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tkktさんの超電激ストライカーの長文感想

ユーザー
tkkt
ゲーム
超電激ストライカー
ブランド
OVERDRIVE
得点
78
参照数
316

一言コメント

昭和のヒーローアニメをそのままエロゲにしてみましたという感じ。敵勢力の女の子と純愛できるのが個人的にポイント高かったです。ヒルコが可愛すぎて基本イク。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

グラフィック(20/20)
 キャラデザが秀逸。バタ臭さと可愛らしさが絶妙に同居しているっていうか。男キャラはアトムとか009あたりをオマージュしたような雰囲気ですかね。そして凄まじいのがアニメーションムービー。バトルの終盤に数十秒流れたり、ED曲への入りに流れたり、金かけてますw


ストーリー(39/50)
 日常はコミカルに、バトルは熱々に、という感じでメリハリがついていて読みやすかったです。
 日常パートでは、主人公のヤマト君とさやかの掛け合いが楽しかったり、倒すべきバルボラ帝国の軍人がヤマト君のお隣さんという展開(お互い気付かないまま良き隣人関係を築く)だったり、所謂お約束設定の面白さが光ります。ちなみにお互いに正体を知らぬまま刃を交え、最後に気付いた時には互いに「どうして気付かなかったんだ!」と愕然としますが、実際にはお互い変装しているわけでもなく、本当どうして気付かなかったんだよというツッコミを入れたくなります。こういう所もお約束と言えばそうですが、まあ仮面くらいは用意しても良かったかと。全部ネタが分かった上で考えるなら、気付かないように設定されていたってことなんだろうけどね。
 バトルパートに関しても王道中の王道。正義のヒーローと、悪とは断じきれない敵(ミラー)や分かりやすい下衆(カーチス)らとのバトル。前者は正義の在り方に考えさせられ、後者は清々しいまでの勧善懲悪。ただ後半はカーチス無双というか、困ったらコイツ出しとけになってしまったのは芸が無かったかな。超で追加された分が丸々、無印のラストの焼き直し感が強くなってしまったのが残念。しかもオーラスの章なんかは、そのカーチスすらマトモに機能せず、最後は部下の強化人間(ただの雑魚)たち相手にヤマトが負傷するというモヤっとする展開で演出されるので正直ガッカリしました。ネタ切れ感っつーか。身も蓋もない事言っちゃうと、無印のオーラス(天の章だっけ)が一番盛り上がったし、感動的だったし、ちょっとそこからは蛇足のように感じたってのが忌憚ない所感。
 とは言っても総括すると「面白かった」が第一声ですけどね。子供時代の夢(虚構世界)から卒業するってのがテーマとして在り、見事書き切っています。切なくもノスタルジックなお話でした。
 
 こっからはヒルコルートに関して。
 まず彼女自身の魅力ですが、「およそ攻略できそうにない」ってのに尽きると思います。敵の先遣隊の内の一人。高飛車で打算的で性格が良くない。先遣隊内には彼女に懸想する者も居て、更にそれを知っていて彼を利用して上手く動かしたりする悪女っぽさを兼ね備えていて。なんつーか、まさしく昭和のヒーローモノに出てくるステレオタイプな女の敵キャラって感じですよね。そしてそういうヒーローモノでそういった敵キャラと正義のヒーローが結ばれるってのは、まあまず見ないですよね。およそヒロイン枠には入らない、そういうキャラをヒロインにしたらどうなるか?  くっそ可愛いんですよ。
 ルートの最初ではやはり彼女、悪い奴です。ヤマトが金持っている(実際は同じ貧乏アパート住みなので彼女らと経済力は大差ないが親からの仕送りがある)と知るや、利用して奪ってやろうと近づいてくるというのがキッカケです。奥さん屋なるものを思いつき、ヤマトの身の回りの世話をするという名目で、実態は財布を握ることを画策したハズが……いつの間にかヤマトとの生活が楽しくなり、家族の温かみを感じてしまい、仕舞には彼に美味しいものを食べさせるために節約して、料理の勉強をして、パートにまで出始めて、すっかり本物の奥さんになってしまうという、その変化を眺めているのが可愛くて仕方なかったです。狭いボロアパートの狭い台所で、ジャージ姿の女の子と一緒に料理しているCGとかグッと来るわー。サプライズで合鍵プレゼントされて微笑んでいるCGとか汁出るわー。
 そして極めつけが、告白シーン。両親を早くに亡くし、家族の愛情に飢えていた彼女にとってヤマトの存在は最早かけがえのないモノになったと。自分は今まで周囲に馬鹿にされない為に必死に飾って虚勢を張って生きてきたような女だけど、それでも選んでくれお願いだと。もしかすると、僕が子供の頃みたヒーローモノの敵キャラも実は等身大にしてしまえば、こういう孤独を抱えていて、それを繕うために虚勢を張っていたのかなとか考えちゃいましたね。そんな妄想が広がり、おまんこも広がり、無事初体験で両想い。
 結局ラストは大団円とは言い難いですが、こういう物語世界から脱落してしまうようなエンドは個人的には好きな部類で、しかもそれが愛による帰結だっていうんだから、大好物。まさしく愛の章の名に恥じない出来栄え。すごく良かったです。基本は再プレイとかしない僕ですが、二周しました。


エロ(9/20)
 攻略ヒロインが5人いて全部で7シーンとか恥ずかしくないの? エクストラに切り出した2シーンあるけど、あれ出来るなら全員に数回用意できたんじゃないの? 
 シーンの質自体は、絵は地味にエロいし、塗りも良い感じだし、ポテンシャルはありそうだったんですがね。


音楽(10/10)
 BGMは喜怒哀楽はっきり付いているモノが多かったですね。楽曲は沢山。挿入歌の「BREAKING!」や空の章エンド曲あたりは普通に涙腺くる。


合計(78/100)