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tanisigeさんのあきゆめくくるの長文感想

ユーザー
tanisige
ゲーム
あきゆめくくる
ブランド
すみっこソフト
得点
80
参照数
504

一言コメント

キスちゃんかわいい

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【総評】
量子力学を使った意欲的なSFエロゲだが
量子力学が分かりにくいせいで必然的にSFとしても分かりにくく
説明役のドゥルキスの台詞を、あ、そっかぁ....て聞いてるだけで終わった感は否めない

話が難解であることはSFとして短所になるとは限らないが
その難しさを読み手が解釈してどのように先のストーリーを予想していくかに
面白さがあるはずだが、何故だかそういう感じにならなかった

その原因の一つは、ある程度世界観が序盤から分かってしまうことにあるかもしれない
このせいで、世界観を探るよりも、下ネタとラブコメという日常の繰り返しに
焦点が行ってしまい、「はるくる」のプロローグが話の大半を占めるような印象があった
勿論、謎のオブジェクトが現れたりとそういう要素が全くないわけではないが
ややメリハリが効いていなかったと思われる

設定的に言うならば量子関係よりも、むしろ「保持者」という遺伝子工学の方が
洗練されて魅力があったように感じる
こっちをメインにした方がもっと面白い話になったんではないだろうか
全体的には面白かったがもっと面白くなる余地はあったと思う

【ヒロイン個別評】
・歩
幼馴染ヒロインだが、どうも幼馴染感が足らない気がする
設定的に主人公との距離を意図的に空けていることもあるだろうが
一番の問題は主人公の呼称が「ちはちは」なことだろうか
主人公のことを愛称で呼ぶのは幼馴染ヒロインとして重要な属性だが
「ちはちは」だと子供の頃からの愛称というより、最近知り合った女友達に
からかう感じでつけられたニックネームという感じがする
そういう意味では、さとりの「ちーくん」の方がよっぽど幼馴染っぽい呼び方だ

・沙織/サトリ
沙織=サトリ説は割と早い段階から頭にはあったが、確信は持てない程度の
絶妙な胡散臭さは良いバランスだった。
主人公が、そんな俗っぽい脅しをするなんてガッカリだみたいなことを言ってたが
確かに、良い意味でのミステリー感が話が進むにつれてなくなったのは残念だった。
とはいえ、基地外キャラから乙女キャラへのギャップ等思ったより良キャラだったのは確かで
Trueヒロインとしての存在感は十分ある。

・キス
設定的にはメインの沙織より面白そうだが、量子論の説明役成分が強すぎて
個別ルートとしては何か消化不良感が否めない
この子も量子論の説明するよりも、保持者としての特殊性に集中すべきだったんだろう
でもかわいい。素材が非常に良いだけに若干不発弾なところがあるが、それでも印象に残る良キャラなのは間違いない。