撃ち抜かれるような快感
疎い私でも話に聞いていた本作。
伏線が張り巡らせれているタイプの作品ということも聞いていましたが、張り方が巧妙なのかほとんど真相に気づくこともなかったり。
いざ明かされて「ああ~っ!」と唸るわけですが、その撃ち抜かれるような衝撃がなんとも楽しい。思い込みをまんまと利用され、自分って単純だなぁと思いつつも痛快なのです。
主人公、顔に似合わず肝座ってるしハイスペックだなぁ→まぁヘタレな主人公とか叩かれるだけだろうし今どき主人公はこんなもんか。
右手の運動というセリフわりとプッシュしてくるなぁ笑 単なるギャグじゃない?→まぁ主人公も年頃だし所長と同居してるし、あんな夢も見たしねぇ。
……といった具合に「むっ、これ伏線か?」と怪しみはするものの、深く考えず流されてしまうんですよね。
所長ではなく柳楽さんに協力してもらってるのも単に警察の方がうってつけだとか、所長を危険な目に合わせたくないんだろうなーとしか思えませんでした。
それだけに、扉越しに司の解決編を始める一連の流れは盛り上がり最高潮。
扉を開けてCGが表示されたときの衝撃ときたら…… 早く話を読み進めたい一方で湧き上がるテンションを抑えられずその場で立ち上がってしまうほどでした。
ここはBGMもかなりいい仕事をしてくれましたね。メリッサルートのラストもそうでしたが。
(ただ、人気作の山場なだけに「目が光ってるピンクのメイド」をかつてどこかで見た記憶があったせいか衝撃が緩和されてしまった、悔しい)
不満点を挙げるとしたら、伏線の答え合わせの回想がクドく感じることもあったところ。
ちょっと前の会話くらい回想で振り返らなくてもいいんじゃないかなーと。
その他雑感です。
・実際にいたら付き合いがめんどくさいサブキャラたちですがみんな好きになれた。別れとなると寂しくて、いかにも死にそうな成金だなーと思っていたナリゴンにジンときたし。やかましいと思っていたマイに泣かされた。
・だからこそ未来に帰ってからみんなに託された「お土産」がラストに映ったりしたら最高だったろうなぁ……
・でもスタッフロールでそれぞれの未来を描かれる演出はたまらない。
・そのスタッフロールの柳楽さんのCGよ……いっそCGなし組の方がマシでしたね。
・蓮ちゃんが本筋に絡めなくてさみしい。クライマックスでジェバンニが一晩でやってくれましたを彷彿とさせる職人芸したときは笑っていいのかどうなのか。
・出てくるだけで話をおもしろくしてくれる加藤大尉がイチ推しです。声も某ほうちゅうに似ててカッコいいしいい悪役でした。ただ、謎に包まれているからこそのキャラとはいえ、後半になると威圧感や強敵感がイマイチ失せつつあるように感じましたね。バックボーンも掘り下げてほしかった……
・不知出家の掛け軸が左読みなのは伏線かと思ったら違った。単なるなにかのネタ?
・いつも見えそうで見えないアララギなだけに思わぬシーンで見えてにっこり。