シナリオとエロが有機的に絡み高めあっている、18禁の強みが光る傑作。「美麗・エロい・おもしろい」と三拍子揃っている、つーか揃いすぎててロープラの売値で赤字出てないか心配になるレベル。
グラフィック(20/20)
身体描くの上手すぎ。ハリのあるおっぱいが、だけど重力に負けて肉が流れているCGのエロさ。また唇もかなりハッキリ描いていて個人的には凄く好き。そして背景に関しても、暗転で済まさず、ほぼ全箇所に背景絵があるのはビビる。移動中の砂漠とか手を抜いても良さそうなものだけどね。そして登場人物の立ち絵も、本当のモブ以外は全部あります。狂気に駆られた時の表情差分とかすげえ気合入ってるしね。
ここまで映像面でイチャモンのつけようもないゲームってのは直近だとロンドリーフレット以来かな。素晴らしいです。けど小魔女と同じ運命辿る前に、抜けるところは手を抜いてねって感じw
エロ(49/50)
万華鏡とか言いながらリリー以外はマン毛が書かれてないやん! ってのは冗談として、減点はリョナ気味のスライム姦。一応和姦ゲーとして銘打たれてるので。
ただ逆に言うとそれ以外は言うことなし。全22シーン、ムービー付きは5シーン。3Pもあり、SシチュMシチュとも豊富。欠点が無さ過ぎて書くことがないよねw
ストーリー(17/20)
SFもの、アンドロイドものは媒体問わず沢山あるけど、セックスを通して人とロボットの心の機微を描くという切り口は、結構珍しいんじゃないかと。まあ探せば小説ならあるかもだけど、ドラマとか映画だと難しいでしょうね。本当こんなに気軽に提供できるのは18禁ならでは、ですね。
さて。今作はSF技術考証とかは最低限で、多分に心理劇、哲学的な所に主眼が置かれていて、所謂「考えさせられる」お話。というわけで、僕も考えたまま書いていこうと思います。ライターさんの意図と合っているかどうかは知らんっす。
1.愛されることが存在証明。
お前が(アンタが)俺を(あたしを)愛せ! という序盤の主導権の奪い合いは即ち存在証明の方法をそれしか知らない事に起因していたんだと思います。博士は童貞コミュ障で、街に居場所を確立出来ておらず、真に居場所たりえたのはマザーの側が最後です。つまり母の愛情を享受する形でしか関係を構築したことが無いわけです。加え、彼女たちはマザーと同じくロボットですから、無条件に自分を肯定し、居場所になってくれることを一方的に望む。
そして、アリスの側からすると、彼女の世界に他者は(ドロシーが作られるまで)博士しか居ないわけで、どうあっても彼と向き合う以外はなく、認められ愛されることで自身の存在価値を見出そうとするわけです。人間に認められることがロボットの本懐だというプログラミングと、人の心を持っているからこそ他者に大切にされたいという愛情の希求とが混在していたのかな。
ふたりが辿り着くべき答えは簡単で、相手の願いを互いに飲んでやれば良いだけです。と、書くだけなら簡単ですが、これが出来るなら誰も喧嘩なんかしないし戦争も起こらないでしょうね。
そしてまず自分から胸襟を開き愛することを出来たのがドロシーで、作中だれよりも早く「好きだ」の一言を告白します。つまり片側の正答を示してくれる役回りですね。そしてそれに導かれ博士も応えることで双方の正答へという形。博士はドロシーにしてもらったことを今度はアリスにしてあげる、そしてアリスもそれに応えてくれる、という波及でやっと序盤のゴタゴタは落ち着くわけですね。ここら辺の三人の心の機微は良かったと思います。
2.同床異夢
そして三人はいつまでも仲良く暮らしましたとさ、をやりたかったのが博士。二人と一人はいつまでも仲良く暮らしましたとさ、をやりたかったのがアリスとドロシー。博士の自己矛盾は、セックスの相手=恋人という図式を無視し、家族のまま三人でセックスをしながら暮らすという欺瞞。いわく、片方を傷つけてでも手に入れたい大切な存在を選択出来ない幼さ、みたいなヤツ。なんだけど、これ読んでる僕まで軽く皮肉られてまして、ハーレム好きとしてはちょいと耳が痛かったりします。まあいいや、俺のことはどうでも良いんだよ。
ロボット側の矛盾(特にドロシー)は独占欲と家族愛を並存させていること。ドロシーは別に聖女ではなく、博士に真っ先に告白した意図も大部分は博士からの愛情を自分に向けたいから。同時にアリスのことも切り捨てきれず、自分がしたように博士から愛してあげてという示唆でもあったわけです。つまり博士が二人を平等に愛そうとしているのは、ドロシーのこの家族愛、同胞愛に触発された部分も否定できない。だのに、ドロシーはやっぱり自分が一番でありたいとも願う。やっぱ凄い人間くさいよね。
3.三者三様、みっつのキス
ここまでの補完も兼ねて、象徴的なキスを三つほど挙げてみようかと思います。
まず一番最初、博士とアリスのそれは、もう完全に博士が一方的に奪うだけのもので、ラブドールにするものと変わらないです。で、これ面白いのが、所謂カラダから入る展開って、キスが一番最後(恋人関係に正式になるまでキスしない)になることが多いと思うんです。あくまで僕のやってきたゲームの経験則ですけど。だけど博士はするわけですが、果たしてアリスの体中全部穢してやりたいとまで暗い欲望があったとは思えなくて、むしろ潜在的な愛情が既にこの時にはあったと読むのが自然かな。やっぱどこまで行っても彼の原点はマザーだからね。キスだけじゃなく、おっぱいチュパチュパしてたのも象徴的。口唇での接触は精神的幼さの表れって読むとやっぱまた俺自身に跳ね返ってきて嫌だけどw
ちなみにドロシーとの最初のキスも、アリスほど剣呑ではないけど、やはり博士の優位。
そして次に中盤のキス。いわゆるレズキスってヤツだけど、お互いに認め合うキス。実際、これ以降ふたりが互いに本気で排斥するような言動は取りません。けど同時に恋愛的な意味で言うと宣戦布告にも取れます。お互いを魅力的な女性として、博士のパートナー候補として対等に見て、正々堂々たたかいましょうと言う。
そして最後に恋人のキスですね。まあコレは説明不要の、どちらか選んだ証明ですね。アリスの場合は行為の最中に告白しあいながらのキス。ドロシーの場合はキチンと服を着た状態wでのキス。ここら辺の差異は二人の性格やこれまでの経緯を反映してますね。
4.やっぱハーレムはダメですか、そうですか
ハーレムを選ぶと「夢のまま」という感じの打ち切りエンドになります。選ぶことが出来ない幼さを残したままでは、個別で遭遇したような苦難に立ち向かえないということを暗に示唆していますね。加え、潜在的な危険は残ったまま、いつそれが顕在化するかわからないまま過ごす砂上の楼閣みたいな怖さを拭えないまま終わる後味の悪さ。宗教って怖いなあ。
5.まとめ
面白かった。ロープラだとこういう読み手に解釈や感じ方を投げてくる書き方が親和性高そうだよね。テキスト量も抑えつつ行間を読ませるっていうかさ。勿論ライターさんの筆力あってのことだけど。
音楽(6/10)
BGMはアリスのテーマと美少女迷宮あたりが好き。ていうか、BGMも総数29か。値段を考えたらやっぱ豊富な方だろうね。EDは「地獄少女」連想不可避でしたw
合計(92/100)