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tanisigeさんのゴア・スクリーミング・ショウの長文感想

ユーザー
tanisige
ゲーム
ゴア・スクリーミング・ショウ
ブランド
BLACKCyc
得点
85
参照数
1054

一言コメント

みるゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【総評】
グロに定評があるメーカーのゲームなので猟奇・ホラー方面が目立つ一方で
狂気ロリ純愛ゲーとしても評判高い。
度々グロ画像を見せつけてくるユカが恐ろしいと思う反面、何とも言えない引き込まれるような
魅力を否定できない。信号機ヒロイン攻略中はユカは完全に敵役なので憎たらしいはずなのに
それよりもこの子はどういう子なのかという感傷的な気分になる。

そんな不思議な魅力を持つ紫(ユカ)を中心とする狂気ロリゲーと評したいところだが
紫の何がそんなに惹きつけられるのか。
やってることを素直に文章で書いたらどっちかっていうと由規のおっさんに肩入れしたくなるだろう。
そう考えると紫の魅力を引き出しているのはシナリオそのものよりも、みるさんのボイスにあるのではないだろうか。
散々痛めつけられてきたのに銃で撃たれた時のあの苦しそうな声や主人公に否定された時の悲痛な声を聴くと
何とも居たたまれない感じになる。
あの声を聴いてから井戸に閉じ込められた紫の呪詛を思い出すと自分まで閉じ込められたような気がしてくるのだ。
「可哀そうな子に同情するアタシってすてキ」と散々作中で皮肉られているにも関わらず
それでもマンマとハマってしまう程の力がみるボイスにあった。

声だけでなく音楽も名曲揃い。
OPが有名なゲームだが、後半のサビから急激に盛り上がるEDの使い方も秀逸かつ名曲。
EDが良い曲は終わり良ければ全て良し感を醸し出してくれる。
BGMは曲数は少ないが、「望みなき世界の肖像」と「紫~rebirth」の悲しげなメロディはみるボイスと並んで
紫に惹きつけられる要因になった。音の力は偉大だった。

やや残念だったのが紫と主人公の関係はあそこまで執着されるにしては少しアッサリ気味だったこと。
ここにもう少し重点を置くと更にいい作品になったと思うが、あまりやりすぎてセカイ系っぽくしたくなかったのかもしれない。


【幼馴染評】
色んな意味で本作の印象を持っていく紫とゴアの存在感に隠れているが、信号機ヒロインの一角である
あかねちゃんがいることで非常に素晴らしい幼馴染ゲーになっている。
再会系幼馴染として疎遠なところから徐々に仲良くなっていくところもいいし
世話焼きの元気系なところもジメジメしがちな本作では清涼剤となってくれる。
貞島とかいうクズが少し出しゃばりすぎというか、あかねちゃんが若干満更でもないところがムカつくが
紫の天使が鉄槌を下してくれる。