「家族とは良いものだ、そう思うだろう息子よ」
タイトル本来の意味は家族が無計画に増えないよう抑制するものであるが、作品としては家族の素晴らしさを喧伝するものであり興味深い。OPムービーでも「家族は素晴らしいものだ」と強調されており、全シナリオ通してこれに帰結するものだと感じた。とは言っても家族とは必ずしも血縁のそれとは限らず、作中では実親が原因で不幸を負ったり人間性が歪んだヒロインが登場するなどの皮肉も効いている。ロミオ作品は最果てのイマをプレイ済だが、他者との繋がりを重視しながらも関係の難しさを感じられる点で共通しているように思われる。
最果てのイマと比べて特に思うのがシナリオの読みやすさである。最果てのイマは世界観や描写が閉塞感や諦観あふれるもので、気分が暗くなり読んでて非常に疲れたのが印象に残っている。比べてこちらの作品は根底には重い設定があるものの、日常シーンは気の狂った寛や劉さんが盛り上げてくれてとても楽しく読み進められた。日常に笑い、シリアスにハラハラし、結末に感動する。世間で高く評価されるのも納得のいく作品であり、他者に薦めやすい作品としては最高峰ではなかろうか。
また、共通ルートが大部分を占めており、各ヒロインそれぞれのルートで明かされる設定が異なる点も評価したい。選択肢が多く、できるだけゲームを楽しもうと考えれば毎回最初からやり直したくなるのだが、共通部分が長いため既読スキップで余計な時間をかけずに済む割合が多いのはありがたい。そして各ヒロインで明かされる設定が異なるため、飽きることなく全シナリオを読み進められる。
逆に残念な点としてはシステムと作画が挙げられる。古い作品ゆえに解像度は低く、作画も顎がとがっていたり褒められたものではない。それでも茉莉は可愛いし、主人公がロリコンへと堕ちていく描写はロリコン製造ゲーの名に偽りなしと思えるほどの説得力を感じた。
推奨攻略順
春花→準→茉莉→真純→青葉
特に青葉ルートでは唯一主人公から見た家族の人物評があるので、最後の締めとして見るべきだと感じた。ただ青葉は非常に不器用な人間ゆえに不快感を感じる人も多いことは予想に容易いが、せめて茉莉ルートは読んでほしい。
個人的好み
茉莉〉青葉〉春花〉準〉真純