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tkktさんのイノセントバレット -the false world-の長文感想

ユーザー
tkkt
ゲーム
イノセントバレット -the false world-
ブランド
CINEMATOGRAPH
得点
78
参照数
377

一言コメント

ストーリ展開、キャラの掘り下げ等々、色々と惜しいところがあって、佳作に届かなかった良作。個人的にはこういう「萌え」と「燃え」の融合みたいなゲームは好きなので多分点数は甘め

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

グラフィック(17/20)
 可愛さよりも肉体をキチンと書くという感じ。エロ絵では生きました。男性キャラたちも渋いデザインでグッド。


ストーリー(37/50)
 まず設定に関して。コレは良かったと思います。大きな破綻も矛盾もなく最後まで機能し続けました。この時点でなんちゃってバトルモノとは一線を画しますね。
 しかしその骨子に対して肉付けはあまり上手くいってなかったりします。まず構成があまりよくなかったんでしょうね。どうしても共通の中にヒロイン個別イベを挟む形ですので、イベント間の繋がりが断続的になりがち。バトル→日常(学校でのキャラゲー的イベント)のループで、バトル後の各キャラの心情描写が足りなかった。例を挙げると、隊員が殉死した後、ヒロインではなく別の隊員と話して、少し前を向く主人公という構図で、ヒロインたちがその件についてどういう風に折り合いをつけたのかとかは殆どなく、次の場面では学校で談笑という状態。そんな調子で矢継ぎ早に先のループをこなすものだから、中盤は正直だれました。戦争モノSRPGの育成や戦闘を自分で操作できないような単調さを感じました。
 結局そういった掘り下げの弱さは、彼女たちが戦闘に参加する動機に関しても、口頭では説明してもらえますが、回想シーンもなく、どうにも真に迫ってこない。「萌え」の方を重視して、日常イベに割をさいた結果とも言えます。
 結局彼女たちが自身と向き合うような展開は個別までなく、それもやはり大きくは分量を割かれていません。しかもラスボスをそういったディバイスとして設置してしまったのはとても痛手。普通はああいう精神攻撃的な敵は中ボスとすべきかと。そこでキズを乗り越え、強くなった二人でラスボスとガチンコで勝負という形にしてほしかった。
 まあ言ってしまうと、「萌え」と「燃え」の融合はとてもバランスが難しいということでしょうね。あまり過去のトラウマ的な描写を克明に書きすぎると、キャラ萌えに支障が出かねんという配慮。推測ですが、企画段階では愛ちゃんの過去は凄惨なモノだったんじゃないかと勘繰ってしまいます(親の虐待なんかありそう)が、実際は家族や昔の近しい人たちの話は一切出てこないというやや不自然な感じでルート展開されます。コレは萌えゲー側面からの要請で変更になったんじゃないかと邪推。
 総括すると、色々不満も書きましたが、結局面白かった。(ちょっと背景描写が足りないとは言え)燃える展開を経て結ばれたキャラには愛着が湧く。ここらへんはやっぱ単なる萌えゲーじゃ味わいきれないモノだと思いますし、僕がこれ系のジャンルが好きな主たる理由だったりします。こういう和姦萌え燃えゲー増えないかなあ。


エロ(16/20)
 コレも勿体無かったなあ。グラの項目でも書いた通り、体の書き方が上手くて、CG自体は十分実用できそうなんですが、いかんせんシチュなんかに捻りがなく。こっちはこっちではっちゃけすぎると戦争モノとしての雰囲気を壊しかねんという配慮だったのかもね。


音楽(8/10)
 音楽っていうかSEがちょっとショボめ。作中のBGMで気になるものはなし。OP、挿入歌はそこそこ熱かった。


合計(78/100)