ミドルプライスながら12人もの攻略ヒロインを揃えた充実のFD。タイトル画面で「次は誰を攻略しよう?」とヨダレ垂らしながら悩んでる時間も楽しかったです。ただ個人的に激推ししている八岐雪花ちゃんが普通に不遇だったので、そこは非常に残念でした。
グラフィック(19/20)
本編の貯金が凄まじいよね。背景絵がやはりヤバい。あー、天京に帰って来たんだなーと感慨深かった。ただ新規の書き足しが無く、ヒロインにしてもほぼ新規衣装差分がないばかりか、皆で海水浴に行った際に紫乃だけ制服とかいう凄まじい手抜きをしてたりする。財閥のトップなのに水着も買えねえのかよ! と思ったのは僕だけじゃない筈。ただ戦闘時の立ち絵の書き込みは相変わらず力が入っており、睦美さんのソレなんて一枚絵として登録されててもおかしくないレベルの仕上がり。ここら辺の加減点の末に、この点数に落ち着きました。
ストーリー(36/50)
オーソドックスなオムニバス形式で、12通りの恋愛シナリオを楽しめます。つまりは完全に萌えゲーのFDと言う見方で大丈夫だと思います。苦しいのも辛いのも本編で全部終わり。ここからは厳しい冬を越えたご褒美に、爛漫の春を謳歌する。そういったコンセプトでしょうね。朱璃ちゃんが他愛のない掛け合いの中で「私の愛する天京」という言い回しをしたときに、「あぁ、そんな風に誇れる街になったんだ。取り戻したんだな」と暖かい気持ちになると同時、今作は最後まで「こういう雰囲気なのだろうな」と察することが出来ました。
とはいえ、シナリオに起伏やバラエティが無いということは決してなく、或るルートでは過去へ行ったり、或るルートではギャグテイストで進めたり、或るルートでは本編中のIFを基に作っていたり。十人十色(12人ですが)なシナリオ展開に、全く飽きが来なかったです。
ただそれだけに、ヒロイン間で明確に遇不遇が分かれたのが勿体無く思いました。エロシーンの数も格差がありましたし(詳しくは「エロ」の項目で書きます)、余談(クリア後のショートストーリー)も全員分なかったりと。メーカーにもコストや時間の問題があるのは勿論わかりますが、自分の推しが不遇側に入っていると、どうしても愚痴りたくはなりますよね。
僕の場合は雪花ちゃんが該当してしまいました。彼女に関しては「禊は終わっているでしょう」というのが僕個人の見解だし、皇祖様のルートで「八岐もまた被害者なり」というスタンスが示された点も鑑みて、制作側も僕と同意見だったのではないかと推察していたのですが。だからこその昇格ヒロインなのではないかと。で。終わってみると。これが罰だと言わんばかりに、宗仁くんと恋仲になれませんでした。そもそもルート開始時点から朱璃ちゃんと祝言を挙げた後の世界となっていて、その時点で禿げるかと思う程ショックでした。まさかの不倫ルートかと思いきや、夢オチHのみで、想いを伝える事すらなく終了。くおあー。ぬあー。ふんぬー。ウンコ漏れそう。つーか俺的には暗黒スマイル状態の雪花ちゃんと何とか手を組んで、二人で力を合わせて黒主大神さんを救済して、それでもまだ若干ツンケンしてる雪花ちゃんの暗黒スマイルにベロチューしたかったんだよね。そういうルートが見たかったなー。アペンドとかはもう出ないよね。これで終わりかー。
総括。多少の不満はあれど、ほとんどのルートを楽しく読めたし、世界観を壊さない絶妙な塩梅のギャグを交えた掛け合いもセンスが良かった。喜びと幸せに満ちた美しい桃花の都・天京へ7000円で旅行できたって感じで。買って良かったなと素直に思える作品でした。
エロ(16/20)
ここでも格差があります。本編のメイン5人が2回ずつ。サブのうち子柚・睦美・紫乃も2回ずつ。皇祖様・千波矢・五十鈴・雪花が1回ずつ。昇格ヒロインと既存ヒロインのどちらを遇するかというのは、FD永遠の命題なのかもしれませんが、今作では昇格組が不遇ですね。余談も無い上、エロシーンまで少ないのは可哀想な気がしてしまいますが。シーン内容に関しては、体位・シチュともオーソドックスなものが多く、尺も普通くらいですかね。本編で不満だった空中チンコが激減しており、個人的には好印象です。卑語は壊滅的。
音楽(10/10)
主題歌だけで満点取っていくのはやめて下さい。ムービーも凄まじいですよね、あのクオリティ。ED曲も本編同様、切なく暖かい「浸れる」曲に仕上がっています。今書きながら聞いているんですが、本当にこれでもう天京に行けないのかと思うと寂寥感が湧いてきます。自分が思っているより、千桃好きだったんだなー俺。
合計(81/100)