星見の習慣などない人間が、トレンドでしし座流星群やビーバームーンを見かけてはベランダに出るぐらいには影響を受けた作品。
主人公の頭でっかち設定でスタートから不安を煽り、他ツッコミどころに引っかかるところ満載だった作品だが、なんだかんだで最後までプレイ。話は冗長でエロは薄いながらも最後までプレイできたからには、絵柄と声優が良いだけじゃない理由があるはず。
メアの正体、展望台の彼女、雪菜のターゲットである『彼女』。共通で生じたこれらの謎を意識しながら、個別で生じる新たな謎も考えて進めていくのが楽しかったのかもしれない。
以下プレイ順個別感想(ネタバレ有)
明日歩ルート
「障害なんて見当たらなかった」というフラグしか感じない文章から、明日歩の片耳に障碍がありました、とかいう駄洒落オチ。嫌いではない。
犬属性で主人公に一途な片思い幼馴染かつcv佐本二厘とか最高に可愛いキャラ。夢とメアについで3番目に好き。
そんな最高に可愛い明日歩なのに夢の代替品のような流れで洋にときめかれたり、洋も夢との思い出が大事なはずだからと空回りする役柄で、扱いとしてはとても残念。
洋も洋で明日歩との恋路に邪魔になると分かった途端に夢との思い出を悪夢呼ばわり。正直引く。ヒロインは好きなのに話は好きになれないというエロゲーあるある。
こももルート
お姫様抱っこで混乱して、会話をループさせては「あれ…?」となるこももが最高に可愛いルート。
一方洋くん、
「…手作りって、晩ご飯の残りなんだろ」
こももからは作りすぎたとしか言われてなくて、晩ご飯の残りなんて一言もいってなかったのに。照れ隠しにしても酷い。結果論として事実でも、相手の好意に対する反応ではない。
話としてはこさめが雪菜に『彼女』を送り還す依頼をするシーンの違和感が酷かった。その時点でオチは読めていたから、自分のことを三人称で呼ぶのはおかしくないかと悩むはめに。ストーリーよりも家族のいる実家で堂々とセックスする洋くんに驚かされた。
衣鈴ルート
ハリネズミのジレンマ。衣鈴の過去が思った以上に軽くて逆に驚かされた。ついでに水着の時点で予想できていても、告白後の即エッチは早すぎてやはり驚かされた。
望遠鏡がバラバラになるという不自然すぎる状況から千波に八つ当たりする衣鈴、そんな衣鈴にろくな説明もなく突き放した態度をとる洋。どちらも酷いが、内心で自分の行為を千波に責任転嫁する洋はやはり一味違う。千波が指示したのかと一瞬疑いもしたが、結局洋が自分から千波を手伝っただけで、衣鈴に対する態度は完全に洋の責任でしかないのは笑いどころなのだろうか。
こさめルート
そういえばこももは巫女服エッチがなかったとか、ここで新キャラだしてまた伏線増やすのかと驚くルート。
珍しく洋くんがまともだと勘違いしそうになったが、幻覚を見るためにリスカするというとんでも行動で逆に安心するというオチ。
千波ルート
プレイヤーに嫌われたり声優変更があったりと不遇な異父妹。自分自身が悪夢というネタは狙っていたのかなんなのか。
本編でも1ルートだけ藤森ゆき奈版でプレイしたが違和感は少なく元の声に寄せた演技だったように思えた。その後EHでは違和感が大きくなった気がしたが、EHからHDの間に声優の演技が向上したと考えれば納得できる。それならEHも録り直してほしかったが、違和感自体気のせいかもしれないし、気にしすぎないほうがよいだろう。
詩乃さんを傷つけておいて、話をしなければならないと自覚しながらも肝試しに逃避する洋くん。さすが洋くんと感心するも、父親の大河がそれ以上の「ダメ人間」で驚愕。
千波父の望みでレンに記憶を消された歌澄を孕ませておいて、やっぱり歌澄が本当に好きなのは自分じゃないからと元カレとよりを戻させ、あとは知らんぷり。だったら孕ませるなよと言いたくなるが、そうすると話が始まらないから仕方がない。仕方がないんだ(自己暗示)
夢ルート
初恋じゃないけどファーストキスをした相手、やっぱりファーストキスじゃなかった。再会したら今度はファーストキスするのもいい。……結局初恋で今でも好きなのでは?好きでした(結論)。ギャグかな?
洋くんはどうでもいいとして、展望台の彼女にして作品一可愛いヒロイン。お目当てだったメアのエロシーンがいまいちだったおかげ?でcv遠野そよぎの艶技レベルの高さに気づけた。ロリコンだけどこの作品では夢が一番使えると思う。なお本編エロシーンは1枠の模様。FDで3枠の追加がなければ糞ゲー認定するところだった。
メアをクリアした後、変化がないか確認のためもう1周して気づいたが、夢だけ選択肢にフラグアイコンがつかない模様。夢のおかげで他人と関わる生き方を学んだはずが、夢ルートに入るためには全ヒロインのフラグを回避しなければいけないというギミック。それも夢の選択肢を選ぶというよりは、他のヒロインを避けた結果という構成。いろいろ考察できそうだが、そこまでする気にはなれないので終了。
メアルート
夢に振られたので幼少期の夢そっくりな少女と肉体関係持ちますルート。一度は拒んで娘にまでしたヒロインを攻略とか蛇足でしかないようにも感じたが、メア救済で作品全体をハッピーエンドで締めるという感想で納得。
それはそれとして、お目当てだったパッケージヒロインがエロ1枠とか信じられない詐欺。FDで2枠追加だが、そこは夢と同じく3枠ほしかったところ。結局エロシーンのテキスト的に抜きどころがいまいち分からず使えなかったのだが。正直本番より前戯の方に力入ってる気がした。
EH(FD)
夢アフターではメアの依代である隕石捜索。メアアフターでは飛鳥妹である伊麻のあれこれ。どちらも本編で回収しきれなかった伏線の回収で、発売当時に本編だけやっていたら不満にしかならないパターン。
急にレンが時間止めたりして驚いたが、本編で歌澄が時間戻したことの補足なのだと少し考えてからようやく気づいた。メアとかこさめ周りの設定でファンタジー認定してたからと、死人が時間戻すことに全く疑問を感じていなかった自分にいまさらの驚愕。
設定としてはなぜか洋がこさめの秘密を知っていたり、メアアフターで芽愛との風呂を幻視したり、時間戻す設定でループものの疑いも生まれたが歌澄がループさせる意図不明。
結局ライターさんそこまで考えてない説で納得することに決定。
岡泉先輩の二重人格設定が完全に放置されるどころか登場すらなしでちょっと泣いた。
メアの正体は「七夕の娘星を故郷とする隕石を依り代にした星霊」ということになるはずだが、七夕誕生日設定がよくわからない。
転生?した芽愛の誕生日が七夕だし、メアアフターでメアを相手に夢アフターの芽愛を幻視していることからも、「メア⇒芽愛」というより「メア⇔芽愛」であり、メアにも芽愛の要素があるという可能性がある。
つまりメアは「娘星の星霊」としての要素と「洋と夢の娘」としての要素が混ざりあった存在ではないかと考えられる。生まれていない芽愛の誕生日がメアの誕生日になっているのは相変わらず意味不明だが、死人が時間を巻き戻す世界観だし、高次元の存在の記憶領域は3次元の生命体である人間には理解できなくても仕方ないのだろう。ライターがなにも考えていないだけというオチかもしれないが、それならそれで仕方ない。
総評としては絵良し、声優良し、ボーカル曲良し、テーマ良しと良いとこづくしだが、ストーリーが並でツッコミどころ多しといったところ。冗長にも感じられたがつまらないわけでもないので、全体としては良作と言ってよいのではないかと思われる。
キャラ好感度
夢>メア>明日歩>こもも>こさめ>千波=衣鈴
余談
レン、鈴葉、伊麻、詩乃さんのエロシーンも欲しかった