完全な減点方式で採点するなら、ほぼほぼ100に近い点数になるんじゃないかと思う。それくらい設計図通りに忠実かつ丁寧に作られていますね。まあ裏を返せば、初代をやっている人は予定調和の如く先が読めてしまうという欠点も内包しているワケだけど。
グラフィック(17/20)
新規衣装の一つくらい欲しかったなと思います。エッチCGでスケスケ下着やメイド服、着物などはありましたが全員分はありません。本編同様、春を舞台にしたことで選択肢が狭まったのかなと思います。まあ夏とか冬には出来ないんですけどね。はぴねすは春の物語と決まっているので。
ストーリー(31/50)
構成としては、各ヒロインの後日談6本。菜生ルートという名の破廉恥三昧ルート1本。設計図の元は当然、初代のファンディスク「はぴねすリラックス」ですね。初代を愛し、懐古に浸る人には良いのかな。逆に別段初代に思い入れがない自分は「2」なりの独自性が乏しく退屈を感じてしまった。元来、魔法というものは「何が起こるか予想できないワクワク感の象徴」みたいに捉えられるものなんじゃないかと思うんだけど、ちょっとそこからは外れてしまったかなと。
もちろん、完全に出来ていないって事でもなくて、例えば、璃乃ルートなんかは蛇口の儀式が魔術的性格を帯びてしまい、予期せぬ作用を産むというのは意外な展開でしたし、熾月ルートも新種のマジックアイテムに翻弄される展開で、先が予見しにくいお話になっていました。
ただ6本のルートは枝葉と言ってしまっては失礼かもだけど、本丸は初代FD同様、ホモルートなんですよね。他と比べて尺も非常に長いですし、一番魔法の色が濃い内容になっています。だというのに、意外性が無いんですよね。そもそも初代FDのホモルートが好評だった理由は、当時は今ほど男の娘というのが市民権を得ておらず、ケツマンコは非常に新鮮な穴だったのが一点。そしてそんなジョーカー的な彼が物語のオオトリを飾ってしまう意外性が一点。更にルート内容も、これは一体どうなっているんだ? そしてどういう決着になるんだ? という読者の疑問や関心をグイグイ引いていく良質な出来だった点。以上を鑑みると、ルート自体がある種、革新的で魔法のようにトリッキーな体験だったのかと思われます。
そしてそれを殆どそのままなぞったのが、今作の菜生ルートなんですよね。これを「変わらないはぴねす」と捉えて懐古に浸れるか、或いは今の時代に15年前は新しくてウケたルートを焼き直すのは厳しいと感じるか。まあ基本的にはFDに限らず、はぴねす2自体が前者をターゲットにして企画されたゲームなんだろうと思うし、やりたかった事というのは過不足なく出来ています。図面と照らして減点する箇所は皆無に近いです。ただ前述のように、僕が魔法モノをやる時は、何か新しいワクワクを期待してワクワクさんになってしまうのですが、そういう需要には答えられる作品ではなかったなと。本編以上にそれを顕著に感じました。
或いは、設計図はそのままにホモルートを作るのはそれはそれで良いとして、それとは別にプラスアルファがあったら嬉しかったなと思います。具体的に言うとスズコ先生ルートですね。あの人だけ(菜生以外では)唯一新規ルートの可能性がある人でしたから。主人公が幼い頃から見守ってくれていた人だし、処女だし、今現在も困った時には全力で助けてくれます。もしルートを作るなら、ガチガチの魔法モノとして作っても良いし、或いは過去を見たり追体験したり出来るマジックアイテムなんかを使ってスズコ先生がどれだけ主人公を守ってきてくれたのか改めて確認し恋心を抱かせる、とか。色々やりようはあっただろうし、意外性という点から言っても、母と同じくらいの年代のサブキャラと恋愛関係になるってのは、悪くないんじゃないかと思います。おざなりの3Pだけで終わらせるのは勿体無かったかなと。ちょっと冒険のように思うかもだけど、それこそ初代のホモルートはそれ以上に冒険だっただろうし、そういうスピリットも継承して少しくらいは安定から外れてみても良かったんじゃないかな。
まあバランスが難しいですけどね。初代のファンと、新規に興味を持ってくれた人と、僕のように中途半端な人間(初代はプレイしたけど、どちらかと言えば好きという中間層)と、色んなタイプがプレイするわけですから。それだけ知名度のある作品ということですね。いずれにせよ、どみるの魔法ものラインも一つ区切りと言うか、節目と言うか、そういうものがついた格好ですから、次からはどういう作品が出てくるのか注目したいですね。
エロ(17/20)
花恋3。璃乃2。楓子1。熾月5。瑞月4。真白2。菜生1。3Pが6。枠数自体はもう少しあるのですが、重複枠(例えば花恋と璃乃の3Pは、それぞれのヒロインの枠と3Pの枠の三つに重複して登録される)だったので重複分はカウントしていません。ミドプラということも加味すると、それなりの数だとは思います。ただ非本番が多く(熾月は最たる例)、数ほどは使えなかった印象です。尺はそこそこ長め。卑語はやや少なめくらいかな。3Pは充実していたものの、それ以上の人数でのプレイは無し。
音楽(7/10)
BGMは恐らく新規は無しかな。まあ質自体は良いので使い回しでオッケーでしょう。節約できる所はしないとですね。ただボーカル曲は2曲刷新。踏襲に拘るのならOP曲は電波で良かったのではとも思う。最近なんか業界全体で電波曲減ってきたよね。寂しい。曲の出来自体は悪くなかったと思いますが。
合計(72/100)