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tosato712さんの素晴らしき日々 ~不連続存在~の長文感想

ユーザー
tosato712
ゲーム
素晴らしき日々 ~不連続存在~
ブランド
ケロQ
得点
90
参照数
570

一言コメント

最初は謎が多すぎてというか、ホラーというかサイコ的な雰囲気で戸惑いながらプレイしてましたが、すべて終わってみるとすごく爽やかというか、最初のころと全然違う感覚です。わりと考察要素多めですが普段あまりこういう考察しない自分でも楽しめたゲームですね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

以下各章ごとの感想です。

まず1章。序盤女の子達がいちゃいちゃしまくってたのであれ?これ百合ゲー?と思いながらプレイしてました。まあざくろの自殺があってからは一気に雰囲気が変わって、これはなかなか謎が多いゲームだなあと。由岐が抱えてたはずの鏡がぬいぐるみになったところあたりは本当にわけがわかりませんでした。とにかく1章は謎が多くてわからないまま終わってしまったという感じでしたね。

続いて2章。正直2章の中盤あたりは電波すぎてというか卓司の行動や言動に精神がやられそうになりました。でも、希実香との関わりで徐々に雰囲気が変わっていったというか、救われたような感じです。
希実香は卓司のことを救世主様と呼んでいたけれど、卓司にとっては希実香が救世主だったんじゃないかなと個人的には思ったり。2章の希実香ENDはENDに至るまでの流れも綺麗で、最後の希実香の表情もよかった。

2章は精神的にもきつかったけど、終わってみると一番好きな章になりました。

3章は一転変わってざくろが何故自殺してしまったのか、というのがわかる話。まああれだけ悲惨な目にあっていたらそりゃ色々なものに感化されて、自殺してしまうよなあ。徐々におかしくなっていくざくろを見るのは辛かったです。でもこの章は選択肢でいじめを乗り越えられたので、そっちのENDはとても嬉しい気持ちで迎えることができました。卓司と希実香もいいですが、ざくろと希実香の関係性も好きです。
しかし、あの選択であとの運命があんなにも変わってしまうとは。一人の人間が選んだことって色んな人に影響するんだなあと思いました。

そして4章。これまでの謎がわかっていってなるほどなーと思いながらプレイしてました。まさか皆守と由岐が卓司の作り出した人格だったとは。正確には少し違うってことがあとの章でわかりますが、この時点では間宮卓司は多重人格者だったのかと。皆守のひたすら羽咲を守りたいという感情や行動がとてもかっこよかったです。主人公視点が変わるとこうも物語というものは違って見えるんですね。

5章は羽咲視点。呼びかけているのに声が届かないというのはとても辛いことだなと。1章の由岐視点だと普通な場面でも羽咲から見ると辛い場面だったんですね。兄を想う羽咲の姿が印象的でした。あとサブキャラだけどバーのマスターとジャーナリストの木村さんはいいキャラしてました。

6章は間宮兄妹の過去から始まってましたが、由岐は実在した人物だったとは。皆守と羽咲が仲良く過ごしていて微笑ましたかったです。間宮家の人達は誰かを想って行動しているのは確かなんだと思いますが、あの母親はそれが裏目に出てしまったんですね。善意は悪意より悪いというのを象徴しているなと思いました。
終盤の皆守が羽咲を守るために復活したところは熱い展開ですごくよかったです。あとあの由岐は卓司が作り出した人格だといっていましたが、個人的には魂がそのまま宿っていたんじゃないかと思っています。

最後に終ノ空Ⅱ。音無彩名という人物は結局のところ正体ははっきりとは明示されてませんが、由岐やら卓司やらざくろやら皆一つの魂だったということなのでしょうか?私は考察が苦手なので、与えられた情報だけでは音無彩名はこうだったとか確信はなかなか持てませんでした。でも、確信が持てなくてもなんとなくはわかったような気がします。はっきりと言葉では言い表せないけどそういうENDでした。

普段こういった長い感想はあんまり書かないのですが、すばひびはこうやって語りたいゲームですね。世界がどうとか自分とは何かとか、なんかそういう事を考えさせられました。幸福に生きよ!ってフレーズ、なんかいいですね。

あと歌とBGMも素晴らしかった。特に歌では空気力学少女と少年の詩、ナグルファルの船上にてが好きです。BGMは夜の向日葵ですね。印象的な音楽ばかりで聴いていて心地よかったです。

とまあ感想はこんなところです。あまり語彙力がないのでうまく書けてないと思いますが、とにかくすばひびはいいゲームでした!