単純で明るい萌えゲーを期待してプレイするのはおススメしません。「初々しさ全開青春ラブコメディ」なるキャッチコピーには苦笑せざるを得ないです。
発売から日も経ってない上、あまり長文がついてないみたいなので、まずネタバレ薄めの感想を書きます。
原画に抜きゲーの実績十分のそらモチさんを起用し、更には電動オナホ対応やBGV完備といった抜き方面の努力が見られるわけですが、肝心のエロシーンライティングがなかひろ氏という凄まじいチグハグ感。僕は氏のアンチでもファンでもないですが、「初恋サクラメント」や「アストラエアの白き永遠」あたりは良いゲームだなと素直に評価しています。しかしエロシーンが上手いライターさんだと感じたことは無いですし、世間的な評価としても所謂「エロ薄ライター」とされている方だと思います。
シナリオに目を転じてみても、氏は長尺モノでこそ評価が高く(先に例示した二作品にしても非常に長いです)、今作のような短編モノには一抹の不安を抱いていたのですが、見事に不安が的中する形になってしまいました。明らかにこの尺でぶち込む話ではないなと言うのが忌憚ない感想です。即ち長尺モノと同じ感覚で着想、案出しをしちゃってるなあ、と。
全体的にこういったチグハグ感が拭えないゲームで、完成度はお世辞にも高いとは言いがたいです。
ここから下は普通にネタバレしているので、購入予定の方はアレしてください。
グラフィック(17/20)
流石は抜きゲー絵師さんと言った感じで、ムチムチ感が良いですね。演出的にも、ヒロインが驚いたときに高速瞬きしたりと細かいです。背景が地味にキレイでしたね。特に空に力入ってて夕焼けとか美麗でした。
ストーリー(25/50)
共通から主人公はモテすぎ状態で、なのに恋愛恐怖症のせいで次々と告白を袖にするわけですから、プレイヤーを納得させるだけのトラウマが必要なのは間違いないんですが、幾らなんでも重過ぎるよ。姉の自殺だけでも重いのに、更に主人公がイタズラに体を重ねた直後に自殺とか……
まず萌えゲー的な側面で見て、ここまで暗い影を落とす設定を持たせるとマズイ。一言感想で書いたキャッチコピーに抵触しているというのは、そういうことです。
次にシナリオゲー的な観点で見ると、ここまで重たい設定の割にライト過ぎる日常が絶望的に合わない。たった数週間恋人ごっこをしただけで、心の傷が癒えてアイラブユーとか、即堕ち2コマかよ。丁寧に書いたら尺が足りない題材だからこういう形になったんだろうけど、そもそも丁寧に書かないと詰まらない題材をこんな短編で扱おうとするのが間違いだよね。
実際、MORE系列とか月石にやらせたら面白そうな題材だよね。姉の死に罪悪感を抱きながら、その姉を奪った恋愛を忌避しながら、それでもグレずに歪まずに優等生として暮らしてるって多分この設定から導かれる主人公像では一番つまんないと個人的には思います。たとえば、空白を埋めるように、姉の幻影を求めるように退廃的で破滅志向的なセックス(モテモテ設定を利用して女を取っかえひっかえとか、或いは妹を捌け口にしているとか)を繰り返す主人公の下に現れる救世主(ヒロイン)が全て赦すカタルシスみたいなパティーンとか。
まあこういう想像の翼を広げたくなるような香ばしい設定だったんだけどね。現状、萌えゲーにするには胸糞がよろしくない。シナリオゲーにするには尺もなければ雰囲気も出ていない。どっちつかずな印象しか持てないですね。最悪でも心の傷が癒える過程や、蒼葉が受け止める所なんかはもう少し描写を厚くするべきだったと思う。尺が足りないなら、いっそ単独ヒロインでも良かったんじゃないかと。朱乃ルートとかただの頭数合わせにしかなってないですからね。
次回作があるなら、萌えに寄せるでもシナリオに寄せるでも良いから、とにかく潔い作品を期待したいですね。
エロ(14/20)
絵、卑語無修正、BGV等々、色々努力の跡は見られますが、既述の通り、なかひろサンなんだよねえ……尺が短い、責めが淡白。射精音は質が悪い。水洗便所が詰まり気味な時みたいな音。水量が多いんだよw水量が。
音楽(2/10)
ボーカル曲なし。これくらいの価格帯のゲームでもやっぱ一曲くらいは欲しいよねえ。BGMも特に耳に残るものはなし。
合計(58/100)