南の島でのイチャラブパートと、心に傷を持つヒロインを現実的な主人公が助けるシリアスパートが合わさったシナリオ。Hシーンはエロいです。イチャラブとシリアス、統一感があるとは言いがたいですが、どちらも単体として見ると質が良いのです私は大満足。あと、羽海が可愛すぎてニヤニヤが止まりませんでした。
◆ シリアスとイチャラブが混ざったシナリオ
● 現実主義者の主人公
主人公は「自分なんか大したことない人間だ」と何かにつけて自己評価が低い一方で、「誰にも頼らず自立して生き抜いてやる」という気概に溢れいてる大学生。
南の島に来る前は「他人に興味を示さず自分のことばかり考えていた」らしい。
主人公はそう思っているし、周囲もそう指摘しているが、ゲーム開始当初から泥酔した羽海を部屋に引き取ったり、羽海のなくした指輪をバイトをサボってまで探したりと、結構他人の世話をしているように私は感じました。「他人に興味を示さず自分のことばかり考えていた」という設定は、ゲーム内での主人公の行動と乖離しているようにも感じられました。
批評空間内での主人公の評価は「理屈っぽい」というのが多いですが、私から見ると、主人公は人をよく観察し、現実的かつ理論的に考えているように思います。学生の立場でありながら、愛の結晶とか言って安易に子作りに走る他のゲームの主人公にげんなりしている私にとっては、現実主義な主人公は好印象でした。一方で、現実主義者で自己評価の低い主人公は、南のリゾート地でのイチャラブゲーを期待している人から見ると、浮いていると見えたのかもしれません。
また、ギャグっぽい雰囲気でのイチャラブにおいて、現実的な視点の主人公は、イチャラブに浸りたいプレーヤーからみたら、物語への没入感を妨げる異物になるのかもしれません。だけど私は、ゲームプレイ中も、現実での価値・行動基準を忘れることが出来ない性格なので、この主人公の現実的な視線はとても共感しやすかったです。
● 物語の流れ
主人公・羽海と仲良くなる*→島にバイトに来る→ヒロインたちと仲良くなる(ここからルート分岐)→ヒロインの彼女になる→ヒロインの心の傷が表れる*→主人公の働きかけで、ヒロインは心の傷を克服しようと前向きに動く決意をする*→エピローグ*
(ここで、*をつけたのが現実的 and/or シリアスなパートであり、それ以外は、特に前半のヒロインとの交流はギャグ的なイチャラブパートとなっています)
シナリオの傾向として 現実的→ギャグ的→現実的 となっていて、 現実/ギャグ の切り替えで、私は戸惑ってしまいました。
羽海と仲良くなるパートでは、「コンパ」「バイト」「サークル」「生活費」といったリアルな大学でのキーワードが出てきており、また主人公・羽海共に現実にいそうな人物像となっています。
一方、島に来てみると、日本語の使い方がおかしい汐璃、平地ですら結構な頻度でつまずく莉帆、おどおどしている小波など、ゲームの中などよくあるキャラだが、現実にいるとコミュ障か障害者扱いされてもおかしくないキャラが待ち受けており、自分の中でのリアルの基準の切り替えが必要になりました。
慣れてしまえばよくあるキャラ設定なので、ゲーム的リアルの基準に意識を切り替えれば違和感がなくなりましたが、当初は急にギャグっぽくなったので面食らってしまいました。
ギャグ的な雰囲気でヒロインと仲良くなり、無事彼女となったところで、ヒロインのトラウマが突然顕在化。トラウマは「実家の破産」「いじめの被害者・傍観者」「両親の事故死」といったシリアスな内容です。それらのトラウマは、現実的に解決できる問題ではなく、心の持ちようで乗り越えていかなければならない問題になっています。解決するのはヒロインの気持ち次第という展開は、非常に私好みでした。『恐れ忌避するのは自身の心の問題であり、それを克服するのもまた自身の心の問題である。さぁヒロインよ、お前はこの問題をどうやってケリをつけるのだ。お前の答えを教えてくれ』という心境で、私はこの展開をワクワクしながら見ていました。愉悦のあまり結構なゲス顔をしていたような気もします。
主人公はそのヒロインの問題に対して、どのような言葉をかければ解決の糸口になるか真剣に考え、行動していったのは爽快でした。現実を見据えて思考し、行動する主人公というのは好感度が高くなります。
◆ 各ルートごとの評価
羽海√ 95点, さんご√ 82点, 莉帆√ 78点, 汐璃√ 76点, 渚√ 71点, 3P√ 60点 となりました。
評価の高い順からコメントしていきます。
HCG枚数は差分抜きです。
(1) 羽海ルート 95点 (HCG 11枚, Hシーン 6つ)
シリアス面でのシナリオはつまらないけれど、メインヒロインの羽海が可愛すぎて高得点。
羽海ルートでの問題は、渚さんが元凶であり、彼女の公私混同も如何なものかと思うし、主人公と羽海も深刻に捉えすぎ。羽海が可愛く感じられなかったら、70点くらいのできのシナリオでした。
一方、イチャラブ面では私のプレイ歴の中でも最高のものでした。
羽海は真面目な頑張り屋さん。主人公とよく話し、絶妙な加減で甘えている姿がたまらなく可愛かったです。主人公に「好き」と言ったり言われたりしているときの幸せそうな顔とか、一緒のベッドでイチャイチャ語らうシーンとかがあり、とても癒されました。
(2) さんごルート 82点 (HCG 8枚, Hシーン 5つ)
テーマは「『友達のため』ってその友達は本当に望んでいるの?」
学校でいじめられたため、おどおどした性格になった小波ちゃんに対して、傍観者だった負い目からなんとか以前の明るい性格に戻そうと必死に世話を焼くさんごちゃん。だけれども、小波ちゃんはその世話を忌々しく思っていて、一方でさんごちゃんは世話を焼くという関係に依存していて。。。という見事なすれ違いっぷり。2人の関係が壊れる時のカタルシスは見ていて本当にゾクゾクして、本作の中で最も愉悦なシーンでした。
その後に、主人公とのHに逃避する様子もたまりませんでした。
小波ちゃんもさんごちゃんも、逃げずに相手に自分の考えを説明した上で仲直りするのは、お約束とはいえ、いい話ですね。
(3) 莉帆ルート 78点 (HCG 7枚, Hシーン 5つ)
テーマは「幸せになれるという思い込み」
幸せになる手段にお金が絡んできて、莉帆の行動も強迫的なので、一気にシナリオが生々しくまた痛々しくなっています。また、自分でキャラ作りをしているところもとっても、見ていて心が削られるようで愉悦でした。
当初は「世間知らずの純朴お嬢様」かと思ったら「世間知らずのH大好きお嬢様」だったというのは意外でした。エロいのでそれで全然OKなんですけど。
(4) 汐璃ルート 76点 (HCG 7枚, Hシーン 5つ)
テーマは「優しい世界から踏み出す勇気」
テーマは私の好みで、主人公がヒロインを一生支えてやると啖呵を切るシーンは主人公ボイスありで聞きたかったほど好きです。一方で、渚さん・航さんの台詞が思わせぶりで脱線が多く、聞いていてイライラしてきました。
Hシーンで、汐璃がMっ気を出してきたのも、それに合わせて主人公もSっぽい行動が多かったのも意外でした。汐璃も主人公もHシーンだけ性格変わっている気もしますが、エロいので気にしませんでした。
(5) 渚ルート 71点 (HCG 8枚, Hシーン 5つ)
パリッとした有能なお姉さんが恋人になったら乙女になって甘えてくるというギャップは確かに萌えるのですが、主人公と恋人になる過程に不満が残ります。いくら何でも、働いた経験のないバイト君(主人公)に仕事について説教されるというシナリオはないんじゃないですか。
エピローグで、主人公にしこたま甘える渚さんは可愛かったです。
(6) 3Pルート 60点 (HCG 4枚, Hシーン 2つ)
主人公・さんご・汐璃 と 主人公・羽海・莉帆 の組み合わせで、ホラーっぽい雰囲気だったり主人公がベッドヤクザになったりと、本編とは全く異なる世界の話のようで、私にとっては完全に蛇足なルートでした。
◆ Hシーン内訳
・フェラ:4つ (羽海, さんご, 汐璃, 渚)
・パイズリ:2つ (莉帆, 渚)
・手コキ:3つ (さんご, 汐璃, 渚)
・足コキ:1つ (渚)
・放尿:1つ (さんご) ※SEなし、飲尿の感想あり
・アナル:1つ (莉帆)
・シックス・ナイン:2つ (さんご, 莉帆)
・3P:2つ(前述)
・それ以外のHシーン 12つ
HCG 計45枚
Hシーン 計28つ
◆ 総括
私がエロゲーで重視する「シリアス成分のあるシナリオ」「イチャラブ」「Hシーン」「現実的な主人公」の4つの要素が全てあり、どれも質が良いためかなり満足できました。特に、羽海の可愛さは私的ヒロインランキングTOP5に入る可愛さで、メインヒロインとしてシナリオの分量が多かったのは本当に幸せでした。
一方で、現実的なシリアスなシナリオとイチャラブとが分離しているようにも感じられました(特に羽海ルート)。現実的なシナリオとイチャラブを乖離させることなく、2つがつながりのあるシナリオになれば、もっと心に残る作品になれたように思います。
シリアスとイチャラブという、一見すると相反するものに統一感をもたせるのは大変かと思いますが、今後も是非挑戦して欲しいです。