全体的にバランス良くまとまったキャラゲー。ただ、見所は少なくストレスなポイントはチラホラ……。ある意味では闘神3の失敗から学んでいるが、ある意味では大帝国の失敗を繰り返した。
SRPGとしての内容やそのバランスは、ほどほどレベルにまあ良好。
単調なのに物量だけは多いクエストはいただけないが、困った事に最近はそういうゲームの枚挙に暇がないので、特筆する程では無い。
グラとサウンドは、好みはあるだろうが、文句を言うような所ではないかと思う。
キャラ周りも魅力的に出来てたとは思うが、突出した部分は欠くかもしれない。
テキストとシナリオも、そこそこテンポよく読みやすく、それなりに上手くまとまる。
欲を言えばもう少しボリュームが欲しかったか。
基本的には主要キャラを囲った学園日常モノという趣な割に、パーティーが揃う頃にはシナリオが残り半分というのはやや淋しい。
と、ここまでなら単純に良作なのだが……
それでは不満点。
このゲームの不満点、それは周回プレイのチグハグさ、まとめてしまえばこの一言に尽きる。
まず、ほとんどの要素を引き継ぐくせにレベルだけは引き継がないこと。
装備(バインド)だけは引き継いでいるのでレベル差のある的とも戦えるが、5レベル以上差のある相手と戦っても経験値が増えない(経験値上限500)。
これは、バインドに入る経験値のシステム(キャラに入る経験値の1/3で固定)に合わせた仕様なのだろうが、結果、クエストを無視してシナリオだけを進めるわけにもいかず、かつ効率の良いレベル上げ手段も限界が低い、という事態に陥る。
そもそもバインドのレベルも一周目である程度カンストしてしまっているので、レベル上げ作業も非常に地味。
キャラクターだけ成長はするが、その成長はかつて一周目で見た成長とほとんど変わらないのである。
そしてクエストでのレベル上げには一切のリスクが無いのだが、結果、本当に味気のない作業になってしまう
二周目用のバインドもいるが実質たった3体。
二周目になると大量の高難度クエストが解禁されるが、それらに挑むためには地味なレベル上げ作業をちまちまとこなす必要がある。
これでダレないというのは中々難しいと思う。
さらに、キャラゲーだというのにメインシナリオが一本道でエンディングだけ分岐……
というのはまあ、我慢が効くのだが。
このエンディングをヒロイン5人ぶん回収しようとするなら、つまりゲームを5周しなくてはならないというのは、上記のゲーム面の問題もありなかなか苦しい。
好感度は引き継ぐがイベントは順々に見ていかなくてはならない仕様なので、延々と復習が続く。
しかも、微妙に自由行動の縛りや日数がきつくて、ハーレムモード(恋人確定によるイベント制限の解除)なんてあっても効率よくイベントを回れるわけでもないので虚しい。
キャラ攻略が結局は平坦なイベント回収作業でしかない事も問題に拍車をかける。
いっそ、フリー攻略モードみたいなものがあれば良かったのに。
シーンスキップを駆使しても如何せんイベントの数が多く、手間がかかってしまうのも辛い。
しかも、もうコツも分かってしまって単調になりがちなイベント戦闘のオマケ付き。
ディエラゴール戦などは壮大で楽しいが、そう何度もやりたいものではないのに……。
あとこれは個人的な恨み言かもしれないが……
こういうゲームではどうしても各キャラを平たく育てていこうとしてしまう性分なのだが。
結果、2周して高難度クエストも全てこなした割に、好感度イベントが一人も最後まで行ってない、という最悪の状況に陥ってしまった。
非常に遠回りな状況になった回想埋めに心が折れて、私のバインドシーカーは終了となってしまった。
周回するにあたって、単に労力を厭うという話ではない。
大悪司や大番長、戦国ランスのように手探りで周回を重ね埋めていく、ないし、調べながら計画立てて周回し進めていくような楽しみはなく、軽快に進めていくための配慮はかなり中途半端。
高難度クエストはあくまでオマケ程度で、ゲーム性を助長するものではない。
シナリオの分岐で楽しめるならまだ良かったが、それも無かった。
ただ各イベントを見届けてもらいたいだけなら、もっとずっと便利な周回モード、例えばフリーモードのような形を取れば良かった。
周回してもらおうと言うなら、周回する楽しみについてもっと考慮する必要があったはず。
ちょっと残念なんだよな、こういう部分から手抜き感がするのは……
――以上、長い愚痴を失礼しました。
余談だけど、『ぱすてるチャイム』のシリーズとしてはかなり方向転換が著しい本作ですが、個人的には抵抗感はありませんでした。
学園モノがどう、冒険者がどう、育成RPGがどう、ではなく、この世界観を活かしていきたいというのは支持したいというか。
『パステルチャイム』と書き方が変わったのは、微妙に過去シリーズと区分けする意味もあった……のかな?