乱暴且つ丁寧に紡がれた「家族」再構築の物語。粗も目立つけど、とても好きな作品です。
立ち絵がアレなのもご愛敬。
ゲームかアニメか漫画でしかあり得ないような展開の多い物語ですけど
(ひょっとしたら制作時間の制約によるのかもしれませんが…)
上手にリアリティを香り付けしてあるせいか、その無茶さがあまり鼻につかないのがいいです。
若干(確信犯ぽく)説教くさいところもありますが、物を語るってそういうもんかも。
個人的に「人死にを出さずにきっちり泣かせる」「会話のテンポが神懸かり的に良い」
「主人公を人間として描こうという情熱を感じる」あたりがツボでした。
時系列的なミスとか、強引なご都合展開とか、気になった点もたくさんありましたけど、
とりあえずゲームやった後でオムライスつくって食べた私にエラソーに重箱つつく権利はないですね(苦笑)
時折この作品への批評で「内輪に閉じた世界観が気持ち悪い」みたいなのがあるようですけど、
まずは近くにいる人からきちんと関係を築こうというのは、そう悪い考え方ではないように思います。
何せ登場人物のほとんどが幼少時にそれをきちんと身につけることが出来なかったわけですし(笑)。
とにかく暖かい視点の作品、私は大好きです。
-----
追記。
久しぶりにプレイというか、内容確認していろいろ妄想しました。
伏線とその解決が尋常ではないです、この物語。
シナリオ毎に微妙に伏線の意味合いがずれる所とかは感涙もの。
音楽も反則すぎますね。
シナリオ忘れててもBGMで涙でてくるし。
(主題歌とかのDsの打ち込みとかはどうかと思いますが:苦笑)
取り敢えず、準の恋愛の悲しさって実は普通に恋したら感じることでしょう?
だからこそ、通じないことが人生の破滅みたいに感じてしまう準って恐ろしくカワイイんですけどね。
-----
追補その2
やっぱ、なんどやっても泣けますねぇ。
リアルな痛みとシンクロしてるのが理由なのかなあ?
この作品を超える感情の揺さぶりが難しいのは
きっと、傷つくことを乗り越えるという、現実においては当たり前の物語を
エロゲが避けているということに尽きるんでしょう。
俺がkeyの作品に感動しない理由がようやくわかったような気がします。
痛みを伴う努力の結果が美しいんであって、
振って沸いたような幸せなんて重みがないんですよ、きっと。
自堕落で幸せになろうなんておこがましいってことです。