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tanisigeさんのHyper→Highspeed→Geniusの長文感想

ユーザー
tanisige
ゲーム
Hyper→Highspeed→Genius
ブランド
ういんどみる
得点
85
参照数
260

一言コメント

光理ゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【総評】
サブキャラ含めて攻略キャラが10人と異様に多い。
女性キャラをほぼ全員攻略対象にすることで、魅力的なサブキャラが攻略できない問題を
未然に防止しているが、その副作用で一人当たりのシナリオがかなり薄くなってしまっている。
また、作品全体に言えることとして扱っている内容に対して、描写が薄いというか軽い。
例えば、本作は能力者である守護者(ジーニアス)と非能力者である一般人に人類が分かれており
それに伴う差別・紛争等が物語の背景にあるが、実際のところそういう重たい話は冒頭等でちらほら出てくる程度で
十分世界観を描写しきれているとは言い難い。
世界の運命を決める「世界長(聖女)」を巡るシナリオにも関わらず、ストーリーの多くは
ただの学園モノに寄っており、折角設定した世界観が形骸化している印象がある。
一部シナリオ終盤で世界が滅亡したり、ディストピアに陥ったりする展開があるが、そこはほぼダイジェストというか
簡単な粗筋しか出てこない。全体的に、テーマに対して実際に描かれている内容が軽い。
本質的に本作はキャラゲーであり、シナリオはスパイスである。
そして10人もいるヒロインの中でも、圧倒的な萌え度を誇るのが光理である。よって本作は光理ゲー。

【光理】
光理かわいい話を展開する前に、どうしても気になったことが一つ。
光理(=メフィスト)の正体は、聖女アナから記憶等を消して素の状態を模した分身であり
理想の世界を築くためのパートナーに選ばれた久四郎に近づくため
事故によって昏睡状態にあった(本来の)光理だという風に周囲の記憶を捻じ曲げて、現世に降臨した存在である。
作中で説明されたのは上記の通りだが、普通に考えるとこれはおかしい。
妹の光理は昏睡状態にあった為、本来明智久四郎の傍にいない存在であり、久四郎に近づくポジションとして成り代わるには不自然である。
記憶を改ざんするなら、別にわざわざ光理になりかわらなくても、架空の人物にでもなればいいだけで
何故メフィストが光理になったかの説明にならない。
従って、メフィストの肉体は昏睡状態にある光理のものを借りている状態だと仮定して話を進めていたが・・・




一切触れられないまま終わっちまったよ。





そもそも、昏睡状態にある(本来の)光理の事故は、主人公が世界を憎むようになったきっかけでもあり
非常に重要な出来事であるが、この話は最後までほとんど触れられないまま(本来の)光理も放置されたまま終わってしまった。
(昏睡)光理の話は、事実上の続編である女神の終焉で扱うのかもしれないが、それにしてもここまで放置して終わっちゃいかんでしょ。
聖女アナとだけでなく、本来の光理とメフィストが融合して、真の妹ゲーに昇華すると思ってたが(この作品では)そうはならなかったのが一番残念。

でも、光理が可愛いすぎるのでここまで書いてきたことは、実は全部どうでもいい。


【光理かわいい】
ベストオブ澤田なつボイスの一角。可愛すぎぃ!
「にー↑さんっ↓」
「しょーがないなー」
「どーだいっ、にーさん」
「ねぇーっにーさん」
「お~かえり~」
「それほどでもあるよっ」
「ふきふき」
「さてっなんのことやら?」


・・・素晴らしすぎる
公式ジャンルを「明智光理ボイス集」に変えた方がいい。
しかし、勿論声だけではない。
サイドテールの銀髪ロングの容姿。
とぼけた小悪魔的妹。
割とでかい。
常に兄を支える献身的で健気な性格。

全ての要素が聖女と呼ぶにふさわしい。もう光理が最初から聖女で良かったのでは?





光理もメフィストも澤田なつも聖女。これだけははっきりと真実を伝えたかった。