期待外れ
主人公(みさき)がかなりナルシーです。(構造の結果的にナルシストとして描かれます)
音楽をモチーフにした作品として他に「乙女が奏でる恋のアリア」がありますが、
そちらの真のモチーフは剣や弓をとって戦う乙女たちの勇姿であり、
"恋のアリア"というよりは"恋のヴァルキュリア"であったため、
同じ主人公一人称視点であっても、感嘆・憧憬の対象として描かれるのは常にヒロインでした。
……が、今作は主人公一人称視点で自分たちの演奏の悦に浸るため、ナルシーです。
演奏を表現するのに「すごい」「上手」「優しい」を連発するシナリオ文は、
そもそもライターに音楽の専門知識がないように見受けられるのですが、
どうも物書きとして根本的に技術不足らしかったと、いくつかのルートのラストで思い知らされました。
「僕たち(わたしたち)は今日、~~小学校を卒業します。
期待と不安を胸にのぞんだ入学式、楽しかった修学旅行、うんたらかんたら」
……小学校卒業式のような強引な〆が主人公みさきの独白として流れます。
そういうのは書かずともプレイを通して感じさせなければダメでしょう。