続編としては及第点。ヒロインも敵も前作よりマイルドな点が少々惜しい。
前作の人気投票でぶっちぎりの1位だったヴァルゼライド。
この光の狂信者的描写を念頭にプロットを作ったんだろうなあと思う。
言い換えれば書きたい物を思い切りぶち込んだのが前作で、
ユーザーが見たいなんじゃないかな?という物で組み立てたのが本作。
ただ、敵味方共に前作と比べれば掘り下げが甘いなあとは思う。
ヴァルゼライドにも親友との決別とかがあったのに対し、ギルベルトはその辺りの繊細な機微の入り込む余地のないくらいの鋼鉄精神でぶっちゃけ魅力のあるキャラにする気が皆無。
ファヴニルは所詮英雄の追っかけで、空虚さを刺激的な戦いで埋めようとしその果てに確かな答えにたどり着いてストレイドの焼き増し以下。
ピリオドとカーネイジ以外のバトル要因にはそれぞれ見せ場と得る物があった前作と比べれば、書き手の愛情が薄いと思うくらいには魅力がなかった。
そして掘り下げの少なさはヒロイン側にも言える。
3人中2人は同居する家族で、もう1人も攻略する気マンマンの肉食獣だった前作と比べ、
今作は立場的にも隔たりが出来てしまったというのが、話を回す上で不利になってしまった結果だが。
それを差し引いても、肉食系女(元)上司と毒舌不思議系バブみという中々尖った属性が揃ってた前作と比べてみんないい子ちゃん過ぎかなーと思う。
サヤはもう少し同門のレズ娘の積極性を見習っても良かった。キリガクレの愛は重いたい?前作のヒロイン達も十分重たかったと思うよ?
何より個人的に気に入らないのは、各ヒロインルートだとアシュレイがあっさり退場している点。
RPGやバトル系主人公は途中で発狂するくらいまで苦しみ抜く代わりに最後はそんな過程が吹っ飛ぶくらい幸せな結末を迎える、というのが個人的な好みなのだが、その点でアシュレイは報われなさ過ぎる。
まるで凡人が過ぎた奇跡に縋った代償だと言わんばかりの結末。そこは気合と根性で乗り越える英雄を見習えよと言いたい。愛する女を幸せにするまでが英雄と決別した事への責務だろうに。
だからこそのトゥルールートなのだろうが、選ぶのが誰なのか曖昧なままという煮え切らない結末が残念。
レインルートで消滅、トゥルーでレインと結ばれるじゃダメだったのだろうか?
互いに背負う宿命的にそれで十分だと思うが。
本作は誰の目にも明らかな、正統な続編故にどうしても比較しての文句が前面に出てしまったが、燃えゲーとしては十分良作の部類。特にトゥルールート後半は前作ユーザーにとって盛り上がるシーンのオンパレードで最後もきっちり締めてくれる。どうせなら選べないなら4Pハーレムでも良かったんじゃないかと思うが、それは流石に高望みか。