Fizzはやれば出来る子。
この作品で注目すべきなのは友里子ルートとかなかルートです。
まず、友里子ルートについて。
近親姦というモラル上の問題に対し、真正面から向き合い
現実的に描いていることは評価に値することかと思われます。
この手の問題の場合、いくらでもご都合主義で締めくくることは簡単だからです。
母親の過去との絡みでは、展開が先読みできるというのはネックではありますが。
次にかなかルートですが、
「不死」をテーマにこちらも真っ向勝負でぶつかっています。
「不死」というテーマは、時折取り上げられることがありますが、
この作品ではその実態、孤独や絶望といった負の面を丁寧に描いています。
作中では、そのような描写を元に人魚伝説とかなかの幼少時代を
うまく組み合わせて話が作られており、謎に迫る面白さという点では、
こちらの方が完成度は高いと言えるかもしれません。
また、仮に「不死の身」となったら、
どのような状況に陥るのかということについても触れられているので、
新鮮さという点でも完成度は一番と言えるかと。
他のルートは粗があるというか、
不完全燃焼といった感じの出来栄えではないでしょうか。
肝心の朝凪ルートはなんと、アクアマリナが実は老人ホームでしたなんてオチで、
びっくりしたというか、ああ、現代情勢を反映しているのだなあと。
エロゲーの設定としては斬新ではありますが。
あと、悪友イチローですが、個人的には許容範囲内ですが、
メリーに対する仕打ち等目障りに思う人はいるかもしれないです。
グラフィックやサウンド等基本要素は概ね良好です。全エンド後おまけもあって、
サービス精神がいいですね。こういう気配りはユーザー的にも嬉しい限りです。
今後の作品ではこの出来栄えを維持してもらいたいものです。
あ、最後に「パルメザンチーズ号殺人事件」はツボった。