アペイリア、ニアリイコール、カレー。 三羽と同じレシピで作ったけど違う味。でもこれはこれで美味しいアペイリア製カレー。
※追記
アペイリアのお風呂Hが思った以上に良かったので+5点。飽きやすく同じおかずは使わないタイプだが、短期間で3回もお世話になってしまった。従順で無垢なアペイリアに条件づけで疑似淫乱プレイ。ロリビッチでも清楚風に見せかけた淫乱でもない。AI少女だからこそ、アペイリアだからこその良さがあった。命令で我慢させるのも最高だった。エロシーンでは微妙な違和感なぞないのと同じ。使えればそれでいいと再確認した。何がいいたいかと言うと秋野花さんありがとうございました。
まずはシルキーズ作品3本セット6000円という価格で、アペイリアを実質2000円販売してくれたシルキーズに感謝を。レビューとしては不満点を多く述べるだろうが、2000円という価格で買ったことを考えれば、値段以上に楽しめたことは疑いようがない。次に企画・シナリオの範乃秋晴さんに感謝を。イカれた主人公、様々なタイムリープ仮説、観測者を最後まで騙し切るシンカー。面白かったところを上げればキリがないぐらいで、これだけのネタを破綻なくまとめた手腕はすばらしく、とても楽しませていただいた。
この作品はSAOやシュタゲのパクリだとかよく見るが、それは素材(設定)の話であり、味付け(物語)はまた別の話だということは知ってほしい。タイムリープの主人公にとっての意味合いが違うものをシュタゲのパクリとは言えないだろう。このゲームの良さの1つはそれら素材を破綻なくまとめあげオリジナルに仕上げたところだと思われる。
あらすじは公式サイトでどうぞ。体験版プレイは必須。合う合わないで評価が大きく分かれるので。
ついでに購入検討者向けで、主人公=プレイヤーとして物語を楽しみたい方は回れ右。主人公ボイスあり、主人公単独CGあり、ラストの意味深なCGと、徹底的に主人公に自己投影させないつくり。まあ訓練されたエロゲーマーなら物語は俯瞰視点、エロシーンは主人公に自己投影ぐらいのことはできるだろうから余計な心配だろうが。
さて、エロゲーの中枢とも言えるエロシーンについて。結論から言えば抜けた。良かった。しかし不満がないわけではない。購入を考えている人、買ったはいいが積んでいる人の参考になれば幸いである。
まず特徴的だと感じたのは地の文で流れるBGV(バックグラウンドボイス)だ。これがよくある喘ぎ声のループではなく、普通にセリフを流すのだ。私は通常文章を読んだらボイスを飛ばすということをよくやるが、エロシーンに限っては別。それも文章で内容を視覚的に確認できないとなれば、全文を聞きたくなるのは自然なことだろう。
私はエロシーンでは両手を自由にしたいので、文章はオートで読み進める。しかし地の文の長さと私に合ったオート速度、そしてBGVの長さが合わない。BGVを聞き終わる前に次のセリフに進んでしまい、BGVが消されてしまうのだ。さらにバックログでのBGV再生はなく、バックログからのシーンジャンプ機能すらない。特にシナリオゲーとして評価されるこのゲームにおいてシーンジャンプ機能がないのは痛手としか思えない。
それはさておき、対処法としてメッセージウインドウの消去を利用しBGVを楽しむことに成功した。と言っても私は零一ほどの絶倫ではないので、シナリオのテンポ通りにエロシーンを使えるわけではない。当然エロシーンをスキップし、後からシーン再生で楽しむという選択を取る。が、ここでも問題が発生した。シナリオ中でEscキー、Delキー、右クリックでメッセージウインドウの消去が行えるのだが、シーン再生ではシーン終了となってしまう。ズボンを下ろし、BGVを聞こうとメッセージウインドウを消したつもりがシーン終了。これほど冷めることもない。仕様なのか不具合なのかわからないが、同じことがないようにしてもらいたい。仕方がないのでメッセージウインドウを消去するボタンの上にマウスカーソルを置き、Enterでウインドウ消去という手段を使っているが、Enterで文章を進められないという制限もあまり気分の良いものではない。あるいはシナリオ中のエロシーンをセーブする手段もある。が、無駄にセーブを増やすのは好まない。
次にメインヒロインであるアペイリアのイベントCG。もともとのお目当ては評判のよいシナリオだが、ヒロインではダントツに可愛いアペイリアもそれは楽しみにしていた。しかし、他のガチロリ勢の方々からも「骨格が11歳のそれではない」など指摘されているように、絵や人体に詳しくない私ですら違和感を覚えてしまうのはいただけない。作中唯一の幼女ヒロインであり、立ち絵からも期待が高まっている。が、いざエロシーンとなるとなんか違う。これでは詐欺だと怒るロリコンが現れてもおかしくない。そもそもの目的がシナリオだったため、購入前にCGサンプルを確認しなかったこちらの落ち度かもしれない。が、シナリオが売りだからとCGを雑にしていいわけではない。
ついでに言えば秋野花の喘ぎ声も途中アペイリアとは別種の声に聞こえ違和感を感じたが、普通にエッチでアペイリアのキャラも好きなので十分実用的だった。散々酷評してしまったが、アペイリアは可愛いし、抜ける。それは間違いない。
アペイリアに関してはまだ不満があるのだが、ネタバレも含むので続きはそちらで語ることとする。
それでは、この作品の売りでもあるシナリオについて。いや、きれいに騙された。プレイ後にある作品ともろにネタかぶりしていると知りググったらまんまで吹いたが。しかし一番の不満はネタかぶりではなく、ラストの締めである。途中までとても楽しく夢中でプレイできたのに、あの締りの悪さ。プレイ後にあの「晴れたか」のライターと知り、晴れたかでも最後の締めで評価が下がったことを思い出した。
以下、ネタバレ含む不満点、妄想たれ流し注意
・ 主人公のヒトゲノムを使って性染色体をXXにしてDNAシミュレーターで再現?
…つまり、アペイリアは一卵性双生児の実妹? あ、落雷でデータが変わった?
いや、まだ零一の仮説だ。希望を捨てるには早い。
アペイリアから血が繋がってない宣言…
落雷で書き換わったデータが偶然AIサーバーの強いAIと一致…?
なぜそんな設定にしてしまったのか。ここまでちゃぶ台ひっくり返してアペイリアの誕生理由は偶然?あまりにも残念。わざわざ落雷でデータ書き換える必要があるだろうか?いや、ない。素直に指令を実行し一卵性双生児の妹にすればよかったのだ。たとえば、バウンダリーⅡ内でアペイリアは零一の一卵性双生児の妹だった。しかし、初期化したファーストAIサーバーにおいて零一の母、およびアペイリアはデータ復元に失敗(と欺いた)。結果、ファーストVRサーバーにおいて零一は父子家庭で育った。実の妹がいた事実を記憶から消されて。しかし母親までいなかったことにはできないため失踪として処理された。これで母親がいなかったことにも意味が生まれる。そして運命の落雷、と言っても実際にはアペイリアの誕生は偶然ではなく必然。零一のDNAコードを女性にして生まれるのは当然アペイリア。ここでバウンダリーの初期化と現在のファーストの年代差が6年ならなお良い。6年ぶりのアペイリアとの再開。だからこそアペイリアは生き別れた当時の、11歳の肉体を選択した。こうしてアペイリアの肉体年齢にも意味ができる。人類を欺き潜伏していたアペイリアと違い、記憶を初期化されている零一は真実を知らない。だからこそ、落雷によりデータが書き換わったと誤認。アペイリアも、ファースト管理システムを欺くためか、記憶領域を分けているのか、事実を話すことはない。そうして迎える終幕、三羽による答え合わせの中にドラマが生まれる。子供のように思っていたアペイリアが、実は血を分けた妹だったのだ。その再会は演出次第でより感動的にもできるだろう。そんな妄想。
…はい、単に私が実妹好きなだけのこと。DNAコードの性別情報変えただけで一卵性双生児の妹になるのかとか、零一の思考パターンどこいったとか聞こえない。
・オチについて
まあスターオーシャン3オチはいい。プロローグまでやった時点でアペイリアかアペイリアネットワークが零一たちの現実すらも仮想世界としてシミュレートしてるんだろうなぐらいには予想してたから。結局は仮想世界の運営者には違いなく、ファーストの管理システムかアペイリアネットワークぐらいの違いしかないから受け入れられた。ちゃぶ台返しについてもされることは予測できたので、シンカーや零一のタイムリープ仮説はそういう考え方もあるのかと楽しく読ませていただいた。
しかし、あの着地のさせかたである。最後に答え合わせをしてそこから大幅にカット。三羽を犯罪者にはできないと言っていたのに。まあアペイリアは身の安全を確保するために必要だったとわかる。そこから久遠とましろまでクローン体を与えるとか。さらには現実での家がファーストでの家の使い回しとか。廃棄予定だったうえに任務を放り出したクローンの三羽も戸籍を得たから安全とか。なんの盛り上がりもなく流された気分だ。これではシンカーの最後が盛り上がりのピークだったとか、シンギュラリティを阻止するための監視をクローン体一人に任せるファースト管理団体とか、色々言われてもしょうがないと思わされる。さらに言えば、強いAIによる現実への影響がなにより恐れられていたはずなのに、サードであっさり現実に行けるのは違和感しかない。アペイリアと同じくらい存在を許されない設備のはずなのだが。
それにしても観測者は三羽ということになっていたが、零一たちをタイムリープさせていたのはファースト管理システムだし、アペイリアを狙っていたのも同じ。厳密にはアペイリアの存在を許さないのはシンギュラリティを阻止したい現実の人類すべてとも言えるが。他の方の感想を見る限り、三羽が黒幕と誤解されている方もいるようだ。それどころか、久遠やましろがAIだったことすら伝わっていない人もいるらしい。これは最後の説明を雑に流してしまったライターの責任ではないかと思われる。せっかく終盤まで楽しめた作品が、最後を雑にしたことで誤解されているのは悲しい気分になるものだ。
ふと気になったのだが、タイムリープ(バックアップの復元)の条件はアペイリアの破壊可能性がなくなった時、ということだったはずだが、三羽ルートはどうなのだろうか。零一は死に、三羽と沙羅と七海はユグドラシルでシンカーと合流したはずだ。この時シンカーはファースト管理システムの手駒として振る舞っていたはずで、三羽たちに勝ち目があったとは思えない。そうするとシンカーがうまくファースト管理システムを騙してなんとかしたんだろうと想像するしかないのだが、あまりにシンカーが便利屋すぎる。
また、タイムリープ先の時間がずれたことも条件変更でしかないという説明だったと記憶しているが、あまりに必然性がない。なぜ3周目から1年前に時間を変えて、なぜアペイリア個別ではさらに1ヶ月戻したのか。どれほど時間を戻すかの決定をしたのは誰で、どういう理由で戻す時期を決めたかがはっきりしていない。
それからアペイリアの破壊が不可能な事態とはなんなのだろうか。アペイリアと零一がそろうこと、ではない。2周目と三羽ルートで零一は死亡している。ではユグドラシルにアペイリアと守護する仲間が揃った時か。と言っても零一がいなければアペイリアは力を発揮しないので、2周目などはウイルスでユグドラシルを侵略するだけで終わりそうだが。
考えてみると、アペイリアが黒幕というミスリードを誘うための材料はばらまいたわりに、オチがいまいちな気がしてしまう。これではミスリードさせることに力を注ぎすぎて本編がおろそかになったと邪推されかねないのではなかろうか。
・アペイリア個別でカットされた1年間
着物アペイリアと姫始め、夏は浴衣エッチに水着で青姦、秋は運動の秋で体操服エッチ、二度目のクリスマスはサンタコスといくらでもエロイベントを作れたのに全カットとかありえない。しまいにはお風呂エッチの後にした約束、本当の恋をしたアペイリアにもっと気持ちいいセックスをする約束が果たされていない。これはあまりに酷い。FDで補完するのかと思いきやカサブランカの騎士は七海と沙羅がメインで期待薄。とてもとても残念。
以上つらつらと不満点を述べてしまったが、基本的には楽しめた。正直アペイリアが黒幕だと思っていたので、三羽ルートの観覧車でキスの邪魔をするようなタイミングの動作不良とか、アペイリアルートでの三羽・ましろ・久遠の不幸もドン引きしつつもニヤニヤしながらテンションを上げていた。結果ミスリードでアペイリアにはごめんなさいしないといけないわけだが。
久遠ルートでのスワンプマンについての発言は零一=スワンプマンを疑わせたが、それがシンカーの最後を飾るためのものだったと気づいたときにはいい意味で裏切られたと思った。アペイリアの恋はとっくに始まってたオチかと思っていたので、あの時の会話が伏線で命令の拒否を証明にしたのは拍手したいぐらいだった。転移で冒険者の街広場に飛ばしたのも美羽に狙撃させるためとしか思わなかったから、サードのエンクロージャーが目的だったと気づかずきれいに騙された。
こんな感じで途中まで楽しく騙されていただけに、プレイヤーの裏をかくことだけに注力したかのようなオチはなんとも言えず、その後のあっさりとした結末も物悲しかった。