Hello World :) ちょっとSF者な俺の個人的好みが強く反映しちゃってますが、傑作と言いたい作品です。スタート直後からガツンと来ました。感情を追い求めるアンドロイドである主人公は対人関係に戸惑う現代の若者のメタファー。無知ではない無垢。人と触れあいながら築かれていく心。シナリオも絵もいろいろ欠点ありですが、こんな話を読ませてくれてありがとう!
いやもう、イントロからかなりきてますね。
前半、徹底したまどろっこしい主人公視点の叙述にもうノックアウト。
感情がないと「思いこんでいる」主人公の、なんと感情豊かなことよ。
オズの魔法使いのブリキマンみたいですね。
主人公と脇役のキャラ立てのよさはさすがニトロ。
惜しむらくはヒロイン達の萌えというテーマが若干しくじり気味なとこでしょうか?(苦笑)
素直に普通の女の子並べた方がこの作品では萌えたかも。
(主人公が勝手に萌え視点で読み替えてくれるんですから:爆)
バーチャル・アイドルへの歪んだ愛情に壊れたVIFCや、
超高齢化社会への政府の対策の本質的矛盾をついた心のケアの問題、
共稼ぎを加速せざるを得ない状況が生み出す家庭崩壊、
そして腐り続ける●チャンネル(爆)、
その他もろもろ、「心」というテーマをはずさないで
様々な現実の問題をカルカチュアライズして提示し、
しかもそれが物語のキーとして機能しています。
シナリオはもう少し巧く整頓して短くして欲しかったようにも思いますが、
ライターさんの「書きたいんだ!」という意欲が感じられて
こういうのもありかなあ、なんて気持ちになったり。
怒濤の後半は風呂敷のはじけた広げ方とか賛否両論あるでしょうが、
ニトロですもの、こうじゃないと嘘でしょ?(笑)
立ち絵のポーズがどうにもこうにもだったり、
兎に角長すぎて辛かったり、
使い回しのテキストが矛盾だらけだったりと、
いろいろ不満もありますが、
恋愛シミュレーションの体裁を借りた心の再定義の物語、
ギミックはさておき、こういうのをSFマインドと言うんでしょう。
で、実はノーマルエンドの方がぐっと来たかも。
(トゥルーもいいんですよ?)
こういう話にはさりげなく切ない後味が似合います。
エロなしで男性の友人増やしたら、星雲賞狙える作品つくれたかもねえ…