いろとりどりの真紅
【総評】
メイド。猫耳。巫女。未亡人(?)。ママ。いろとりどりの真紅が見られる真紅ゲー。以上。
で終わらせてもいいのだが、それでは手抜き過ぎるので以下感想をこじつける。
【蒸し返し】
色々未消化のまま終わった感じのあるいろとりどりのセカイの一応の完結編(この後に紅い瞳に映るセカイもあるが)
といっていいのが本作であり、実際に良い感じで締めてくれるが、改めて見返すと
FD・続編・分割ものにありがちな「蒸し返し」の罠にはまっている印象があるのも否めない。
「蒸し返し」とは一度解決した物事を再び問題にすることであるが、本作の粗筋である
真紅とくっつく⇒自らの贖罪を果たすため真紅と別離する⇒再会する、という流れはまんまいろセカの真紅ルートで
一度通った道である。過程や肉付けは大分違うものの、本質的にやっていることは変わらない。
つまり、良くありがちな「蒸し返し」にいろヒカもはまっていると言える。
そして「蒸し返し」というのは大概良い印象を持たれることはない。一度やったことを再び繰り返すなんて
引き延ばしと変わらないからだ。
本質的には以上のように「いろヒカ」は「いろセカ」の蒸し返し作品であり、引き延ばし作品といってもいいのだが
それにも関わらず「いろセカ」から評価を落とさないどころか、エロスケの中央値に見られる通り、評価をむしろ上げているのは驚異的である。
では一体何が「いろヒカ」の評価を上げている要因なのだろうか。
【いろヒカ>いろセカ】
まず挙げられるのは、単純に演出面で優れていたところだろう。いろセカもいろヒカも4人ルートは
はっきりいってあまり出来が良くない。それが真紅ルートを際立たせているともいえるが
いろセカはその真紅ルートもかなり駆け足で強引にまとめた感じはある。
いろヒカはその点、別離から再会までの流れをかなり豪華に演出してくれて終わった後の余韻もひとしおである。
次に挙げられる要因は前作で未消化だった分を補填または補完した為、続編としての役割を果たしていることだ。
前回明かされなかった謎を明かしていくのは続編なりFDなりの重要な役目だ。
そして今作は特に主人公である悠馬もとい「レン」の謎をほぼ解消してくれたといえるだろう。
ただ、もう一つの謎である「図書館」と「羽」については結局最後までぼかされた感はある。
そもそも何で最果ての図書館などというものがあるのか「羽」は何故強制的に人を連れて行くのかという
根幹的な設定についてはあまり詰めずに終わってしまった。本作はそういう詳細を詰めるところに
主眼を置いてないのは何となくわかるが、やや消化不良感が残ったのは否めない。
とはいえ「いろセカ」よりマシになっているのは確かである。
次に挙げられる評価点は、「蒸し返し」の正当性を作中でかなりしつこいが見せてくれたところだろう。
たしかに「いろセカ」において真紅ルートのゴールには一度たどり着いたものの、少々もやっとするのは
藍&真・悠馬組が真紅ルートの生贄のような形になってしまい、その部分のフォローはあまりなく進んだからだ。
それに加えて真紅以外の4人のルートも事実上の「捨てルート」となってしまった。
その部分をかなり徹底的に「いろヒカ」で展開したのはある意味では、蒸し返しを正当化する
理由付けになったといえる。藍も真悠馬も真紅&レン組をフォローするだけの理由付けもなされたことで
「いろセカ」時空の霧はかなりの程度晴れたといえる。とはいえそれだけで完全にもやもや感が解消された
わけではない。しかも、この部分は悠馬組の堂々巡りが展開される為途中でうんざりするところもあったが
そこで霧を晴らしてくる存在が入ってくる。
それは何といっても青空である。ベタだがこれは効いた。多少力押しでも小さい子が頑張る話は強い。
このしつこい「蒸し返し」無限ループの霧を晴らしてくれる最適の逸材だった。
もうこれ以上いうことはない。
真紅は最高だ。これだけははっきりと真実を伝えたかった。