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tkktさんの運命線上のφの長文感想

ユーザー
tkkt
ゲーム
運命線上のφ
ブランド
Lump of Sugar
得点
65
参照数
731

一言コメント

砂糖分を極端に減らし、尖った作品になったかというとそこまででもなく、結局「角ばった何か」が残ったような作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

グラフィック(15/20)
 水着立ち絵になった時の、ななろばさん担当の二人が細すぎてちょっと。ポッキーで顔ささえているような。


ストーリー(28/50)
 設定だったりシナリオ展開だったり、色々な面がキャラ萌えを阻害してしまった印象。そしてそれだけの代償の代わりに得た斬新さも、面白さに直結しなかったという。試み自体は評価したいですけどね。
 まず初回固定のなぎさちゃん。どうしても島や言霊のチュートリアルルートになってしまって、萌えれない。っていうか記憶喪失の設定を実妹にぶっこんで楽しくなるわけもなく。しかも解決を提示しないので、結局最後まで二人の記憶は戻らず。記憶は無くとも兄妹の絆がお互いを惹かれ合せるってな感じなんでしょうが、傍目には出会って数日で合体している(そんなAV企画あったよねw)軽すぎるルートにしか見えません。
 続いて、ホスト側ふたりのルートですが、かりんちゃんルートでは主人公の記憶喪失設定が無くなってます。謎の父親なる存在が唐突に現れ、生い立ちの話をしているので確定でしょう。彼女のルートでは言霊とその反動について深めていく主題になっていますので、まあ邪魔だったんでしょうね、記憶喪失の方の設定は。ただ読んでいる側は、かなりの根幹設定だと思っていたモノがあっさり翻されて困惑の極致です。つうか透けちゃダメっしょ、ライター側の都合みたいなのが。
 リーニャちゃんルートは逆に言霊設定が完全に死に体となっていて、主人公の記憶喪失にしてもダディの設定のためと、リーニャちゃんの過去に同調するための装置としての役割しか果たしていません。島や言霊の仕組み、或いは主人公の記憶喪失の謎を解明するという点では、まったく貢献しておらず、ぶっちゃけ無くても良かったルート。
 そしてトリになるシノちゃんルートに関しては、今度はなぎさちゃんとは真逆で、解決編のナビゲーターとしての性格が強すぎて、とてもとても萌えなどは…状態。ちょっと良い雰囲気になりかけても、すぐさま本筋へと戻ってしまってそんな暇は与えてくれません。ちなみにこの剣豪編と最初の探偵編だけ、恐らくは同一世界線、あるいはかなりそれに近い設定のようですが、さして生かされず。てかなぎさちゃんの気持ちにケジメをみたいな話はどうなったのよ?何の報告もなしにくっついちゃったけど。
 長くなりますが、もう一点、システム面での文句を。
 チャート使い勝手わるすぎ。抜刀モードに頭がいきすぎて、おろそかになってませんか。タイトル画面とか他の編に居る時でも、違う編に自由に行けるようにしといて欲しかった。ついでに手帳も全部の編をどこでも見れるように。あとチャプターブロックにカーソル当てたら最初の方の文が表示されるようにして欲しかった。ミニタイトルみたいなモノだけじゃ、どんな内容だったか思い出せなかったりする。桐月さんシナリオの作品に代表される便利性が見事に抜けている。パクッた上に劣化してるってどゆこと。


エロ(14/20)
 既述のとおり、キャラにいまいち愛着が持ててないもんだから、使い勝手は良くない。サブにもシーンがあったりハーレムがあったりと頑張ってくれているんだけど。
 あと完全に個人的な意見なんですが、つれてくるのは良いけど、定着してくれなかったら、我慢のし損というか。さして声優さん詳しくないし。


音楽(8/10)
 南国っぽい雰囲気と、推理モノっぽい雰囲気を持ったBGMが入り乱れていて、個々というより全体的に質が良かったかと。ED曲も結構すき。


合計(65/100)