1章で遥を好きになり、2章で水月がTRUEヒロインとわかって絶望し、3章でちょっと救われたような気になる。
今更ながらに購入&プレイ。まさかのWindows10で動作せずとのことで仮想環境でXPを走らせてのプレイ。大事なのはそれだけの手間をかけてまでプレイする価値があるかだが、半月以上熱中したことからもやってよかったと断言できる。
一言コメントの通り私の推しは遥である。1章終わりでのOPの入りからメインヒロインであることは疑いようもない。しかし出逢いの1冊である『マヤウルのおくりもの』の意味合いやED演出を考えれば、TRUEヒロインが水月であることもまた納得せざるをえない事実。これが本編のみならば絶望で終わっていたところだが、3章での優遇ぶりから少しだけ救われたような気がするから単純なものである。
TRUEヒロインは水月なのに、なぜこんなに遥が好きなのか。一言でまとめると好みなのだが、具体的にどこが良いと思ったのか考えてみた。
まず成長後の姿が一番可愛い。もともと髪は長い方が好みなのでそれもあるが、目覚めたばかりで若干言動の幼い姿が最高に可愛い。両手を頭にあてて困っているところはあざとすぎて好き。
そして認識能力が元に戻ってからの精神的な強さが好き。活発で勝ち気で弱い面もある水月とは真逆で、控え目で大人しいのに芯が強いというか人間として強いというか。孝之の慟哭を聞いてようやく身を引く決心をできた水月。それに対し、内心には不条理に憤る気持ちを抱えながらも水月との仲を祝福してみせた遥。友達を大切にできない人は…と語ったとおり、負の気持ちを持ちながらも友を祝福した遥の強さに人として惹かれずにいられない。
また、忘れてはいけない「遥隠し妻END」。茜を選び遥との別れを告げにきた孝之に対し、ベッドから転がり落ち置いていかないでと振り向かずにはいられない状況をつくり、見事孝之をものにしてみせた強かさ。同じ愛人ENDでも奴隷や犬として縋り付いた水月との役者の違いを思い知らされる。ただ、茜3章での描写だと弱者である遥を切り捨てたかのような描写で、遥の魅力の1つを否定されたような気持ちにもなってしまうのはどうしたものか。
そして今作の肝である遥3章。まるで『賢者の贈り物』のようなすれ違いははたから見れば滑稽かもしれないが、2人の純粋な相手を思いやる気持ちに胸を打たれる。新テーマソングの演出も遥3章だけのもので衝撃と興奮をもたらすものであり、非常に満足度の高いものであった。ただしわざわざ文字送りを強制オートにしておきながら曲の途中で途切れるのは片手落ちな気もしたが。大人たちの説教も人によっては受け入れがたいものかもしれないが、自分を振り返るきっかけになるならばゲームであろうと良いのではないかと考えられるなら一読の価値はある。
不満点がないわけでもない。と言っても遥にではなくageに対してになる。とにかく遥のエロシーンが少ない。ついでに薄い。さらに言えば寝たきり設定で肉付きの薄いガリガリ体型というのがまた萎える。だからこそ身体も健康体に戻ってきた3章には期待したいところだったわけだが、公式の通達どおり3章でのエロシーンはない。これは非常に悲しい。ストーリーと別枠のExtraでもなんでもいいからもっと遥に元気になってからのエロシーンをくれと言いたい。それが唯一にして最大の不満点である。まあそういうゲームじゃないと言えばそれまでなのだが、理屈で理解できることと感情で納得できるかは別のことなので。遥との初Hシーンかと思いきやおあずけ、ようやくたどり着いたHシーンは上述のとおり不満点しかないでは納得できるわけもない。
ついでに言えば立ち絵での演出強化の結果かはわからないが、イベントCGがいまいち。立ち絵…というか病院で上半身だけ起こした絵での可愛さと比べると、イベントCGの遥はコレジャナイ感がある。それでも遥が一番好きなのは変わらないわけだが。
とすでにデータも出尽くしてる作品なのでたまには自分の好みを語るだけの感想もいいかなとまとめてみたわけだが、批評や考察を求める人にはなんら得るもののない駄文になってしまった。願わくは、同じく遥を愛する人に共感を覚えさせ、別ヒロインを推す人が遥に興味を持つ一助になれば幸いである。