莉音ゲー
【総評】
作品全体のウリとしては、アーコロジーという周囲と隔絶された
自律型の地下都市を舞台とするSFモノと
アーコロジー内から外へと飛び出す戦闘機(飛行機)モノの2本柱だが
全体的には日常描写が多いせいか余りSFとバトルモノがメインという感じはしない
SF作品としてはあまり目立った特徴はないと言える。
【幼馴染評】
SFモノとしては微妙な一方で、幼馴染ゲーとしては
大変優れていると言える。幼馴染ヒロインはあきらと莉音の2人がいるが
ここでは莉音に絞って評価する。
まず莉音と主人公は、親同士が非常に仲が良く家族に近い関係だというのは
典型的な王道幼馴染のパターンであり、少々依存型の幼馴染だというのも
珍しくはない。これだけだとテンプレ王道幼馴染になってしまうが
父親(練二)の死亡と主人公の挫折という2点から、莉音と主人公の間で
「お互い意識してる」が「付き合っていない」という
王道幼馴染特有の絶妙な距離感が保たれている。
この結果、王道幼馴染でなくては展開できない主人公との特別な関係性をテーマとした
王道幼馴染ならではのシナリオを作ることができた、と言えるだろう。
また、王道幼馴染ヒロインのシナリオというのは、スタート時点から仲が良いだけに
そこからどのように関係を発展させていくかが、他のヒロインより難しいのだが
2つの特殊な事情を挟むことで、あまり違和感なく個別ルートに入ってからの
関係進展を描写することができたと評価できる。
莉音自身も依存型で世話焼きだが生活力はあまりないという、危なっかしいキャラに加えて
風音さんの声がとてもマッチしていることもあって、魅力的な幼馴染ヒロインとなっており
本作はとても優れた幼馴染ゲーであると言える。
あきらも決して悪い幼馴染ヒロインではないが、莉音に属性を食われてしまった面は否めない
莉音は最高だ。これだけははっきりと真実を伝えたかった。