チンポ忍法勝負、公開ドラゴンセックス、人間コンドームなど、読むだけで徳が下がりそうな変態性交渉を大胆に収録した、界隈待望のファンディスク。本編に負けず劣らず新世界のオイニー香る内容となっており一定の評価は出来るでしょう。しかしながらキャラ間の扱いの差が大きく、特にエッチシーンの質や量にバラツキがあったのが難点。
グラフィック(18/20)
非常に安定感を感じる画力。5500円のミドプラながら新規の一枚絵も多めで、良かったと思います。またパケ絵も丸っこいタッチの可愛らしい物に刷新されていましたね。こんなんで萌えゲーの皮を被れるとでも思っているんでしょうか。新規の背景絵や視覚エフェクトは無し。
ストーリー(35/50)
12本の短編とそれら全てを読んだ後に解放されるハーレムエンド1本からなる構成です。特におススメの順番等もなく、好きなように攻略してオッケーですね。薄汚い話から恋愛色の強い話にパロディまで、幅広いラインナップなので、本当に気の向くままやるのが吉でしょう。なので、本感想では僕がプレイした順で書いていきましょうかね。
・「人魚姫」
ナージャのお話ですね。本編でも一番人気のヒロインですし、やはりそこそこ優遇されていました。尺もそうなんですが、内容的にも正妻の力を改めて示していました。
シンイチが何気なく言った「人間と同じ女の子」という台詞が楔のように効いてしまった話ですね。彼に悪気があったワケでもないし、寧ろその言葉を聞いたナージャの方が「形」に囚われ過ぎた故のすれ違いだと解釈しています。「ほぼ単一外見の民族しかいない二ホン世界に生まれ育ちながら」驚くほどの寛容さを持ち合わせているけど「しかしそれも半分が、ニンゲン種と似た姿だから」受け入れられているんだと勝手に解釈し、龍化の兆候をシンイチの目から隠すように帰国してしまいます。実際、好きな人に醜い姿を見られたくないという気持ちもあったことでしょう。もちろん不安定な成長過程で力を抑えきれずシンイチを傷つけることを危惧して、というのが一番大きな理由でしょうけれど。しかしてナージャは決断し、シンイチの言う「人間と同じ女の子」である半身を残していくわけですが、この子を選ぶか本当のナージャを選ぶかで分岐を入れています。半身の方を選ぶと本体は完全覚醒し、シンイチの暮らしをより安全にするために世界統一の覇道を進みます。こういうバッド側でもキチンと好感度を稼ぐあたりが正妻らしいよね。そして逆に本体を選べば、デミウルゴスまで追いかける展開へ。龍化してしまったナージャに愛を示す為、仲間たちが周囲に居るのにも構わず炎のドラゴンセックスを敢行。漢を見せました。
まあ、本編の焼き直し的でもありますが、ヒトは姿形が大事なのではないんだよ、というメッセージを改めて投げかけてくる短編でしたね。ナージャの一途さも再確認させて、中々あざといですね。
・「左右子の学園七不思議」
(右姫が犯人である)校舎オナニー以外の七不思議の真相を暴こうというお話。ギャグテイストが強めで、七不思議の殆どが身内絡みでドタバタしている内に、開かずの間の真相(実際はただのカップルのヤリ部屋)を暴いたついでに空気にあてられ3P。妖精化した左姫に挿入し、その左姫ごと右姫に挿入するという人間コンドームプレイでした。メッチャ笑った。右姫の人間フォームでのセックスが欲しいと本編感想で書いたけど、まさかこんなアクロバティックな形で叶うとは。相変わらず人を寄せ付けない発想力ですね。元気を貰えます。その後はまあ何やかんやあり、一つだけガチの怨霊が混じっててバトルになったりもしつつ、最後まで明るいノリで終わり。
・「シリウスの日は雨のち晴れ」
いやあ、エッチ欲しかったな。切に。凌辱でも全然かまわないから欲しかった。クリトルリトルでも、さいかわヒロインたんぽぽさんのエロはファンディスクではなかったし、何かわざとやってない? 俺が気に入った子のエッチお預け率よ。一応お話としては、同じ姫という立場でありながらナージャとは違って、本国の言いなりで自由が無いという対比を書きたかったっぽいけど、結局シンイチを篭絡も暗殺もしてないまま帰国できてるし、全然伝わってこない。かなり評価は低いルートですね。
・「ぱん☆ちら」
42ルートの後日談ですね。じれったい二人の関係に業を煮やした右姫の提案で、42がオシャレすることに。白シャツに可愛らしいスカートを履いたドラム型の機械に興奮する気狂いの図が完成します。色々な箇所に手慣れた様子で挿入、射精する姿は普通に気持ち悪かったです。42はこの一話だけでなく、幾つかでメイン級の活躍をするので、かなり優遇されていますね。まあ本編でもナージャに次ぐ二番手ヒロインでしたしね。
・「皇帝だもの」
ナージャにとっては完全にトラウマになるイフストーリーですね。留守にしていた、そのたった一晩で母親に想い人を寝取られるなんて。まあ凄いエロかったけど。しかし母王に関しては、こういうネタ的で独立した形で書かないと、例のアレを追い出すためにバチバチにやり合う展開にせざるを得ないですからね。仕方ないね。ただ欲を言うなら、「停電の夜」でもう1シーン稼いで欲しかったです。存在自体がエロいので。
・「若いから何もこわくなかった」
綱吉と御前の極貧逃亡生活を描いた話。結構長めの尺を与えられており、あまりこの二人に興味が無い自分からすると読むのが億劫だった。そもそも作品舞台から出て行った時点で、しかもサブカプに対する興味なんてお察しだよね。ただ伊藤氏の書き筋としては有りがちなんですよね。そもそも主人公回りだけで完結させる書き方しない人だし。
シナリオ展開としては、冬の寒さに弱い変温動物の御前を守りましょう。そうこうしている隙に、追ってきた刺客にレイプされたのでやっつけましょう。という感じですね。俺もすっかり慣れて感覚麻痺してしまってたけど、いま文字に起こしてみてさ、和姦モノと謳っておきながら息を吐くような自然さでレイプされてんの冷静に考えたら永遠の謎だよね。こういうことするから嫌われるんだろうな、サイクは。まあ兎に角、追手の十兵衛にチンポ忍法勝負で敗北するも、御前の仲裁と、ようやく届いた停戦命令により、和解。防寒術具も貰ってハッピーエンド。
・「42とデートと新しい言葉」
やっぱ42愛されてるなあ。まあ女の子としてではないけど、可愛いのは可愛いんだよね。他の許嫁に対して当たりの強いナージャですら、42には何となく柔らかいですからね。実際、「好き」や「思い出」に当たる言葉が機械語には無いと知り、許嫁間で不公平だと言い出し、皆で新しい言葉を考えてやろうと提案したのはナージャですからね。そして皆で「ああでもない、こうでもない」と騒ぎながら考えている時間こそが「思い出」になっていて……という感じで、暖かい短編に仕上がっていましたね。嫌いじゃないですね。
・「Loan Alone」
プロ子メインの話。叙述トリックというほど大袈裟ではないけど、A面とB面は別の話だと思っていたら結構キレイに繋がって驚きました。こういうのも書けるんですね。年がら年中ウンコのことしか考えてないのかと思っていました。失礼しました。ちゃんと両面読んで初めて全容が分かる書き方になっていましたね。
A面では連戦連敗のバイトでしたが、B面では裏の努力を描いており、料理を頑張ったり、ミ=ゴのアジトをぶっ壊してたり(謎のカメオ出演)。また、共に働くうちに再認識したナージャの強さ(二ホン文化への順応力)に複雑な心境を吐露していたり。まあナージャの驚異的な吸収力は右姫いわく侵略者ならではの先天的能力だから気にするなという事らしいけど(笑)。
失敗続きで落ち込んだりもしたけれど、ただでは起きない所も見せ、最後はナージャに借りを返して終了。で、エロシーンは? また不遇ですか。まあ本編でも文字通りナージャの当て馬っぽい役どころだったし、ちょっと予想できてたけどね。
・「魔法少女にし☆マユコ」
これもほぼほぼネタルートですね。本編では完敗ヒロインだったので、もう少しキッチリ恋愛させてもらえたら良かったのにね(他人事)。ただまあ、西さん自体が複雑な立ち位置だったワケで、力を得た事により許嫁戦線に飛び込めたというのが切ない。恋愛と弱肉強食って、パッと頭の中で繋がってなかったし、言われるまで僕自身まったく気付いてなかったけど、そうだよね、どれだけ想いが強かろうが実力行使で排除されたら勝ち目が無い以上、どうしても抑圧されてしまうよね。こういう目の付け所がやっぱグロいなって思う。萌えゲーには絶対ない発想だよね。
まあそんなワケで力に目覚めた西と許嫁のバトルが勃発。駄馬騎士バリアとか色々ありながら、西が勝利……したところで夢オチみたいな幕引き(左姫の書いてる漫画の中のストーリーでした)で力が抜ける。本当にやりたい放題だね。こんなゲームのファンディスクまでやるような人間なら大体の事は笑って許してくれると思ってるのかな。
・「変身してからわかること」
本作で一番好きな話。言うまでもなくカフカの「変身」のパロディですね。ある朝、目が覚めると芋虫の姿に変身していたシンイチ。だけどオリジナルとは違って、御厨家の家族たちは髪や体形の違和感を口にするだけで、存在自体の変質については恐ろしく鈍感な反応を示すんですよね。これについてはコマドリの言葉が過不足なく説明してくれています。「我らにとって生人間の姿形など、ただのタンパク質分子のカタマリにすぎません。多少デザインが変わっても些細なこと」と。結局、一番の根っこの部分が変わってないのなら、それは同一存在であり、外見の変容・異様は大した問題でもないという事。左姫も「にーちゃんだって、みんなが人間じゃなくてもちゃんと大好きでしょう?」と似た趣旨の示唆。このことでシンイチは絆の強さ、本当の幸せに気付かされ、噛み締めます。本家はカミュの「ペスト」などと並んで不条理小説の代表格と位置づけられることも多いですが、今作では「不条理? ああ、よくあるね(笑)」くらいの呑気さで以って逆に揺るがない物の存在を描き出しています。と、感心しかけていた所に、芋虫騒動はコマドリと左姫のイタズラだったという種明かしがあって色々台無し。まあお高尚なのは似合わないからね。すごく「らしい」オチだと思いました。
・「登場、新たな(?)許嫁!」
各種クリーチャーの立ち絵を有効活用したいが為に作った小話だと作中で明記されています。色んな化物とセックスさせて見世物にする「シンイチで遊ぼう」のコーナーですね。流石にコレでエロシーン3枠数えられるのはキツイなあ。
・「停電の夜」
ヒロインの見た目だけで言うとシリウスと同列くらいに好きなのがコマドリでして、折角なので彼女の話を最後に回してみました。ちょっとはデレてくれたのかな、って所ですね。
物語は、突然停電に見舞われた御厨家の中で起こる事件を軸に展開されます。停電後の二階から聞こえた不審な物音に様子を見に行くか否かで選択肢が出て、それぞれ分岐します。階下に留まると連続でエロシーンが発生。ナージャとプロ子の暗闇ダブルフェラですが、プロ子のシーンは本作ではコレだけなのが切ないっす。フェラが終わると続いて西・42・コマドリの感覚共有セックスが展開されます。イヤイヤ感じさせられるコマドリさんが良かったです。
二階に見に行く方の選択肢を選ぶと、シンイチが謎の人物に(性的に)襲われ昏倒するという事案が発生。コマドリの探偵ごっこが始まります。中々成果は上がらないものの、目が覚めたシンイチは、結果は出ずとも自分の為に頑張ってくれているのは嬉しい、と優しく慰めます。そして話の中で重要な手掛かりを思い出したシンイチに対し、コマドリがご褒美セックスをしてくれる流れに。打算も多く、上に乗られる体位は癪だと考えたり、完デレには程遠いですが、一応は自分の意思で処女を捧げてくれたし、終わった後も「またしてやらんこともない」的なこと言ったり、触れ合ったパーツの換装描写なども無く、気を許してくれそうな兆候は見られました。喜ばしい。本編の裏の顔を思えば、かなりの進歩です。
で、話の結末は、地の文章(視点トリック)を使ったメタメタな推理で犯人はナーディウス11世と看破。と見せかけて真犯人は42、と見せかけてやっぱ母王。ここら辺は凝ろうとしすぎて逆にややこしかったかな。スッキリ終わらせた方が良かったと思う。まあ何だかんだ、コマドリが可愛かったので良しとしましょう。
・「できるかな」
ここまでの12本の短編すべてを読み終えると解放されるハーレムエンド。全員が同時に子供を身ごもりましたというオチ。プロ子とかメインヒロインの一角のクセに超絶冷遇されてて、処女膜あるままなのに、どうなってんだ? と思ったらケツで懐胎してて草。流石に可哀想でしょ。
しかしまあ、それぞれの子供たちを見てみると、全然シンイチ成分なくてヤバい。おまんこ(日本)が壊れるわ。
エロ(16/20)
全20シーン。5500円の非抜きゲーなら(量の話だけで言えば)悪くはないでしょうね。質で言えば、かなり興奮したもの(母王の逆寝取り、コマドリの微デレ、御前のレイプあたりが良質だった)も有れば、何じゃこりゃってのも有って、ムラが激しすぎますね。返す返すもシリウスのエロが欲しかったなぁ。
音楽(4/10)
すべて据え置きかな。一応OP曲はムービーを差し替えていたりと、申し訳程度の体裁は整えていたものの、あまり高い点をつけられる要素は無かったです。
合計(73/100)