紫さん可愛い
【総評】
エロゲでは珍しい(?)超常現象が含まれないミステリー・探偵モノ。
良い意味でエロゲっぽくないが、一方でエロゲとして萌えることも可能な透通るような作画が最大の特徴であり長所。
コテコテの萌えエロゲとは異なるが、ホラー・ミステリー系にありがちな気味の悪い感じでもなく
作品全体の雰囲気を醸し出す良作画だった。「絵画」がキーとなる作品である為
作画がしょぼかったら話そのものが台無しになるところだが、その点はテーマに見合うだけの素晴らしい出来だったと思われる。
そして紫さんが可愛い。虫はちょっと勘弁してほしいが、コオロギとか蝸牛くらいなら多少はね?
【システム】
現場の捜索などを通して証拠品を集めて犯人を探し当てる推理モノということだが
コンセプト自体は良いものの、あまり自由度がなく、フラグ管理や証拠品の判定の分かり辛さというマイナス点で
やや相殺されている感じが否めない。
難易度が高いというのは必ずしも短所というわけではないが、ただめんどくさければ良いと言うわけではない。
難易度が高くても、プレイヤーが能動的に試行錯誤できるだけの自由度があればいいが
そこがあまりないのが辛いところだった。
【ストーリー】
徐々に事件の真相が明らかになっていくミステリーの面白さは十分伝わってくる。
しかし、女学院を中心に主人公の知り合い周りの若い女の子達が次々事件に巻き込まれるのは
次にどの子が死ぬのか油断できないという意味で、ハラハラさせる効果はあるが
一方で、予定調和的に殺しすぎてやや食傷気味な感じは否めない。
前半のシスマ関連は犯人と被害者の関連から、ある程度主人公周りで事件が起こる必然性はあったものの
いきなりトバッチリで和菜さんに飛んでいったり、後半で綴子、透子まで殺していったのは少々やりすぎであった。
過ぎたるは及ばざるがごとしではないが、あまりやりすぎると白けてしまう。
【キャラ評】
・冬子
女子学生にしては鋭すぎる目つきと独特な言い回しが印象的だが
話を進めると本人にはそこまで問題はないことが分かり、その代わりに周辺が地雷だらけという超絶不幸ヒロイン。
冬子自身は非常に魅力的なヒロインではあるが、主人公が何故冬子に惹かれたのかはイマイチ分かり辛かった。
もちろん冬子自身は可愛いので、可愛い子が擦り寄ってきたから好きになって何が悪いといわれたら
そこまでの話だが、主人公が惨殺された婚約者を引きずっており、未解決のままもがいているという状況を
考えると心情的にも不自然感が否めない。
冬子に限ったことではないが、本作は恋愛的な意味での攻略とストーリー的な意味での攻略がほぼ別であり
「ルートがない」のに「エロシーンだけいきなり入る」というあまり嬉しくない仕様になってしまっている。
メインヒロインではない他のキャラなら「エロの水増し」ということで見過ごしてもいいかもしれないが
冬子だけは主人公にとっても特別な存在となるくらいの描写はほしかったところだ。
・綴子
陰鬱な雰囲気が漂う女学院における清涼剤で、話を進めるほど好きになっていったキャラ。
それだけに、あっけなく亡くなったのはかなりの衝撃で
製作側も話の凄惨さを強調する為に、あえて綴子を選んできたという意図はあるだろうが
助手的な動きもできる良いキャラだっただけに、非常に残念。
・紫
本作の真の清涼剤。エロゲの主人公に可愛い妹がいるのはいつものことだが
典型的な萌え妹キャラでもないのに、そこら辺の良くいる妹よりもよほど萌える素晴らしい良妹。
どう考えても呪われているとしか思えない女学院に在籍しているせいで、プレイ中ずっと妹を心配する兄のような気持ちになって仕方がなかったが
バッド直行以外は無事でとりあえず安心というか満足した。
家でずっと和服なのは時代背景を考えても奥ゆかしいが、個人的には制服姿が一番萌える。
紫だけ無事ならもうそれでいいという心情にさせてくれるという意味で、殻ノ少女の真ヒロイン。