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tiiconさんの時計仕掛けのレイライン -朝霧に散る花-の長文感想

ユーザー
tiicon
ゲーム
時計仕掛けのレイライン -朝霧に散る花-
ブランド
UNiSONSHIFT:Blossom
得点
87
参照数
294

一言コメント

良きハッピーエンド

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

クライマックスにしてトクサ側が追い詰められる展開にも関わらず、前作の方がざわざわと心を動かされたのは確か。
なのでそれほど夢中になって読み進められたわけではないのですが、今となってはそれくらいの空気の方が気持ちよく終われてよかったなーと思います。
敵側がそれほど過激な手段に出ないことも同じですね。いかにもな悪役じゃなくてよかったとなと。

それでも唸らされるような衝撃的な展開はやはりありました。
1番は黒谷さん。3作続けてプレイした身ですが、前回のあらすじもきっちりチェックしていただけにやられました…… そんなところにも仕込みを入れてくるなんて……
あと、それほど真っ赤ではないですが目の色が赤系ですし。

黒幕の正体も明かされる直前に気づいてゾクッとしましたね。これは気づけない……
前作でランプからそれとなく後ずさりしたり一応伏線はありますが気づけた人どれくらいいたんだろうか。
ただ正体判明がピーク。以降何かした覚えがすでになかったり。
モー子やみっちーと同じく大切な友達を助けたい、でも助けられず誰かを犠牲にする方向へ進んでしまった悪役っぽさは好きではありますけどね。
あとホムンクルス3人並んで待ち構えるCGもいい。


その他雑感。

・みっちー
モー子のことはもうお見通し。それでいて過度にイジりすぎないバランスがとても良かった。
彼を通して可愛いモー子を堪能しつつ、モー子を通してどこか自分の中の乙女が喜んでいたり…… それくらいいい関係だったと言えます。
最後も主人公らしく決めてくれました。

・モー子
捕らえられてもなお活躍。
ルイもモー子もリタイアした危機的状態をもうちょっと楽しみたかった気はしますが、それはそれとして冴え渡る読みが爽快でした。
いよいよヒロイン力もすごいことになってますし、黒谷化したときのみっちーへの言動や夢だからとデレまくる姿がもうたまりませんね。

・おまる
睦月可愛い、可愛いけど……と、おまるロスに陥りました。
序盤、遺品によって睦月がおまるに見えてみっちーが罪悪感を持つ流れがありましたが、ここも脚本の手玉に取られた気分です。
黄昏のBL抱っことか残影のキービジュとかお前ヒロインかよと思っていたらすっかり物語のヒロインポジションに。無事に再会できてよかったよかった。
年齢差があるも、変わらずトクサのメンバーと仲良くやっていくのでしょう。2人の結婚をにこやかに祝うおまるが見たい。
年齢差といえば、事実が発覚するたびにトクサの最年長が入れ替わっていくギミックは面白いですね。

・鍔姫ちゃん、スミちゃん
一応活躍はしてる……してるけどやたら洗脳されてる魔女のおふたりさん。
鍔姫ちゃんは敵のときの方がイケメンすぎて惚れそうでしたし。
有能魔女がどんどん増えていくから仕方がないかなぁ。

・アーデルハイト
アーリックとの対峙がカッコ良すぎる。ポンコツっぷりはどこへやらと聞きたくなるほどです。
まぁ煽ろうとしたら逆に煽り返されて負けるあたりはポンコツですけどそういうルイ想いなところがまた魅力的。
その後、怪しいほどあっさり帰ってきましたが……なにもなかったという。疑心暗鬼になりすぎですかね?
そりゃモブ風紀の見張りくらいなら突破できるでしょうけども。

・ルイ
チートという言葉が浮かんでしまいました。
しばらくリタイアしたもののそれでも見せ場に恵まれてますね。
そこにややモヤモヤを覚えたものの、後日談を思えばね…… チートなくらいで結構結構。強く生きてくれ……


・睦月
意外と出番がなかったなぁ。おむつ言い出した時点で好きになれそうだったんですが。
まぁおまるに代わってバリバリ活躍されるのも困るんですけどね。我ながら面倒なオタクです。

・アーリック
こっちも活躍に恵まれない新キャラ。存在が対ルイ用兵器って感じ。
失態さんの汚名返上する程度の活躍が見たかった気もしますが、失態さんとして永遠にイジられてほしい気も。

・OP
前作前々作のOPはお札のテーマBGMで君に会いたくてー君に会いたくてーが脳内再生される程度だったのですが、今作のOPはお気に入り。
最終章らしいメロディや歌詞に映像もこれまでの要素とこれからの期待不安を煽るCG。本編を進めず何度も見返してしまいました(でも音質が悪いのか割れてるのはおま環?)。
ラストの背中がイケメンなおまるはいったいどちら様……?と言いたくなりましたね(褒め言葉)。