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tomQさんのさかあがりハリケーン ~LET’S PILE UP OUR SCHOOL!~の長文感想

ユーザー
tomQ
ゲーム
さかあがりハリケーン ~LET’S PILE UP OUR SCHOOL!~
ブランド
戯画
得点
80
参照数
768

一言コメント

初心者~ライト層向けなハイテンション型のドタバタ学園モノ。個別分岐後の尺が短めで、そのテンションも下降がちだがキャラ立ては良いので楽しめる。キャラ・内容ともにハルルートが頭一つ抜きん出ているので10点加点。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

当初はCG枚数も少な目と聞き、個人的にも「やっぱり戯画マインか?」と危惧したが、蓋を開けてみればハイテンションなノリがキャッチーですんなりとプレイできた。
ルート分岐のタイミング上、学園祭にシナリオが傾いているのが残念といえば残念。
ヒロイン別で盛り上げるイベントを変えるなどすれば、更に面白く出来たと思うがそれだとシナリオの整合性などで難しいかも知れない。
個別ルート突入後はイベントの尺が短めで、ハイテンションな主人公も少し大人しくなるため痛快なノリは楽しめないが、キャラ萌え的な意味では無難に楽しめる。
クリア順は奈都希→柚→涼→ゆかり→ハルを推奨。
関連性の関係上、涼はゆかりより早めにハルはラストにすると良いと思う。


以下ヒロイン別感想
奈都希
微ツンデレ。学園祭を巡る親の代の確執がメイン。
理事長を取り巻く父親達の確執が描かれているので初めにプレイするのがオススメ。
後半の甘々な展開は良いが個人的に中の人があんまり好きではなかったので減点。
親子の和解などでホロリをさせるなど王道ともいえる出来。


こういうハイテンション型に欠かせない「内部で温度差をつけるのに必要な大人しいヒロイン」
個人的にはこういう話だと一番簡単かつ難しいヒロインだと思う。
「自分の殻からの脱却」というのがテンプレ的内容になり、同時に他の作品との差別化が難しいからだ。柚ルートもそのテンプレから抜け切れず無難な内容に終わっている。
鬱憤溜まってヤンデレ化!とならないだけマシではあるが(苦笑)

ゆかり
近年多くなってきた「暴力的な幼馴染」
ただ「鉄拳制裁も辞さない生徒会長」と「面倒見の良い姉っぽく振舞う幼馴染」のモードを使い分けているので不快度指数は低め。
シナリオの根本に涼が絡むので先にそちらを攻略しないとラストで置いてけぼりを食らってしまう。加えてシナリオの出来自体涼が上なので色々とワリを食っているというのが正直な感想。ただこれだけは言わせて欲しい

何故に巫女さんフェラがないんだあああああ!(泣)


今回の騒動の根本。要所での的確なアドバイスとゆかりとの友情、デレ期の豹変と色々と美味しい所を持っていくヒロイン。さり気無く弄り好きなのがポイント。
完全復活を遂げたこのルートの後日談は見てみたいなあ。
主人公の活躍がなさそうだけど・・・(苦笑)

ハル
アッパー系フルスペック万能娘オカン風味。
キャラも斜め上を行けばシナリオも斜め上を行く今作一押しのヒロイン。
学園モノとしては1・2を争う重いテーマとハルのポジティブなキャラとの融合が良い。決して欝にならず、不退転な状況下での主人公の人間的な成長とハルの主人公への想いをキチンと描き完結している。

全体的にはシナリオの掘り下げが足りない佳作的な出来だったが、ハルルートがキャラ・シナリオ共にツボだったので加点。アッパー系ムードメーカーとして見れば今年一番のヒロインかも知れない。