこれまでの展開で伏線を収束させることに捉われすぎて、ヒロインの涼芽の魅力についてほとんどスポットライトを当てなかったことにあると思います。序盤から主人公に対して病的なほど尽くす涼芽ですが、その彼女の心情と主人公の言動がかみ合わなかったのも痛く、そんな不遇ともいえる涼芽になお不幸を背負わせるような最終ルートの展開はストーリー的にも好感を呼べるものではないような気がするのです。

(総括)

バカゲーとみるならば主人公の言動もある程度は許せるでしょう。ただ最後ハートフルな展開で締めたいとするならやはりやり過ぎの感は否めません。知名度等を考えると今回のバカゲーへの挑戦は失敗に終わったといっても差し支えないと思うのですが、ぼく的にはコットンソフトのコメディ路線は嫌いでないだけにまた復活してもらいたいと思っています。