ライターこそ変わっているが、TSを薬籠中のものとしているクラウドの作品ということもあって軽いコメディとして楽しめる一品に仕上がっている。ただこのゲームの特性上乙女ゲーに近い仕上がりとなっているため、耐性の無いユーザーがプレイするのはやや厳しいかもしれない。
かつて赤崎やすま原画のX Changeシリ-ズで一世を風靡したCROWDの作品だけあって、性転換ものとして手堅い作りとなっています。
主人公が性転換するということは当然女性視点で進むシーンが多くなるわけですが、こうしたジャンルで成功を収めるにはいかにこの主人公を可愛く見せるかということに懸かっているわけで、そういった意味ではさすがCROWDは手慣れているなと感じさせてくれるような可愛い主人公っぷり。女性になってとまどう姿や勇者に見せるツンデレぶりはプレイヤーに彼が元は男性であったことを忘れさせてしまうほど。これだけである程度の成功は約束されたといっても過言ではありません。
ただ問題は女性に性転換した主人公の魅力がありすぎて、何か主人公が男性に戻るのがもったいなく感じられること。というより男性主人公にあまり魅力を感じないことが問題なわけですが、女性と男性のリバースがキモとなるTSもので片方が魅力がないというのはジャンル的に間違っている気がしないでもないです。リバーシブル服が表裏ともデザインが良くなければダメなように、片方だけ楽しめてもそれだけで成功とはいえないのがこうしたジャンルの難しさなのかもしれません。本来ならばこうしたジャンルの王道としては主人公が男性に戻るのがトゥルーエンドのはずなのですけど、勇者と結ばれるのが一番のハッピーとプレイヤーに思われてしまうのはTSものとして考えるとちょっとどうかと考えてしまうのです。
というわけであまりに女性主人公のキャラが立っているがために、ゲーム全体が何か乙女ゲーに近い雰囲気を漂わせています。まあぼく的には乙女ゲー耐性を十二分に持っているのでそれはそれでOKなわけですが、わざわざこうしたゲームを買うわけですから、乙女ゲーと同類項で括られてしまうようではちと苦しい。
ぼく的には主人公には可愛さをウリにするだけでなく、男性キャラを手玉にとるような小悪魔的側面を見せてくれた方が良かったと思うのですが、このあたりは趣味の問題かもしれませんね。
(総括)
典型的シチュエーションコメディの作りとなっているわけですが、こうしたジャンルにありがちな中盤以降に入っての息切れが少なかったことはプラス材料。ただ設定や世界観に頼りすぎてテキストとしての笑いはやや不足気味。ドタバタコメディとしての笑いはあるものの質としては余り高くない。それでも主人公の可愛さに関してはガチで、それだけを取り上げれば並みの乙女ゲー以上のデキ。ただ惜しむらくは相手役に可愛いタイプの男の子が居なくて主人公が受け専門となっていたこと。もう少し女性(主人公)上位のHシーンが欲しかったとぼく的には思っているのですが・・・