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tomQさんのえれくと!の長文感想

ユーザー
tomQ
ゲーム
えれくと!
ブランド
アストロノーツ・スピカ
得点
80
参照数
2909

一言コメント

かぐや時代の不遇さは何だったのか言いたくなるほどに高安定した和姦系抜きゲ。ラブとHのド直球を求めるなら是非。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

誰得なシリアスな戦闘描写とやけにHまでのおあずけ感が漂う「さくら色カルテット」やエロゲでゴム付きH、しかも価格帯から見てもシーン数が残念な「姉はカノジョで専属メイド」というかぐや迷走の象徴とも言える作品を担当していたピロ水さん、おめでとう。今作はとても良い作品に仕上がっている。願わくば今後も良質な和姦系抜きゲ原画家として頑張って欲しい。

とまあ本人が閲覧する可能性皆無なネットの片隅で祝福を述べた所で今作の感想を。

エロゲ界、しいてはモン娘界ではケモミミ妖怪と並んでお約束なサキュバスを題材にした作品。学生たちが淫魔であるが故にエロには寛容な学園を舞台にすることで、エロシーン挿入に伴う面倒な流れをご都合的に簡略化することに成功している。
無論、淫魔=ビッチという図式も「ヒロインは全員何故か淫魔の癖にそういうことにはウブな子達ばかり」というシンクロニシティもびっくりなエロゲ理論で論破されている。
この手の作品でそういう整合性を突っ込むのは野暮というもの。

大事なのはその淫魔という設定を逆手に取った「キスはサキュバスにとって大切なもの」という設定。これが何となく流されてたら何となく好きになってヤリまくっていた、という和姦系抜きゲに散見されるダメなテンプレシナリオへの回避に有効に働いている。
どのヒロインもキスシーン、強いては告白の際にはこの設定により実にいじらしいくらいのラブ光線を放ってくる。プレイしてるこちらが思わず身悶えしてしまうくらいに。
そして後は好きならHしまくるのは当然というサキュバス理論によりラブとHのオンパレード。サキュバスと和姦系抜きゲの相性の良さを改めて見せつけられた。

シナリオ面でも一々足を引っ張るようなシリアスさは無く、ルート前半もしくは中盤に小山がひとつあるくらい。この辺りは書き手の方向性の統一が徹底されてたんだろうなと思うくらいの足並み具合。

欠点はHシーンのバリエーションの少なさだろうか。
フェラ・パイズリ・69・膣内挿入でフィニッシュの基本は中出し。
基本は揃っているのだが計50シーンの内8割ほど(体感的に)が同じような流れなので攻略も後半になると少しマンネリ感は感じられる。Hは24時間ウェルカムな淫魔という設定と足並みの揃った書き手の弊害がこの辺りに少し現れている。それを補うくらいのラブラブ感はあるのだが。


かぐやの作品で言えばプリマ☆ステラが好きな人には自信を持っておすすめ出来る作品。
どうせならwinters作品並のベロチューがあっても良かったなあと思ったり。
こちらは告白メインであっちはモロにキスそのものがエロシーンだけど。
おそらくはデモニオンと並んで新規ブランド先行作品ということで気合が入ったのだろうが、果たしてこのレベルを維持出来るのか?期待して見守りたいと思います。