シナリオも楽しめるキャラゲー。シナリオゲーを期待すると落胆する可能性あり。
萌えゲーアワード作品10本1万円で購入。1本千円と考えればかなりお買い得だったと思える作品。
遠野の妖怪を題材にしたかのような妖異が跋扈する深野のお話。メインヒロインである白はルートロックがされており他3人を攻略しないと攻略不可。由岐奈ルートが白ルートの前座となっており、他2人はおまけレベル。
よって推奨攻略順は(花子、みだり順不同)→由岐奈→白となる。
全六章構成で、1章でキャラ紹介、2章で掘り下げ、3章で分岐、4章から個別となる。この作品の地味に良いところとしてOPのタイミングが挙げられる。3章で分岐が終わり4章からの個別が始まるタイミングでOPムービーが流れるのだ。
このため、分岐シーンでセーブして1人ずつ攻略するスタイルでも、各ヒロインの攻略スタート毎にOPを見て気持ちを切り替えることができる。これは他所でも真似してほしい美点だと思われる。
全体としての不満点1。BGVがやけに小さい。おま環かもしれないが、ボイスマスター40、BGM10ぐらいまで落としてハード側で音量を上げないといけないレベル。エロシーンを使う度にコンフィグを変更しないといけないのは地味にストレス。
不満点2。章の切り替わりがわかりづらい。アイキャッチや間があるわけでもなく、唐突に場面転換されているような印象が拭えない。章で区切ってシナリオゲーを気取るならその辺も気をつかってほしかった。
不満点3。個別のボリューム不足。共通の出来が良く久しぶりに期待できる作品だとOPを楽しむと思った以上にあっさりと個別が終わる。特にみだりと花子は手抜きかと思うほどに酷かった。
以下攻略順ネタバレ込み感想
みだりルート
淫魔にとって恋愛は死に至る病であり禁忌である。これとどう向き合っていくのかといざ蓋を開けるとここまで引っ張ったのはなんだったのかと思うぐらいあっさり解決する。そんなことで解決するなら種族としての禁忌にするほどのことかとか、そもそも解決してるのは相手の死亡問題だけで淫魔の吸精事情は解決してない等ツッコミどころしかない。睦季くんは目の前の女性を一生愛する覚悟が必要だったとか格好つけていたが、実際必要になるのは人生のパートナーに食事という名の浮気を許す覚悟なのではないかと考えたり。
またマリーの家出問題が大事になる前にあっさり解決したり、みだりの家族が立ち絵すら出なかったことからわかるように、明らかに風呂敷を広げたくないという意図が見える。広げすぎてたたみきれないよりはコンパクトにまとまってる方がマシなのだが、実際小さくまとまったシナリオを見ると手抜きとしか思えないジレンマ。というか小さいマリーを保護して義兄候補として味見される展開とか期待して損したというロリコンの身勝手な逆恨み。
演出としてはOPムービーでも使用されていたアニメーションがいい感じに綺麗だった。夫婦釜の話も良く、1・2章からの期待値が高すぎて勝手に失望してしまった印象。
花子ルート
ここまで良かった妖異のイメージを一気に下げるストーリー。猫川の水妖が小物すぎるし言ってることが自己矛盾してるしでわりとストレス要素だった。みだりルートでも軽く流された問題とはいえ妖異とヒトの寿命の差問題も触れることすらなく。
正直つまらない妖異を出して作品の空気を壊すぐらいなら、妖異とヒトの恋愛という点をもっと掘り下げて恋愛とは何かという哲学的な話にした方が楽しめたかもしれない。
由岐奈ルート
白の前座。主人公の設定周りも明かされ作品の見方も変わってくるので、みだりや花子を攻略してからプレイすると良い。シナリオ目的なら花子とみだりを全スキップして由岐奈と白だけ攻略してもよいが、それはこの作品の楽しみ方としては勧められない。結局はキャラゲーとしてシナリオも楽しめるレベルでしかないからだ。
最後に使い魔が二匹いることで由岐奈の選択も理解できるが、もっとわかりやすく蒔菜の台詞とかあってもよいのではないかと思った。
OPのヤマウバのアニメーションはなかった。
白ルート
ロリ巨乳お姉ちゃんキャラcv杏子御津の時点で勝利を確信。終盤の白と紅の語らいでも涙腺を刺激されたりとシナリオも充分楽しめるレベル。伏線も驚くようなものではなく、むしろあの設定はここで活かすためかと納得いく安心できる設計。であれば、キバの護符ももっと序盤からフェレス直伝の魔法とか印象づけておけば伏線として使えたのではと思ったりも。
またフェレスと主人公の絡みが全体として少ないという印象。おそらくライターが考えているほど主人公とフェレスの絆はプレイヤーに理解されていないように思える。フェレスがあそこまで主人公に拘るのも理解しづらいし、主人公があそこまでフェレスに報いようとするのも理解しづらい。一代目からの因縁とか設定的なものがあっても、日常描写としての繋がりが足りてない。
ともかく章で区切ってシナリオを意識させるなら、その区切りもしっかりしてほしい。白ルート5章でお紅さんのことがあってから唐突にフェレスの過去話が始まるとか本当に唐突すぎてどうしようもない。当然そこだけでなく全体としてそう。深野には外の国から~で始まるのが章の切り替わりと統一してあるのかと思えばそうでもなし。そこは本当に残念なところだった。
好きなキャラ
白>みだり>花子=由岐奈
シナリオ評価
白>由岐奈>みだり>花子
あとどうでも良い不満
3キャラ攻略してタイトル画面から白姉ちゃんが消えて、最後どうなるのかとワクワクしてたら期待はずれ感。あの終わり方なら卯子鳥が寄り添うCGなり、転生して成長した二人が幸せそうにしてるCGなり、もっと他になかったのかと。ルートロックしてまでクリアしたTRUEENDの後があれなのかと。
CGの指示に関して、主人公と白のお迎えに精霊が集まるシーン。蛍と間違えるぐらいだから明るいのだろうと思ったら画面上に見当たらない。よく見るとメッセージウインドウで隠れていた。これは演出として失敗なのでは?