丁寧に作られている作品
自分の長文感想では、よく「好みによりますが」と書きます。
言うまでもなくこれが評価を左右する重要な要因になります。
好みとはもちろん、シナリオであったりグラフィックであったり音楽であったり。
その他いろいろ。
他の方の評価はあまり良くありませんが、このような意味ではかなりたのしめました。
これはグラフィックと細かな演出によるところが大きいと思います。
とても丁寧に作られているという感じ。
あとはサーシャでしょうか。
グラフィックと細かな演出に関して。
主人公の視点の移動で画面が動いたり、会話をしているキャラ以外にもさり気なく表情の変化があったり。
他にもいろいろと細かな演出が仕込まれています。
特にエリス、アリア、サーシャの表情。
どのくらいの差分があるのでしょうか。
表情の変化がない方が少ないくらいで。
何気ないテキストの一文でいくつもの表情の変化があったりします。
他にも、例えば、「幸せと不幸せ」の風呂で、の場面。
もう何枚差分があるのか……(188枚)。
また、その変化も巧く、例えば、「特別だということ」の「あーん」の場面。
エリスのはにかみの表情に一瞬見せる期待の表情。
心情を表情の変化で描写しています。
言葉(テキスト)で語らせるよりも有効なのは言うまでもありません。
システムに関して。
BACK LOGにある「SCENE JUMP」、最近の他の作品にも見かけますが、これは便利。
ちょっとした見逃しなどがある場合、簡単に戻ることができます。
シナリオに関して。
エリス
エピローグ、きれいにまとめていたと思います。
リボンは思い出以外の目的があったということ。
エンディングに被せたりスマホでエリスの画像を見たり、再会に至る演出も巧いのでは。
エピソードにしても、割と良くできていたと思います(他のルートの作家とは違うのか)。
ミリーナ
ヴァンパイアの血が混じっているということで、トゥメイトは伏線と言えば言えるのでしょうか。
アリアのギョウザに対してどのような反応を示したかは確認を取っていませんが。
にしても……。
眷属の儀式、クラウスがするとは。
しかも、あっさりと成功。
そして、ミリーナの「十年、五十年、百年……さらに長く」。
それで本当に良いのでしょうか。
何か間違っているような。
異なる寿命でも互いにそれを受け入れて幸せに生きていく、が正しいのでは。
例えば、二人が百年以上生きていても、身近な人々は生きていません。
メリットよりもデメリットが多いからこそ、不老不死は否定されることが多いのではないかと思います。
まあ、二人で、なのでそれを超えていけるのかもしれませんが。
レオ様
ジジイの召還獣でもあったということで、エリスにとってある意味ジジイの形見。
ジジイが他界した後、エリスの傍に付き添っていたこともあり、エリスにとって大切な存在と言えます。
結局、短い時間であったにせよエリスの夢を叶えたことになりますし。
ただ、ジジイはあのSDなレオ様を召喚していたのでしょうか。
ジジイは本当は本来の姿のレオ様を召喚できていたのでは。
エリスに召喚魔法を好きになってほしかったために約束をしたのでは。
というように、レオ様はエリスルートにおいて意外と重要な存在となっています。
ということで……。
エンディングムービーまで手を抜いていないところなど、作品全体として十分評価ができます。
ただ、リズリールートをエリスルート程度に頑張ってほしかったと。
現在に至る過程(設定)は良かったので。