ちょっと愛撫しただけで簡単にハート目晒しやがって。お前の嫁、感度3000倍かよ? ってのは半分冗談としても、演出の安売りが目立ったのも事実だったり。長文内はプライマルハーツへの言及(シナリオのネタバレはしてません)があります。
グラフィック(20/20)
相変わらずのクオリティ。背景絵に関しても水や緑の美麗さ、名所史跡の再現度が素晴らしく、本当に取材に行ったかのよう。あざらしの社員さん達の慰安旅行で行ってきたとかいうオチだったりして。
ストーリー(31/50)
今作は県外へ旅行に行く夏編と、夜間瀬町に戻っての未来編と分かれているわけですが……それが悪いとは申しませんが、物語のピークが分散してしまったのも事実。これは音楽の項目で詳細に書きますが、たかだか旅行の最終日に挿入歌ながされても反応に困ります。未来編こそが本筋なのですから、そこだけにピークを持ってくるべきだったんじゃないかと。現状、夏編と未来編両方のクライマックスを強く演出してしまって、逆にどちらも有り難味が薄くなっている印象です。
と。演出の安売り、過多だけを書くのもアレなので、演出面で良かった点も挙げます。今作の半分が県外に行ってしまっているので、雪国成分が少々不足気味だったところを、上手くカバーしているのがミニゲームですね。夜間瀬町ウォーカーでしたっけ。遊び心に満ちて楽しいだけじゃなく、プレイヤーの「あれ、今作は夜間瀬町が舞台じゃないのか、あの優しい町の雰囲気に浸りたかったのに」っていう願望もある程度は満たしてくれているんじゃないかと。こういう所が丁寧かつユーザー目線で素晴らしいのでこのメーカーさん好きなんだよね。
エロ(18/20)
演出の安売りその一。ハート目の乱舞ですね。ハート目って僕個人の解釈では、アヘ顔を萌えゲー用にマイルドに作ったモノだと思うんですよね。アレほど下品ではなくて、好きな人と最高に気持ちが盛り上がったセックスで快感がマックスになってしまうからこそ出てしまうモノって寸法です。つまり「ここぞの場面」だけで炸裂するからこそ威力が高い代物だと認識しています。多分プレイした方ならわかるでしょうけど、セックス中に暗転、数時間後という演出(つまり一晩中滅茶苦茶セックスしたっていう演出ですね)の暗転明けにヒロインの目がハート目になっているインパクトが今作は皆無なわけです。だってほぼ全部のセックスでハート目が見られるわけですからね。プライマルハーツとかやったことある人はもっと分かりやすいと思うけど、ルート中で必ず一度だけ一晩中セックス、暗転後レイプ目という演出があるんだけど、あれも一度だけだからインパクトがあるわけで、毎度レイプ目になってたら、逆に醒めちゃって「この子セックスする度に気をやってしまってるけど、一度おっきな病院で検査受けたほうが良いんじゃ?」みたいな益体ないこと考えたりしちゃうでしょうね。
加えて、こういった演出の乱用はアヘ顔の下品さを彷彿させてしまう危険性も孕んでたりします。アヘ顔の下品さってのは、表情自体のだらしなさも然ることながら、そんな表情を簡単に何度も晒してしまう心理的なだらしなさってのも要因としてあると思うんです。「こんな少し触れただけで何ちゅう顔して感じまくってんだよ、このメス豚が!」みたいなね。つまり折角アヘ顔より表情をマイルドにしたのに、それと同じような頻度で使ってたら意味無いよって話。
さて。ハート目乱舞のデメリットはこれくらいにして、じゃあ結局その原因は何かというと、先述の通り、物語のピークがバラけてボヤけているからでしょう。つまり何処が「ここぞの場面」か判然としない、伝家の宝刀の抜き所がわからない。だったら全てのセックスで使っちゃおう、となってしまったんだと思います。
音楽(6/10)
演出の安売りその二。挿入歌無双ですね。この短い尺の間に挿入歌が二つも挟まることにより、どうなるかっていうと……夏編スタート(OP曲)→夏編クライマックス(挿入歌)→未来編終了(ED曲)→エピローグ(挿入歌)という暇なし状態。特に未来編のED曲から間髪いれずエピローグの挿入歌は物凄くしつこく感じます。一番プレイヤーの気持ちが乗ってないとダメなのに、「いつまで歌流れてんだよ、全回転リーチか」って感じちゃうと宜しくないんですよね。
まあ元々起伏の少ないゲームだったわけで、それを更にFDにするってのは相当難しいことだと思います。何か事件が起こるわけではなく、新規攻略ヒロインを設けるでもなく、幸せなカップルを延々と描き続けるだけですから。それだけで、大量のアペンドやあまつさえFDまで出せただけでも賞賛モノです。色々書きましたが、あまりに優等生なメーカーさんだからこそ、ついつい高い要求を口にしてしまうというか。本当「言うは易し」ですね。
合計(75/100)