冒険とは楽しいものである。ありがとう、そしてお疲れ様。
鬼畜王でエロゲに出会って、館456で過去シリーズにも触れて、
結局4だけは未プレイに終わったが、それでも約20年近く追い続けた身としては少しの寂しさとそれ以上の満足感でいっぱいである。プレイし続けて本当に良かったと胸を張って言える。
ゲームとしてはRPGというよりもリソース管理はSLGに近く、零式から続く「限られた状況の中から最適解を模索するゲームデザイン」に5D以降に散見される「確率次第では一発逆転もありうる運ゲー」的な要素を組み込んだTADA製ゲームデザインの最終版という感じだろうか。そこにそれぞれの地域の状況に合わせて攻める場所を考えるというSLG的部分も合わさり、既存のシステムを踏襲しないランスシリーズらしい作品となっている。
ランダム要素強いカード収集システムに翻弄されがちだが、要所に散りばめられた確定入手カードとエンディング毎のクリアポイントだけでも十分に戦闘を回せるように設計されている等、シビアな方向ではあるがしっかり練られた難易度に仕上がっている。反面食券周りなどはターン制限の関係もあり、食い合わせが悪かったかなと感じる。
総じてクリアする度に開放される要素よりもプレイヤーのゲームへの理解度の要求が求められており、繰り返しプレイするクエストの自由度の狭さからもシナリオ量とリプレイ性の高さのバランスは良いとは言い難い。
簡単に言えばモチベーションを維持しづらく、後半はわりと作業プレイに近い所もあった。
しかし、シナリオ周りに関して言えば文句なし。シリーズ最終作に相応しい出来である。
シリーズでは後半に起こる魔軍絡みの怒涛の展開が冒頭から始まり、近年の作品に見られたサクセスストーリー的な部分をひっくり返すような容赦ない展開が続く等、まさに人類の未来を賭けた生存闘争。
そこをランス持ち前の人脈と運と実力で乗り越えた先には、しかし状況は詰んでいると言わんばかりの救いのないエンディング群。ランスシリーズとは言えここまで容赦のない作品は後にも先にもあるまい。
そうしてようやく迎えたAエンドでのまさかの結末。まさか鬼畜王での魔王ランスルートまで突っ込むとは思わなかった。
そしてトドメの第二部。
ユーザー=ルドラサウム、三超神=アリススタッフ、ランスワールド=アリスゲーの暗喩という話はランスワールドの設定を追いかけた人にはよく知られた話ではあるが、それを逆手に取る発想に脱帽である。
1部でのそれまでの重苦しさが吹き飛ぶくらいに明るく、賑やかで、騒がしいくらいに楽しいシナリオ。
ルドラサウムに世界は、冒険は楽しさに溢れていると実感してもらう事と、その後ろにいる我々にランスワールドの楽しさを感じてもらうというこのダブルミーニングは、他の作品やメーカーでは決して真似出来ないランスシリーズだからこそ出来た事だと思う。積み重ねた30年の歴史への誇りとそれらに触れてきたプレイヤーへの感謝がこの様なシナリオになったんだろうなと思う。
振り返ればランスシリーズをプレイして楽しかった。
最後のランスだと思うと寂しいけど、けど完結を見届ける事が出来て嬉しかった。
さようなら、ランス。ようやく手にした心の平穏を胸に安らかに眠れ。
お前はエロゲ史上唯一無二で最高の英雄だ。