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tama1000さんのTiny Dungeon ~BLACK and WHITE~の長文感想

ユーザー
tama1000
ゲーム
Tiny Dungeon ~BLACK and WHITE~
ブランド
Rosebleu
得点
70
参照数
474

一言コメント

まだほんの始まりに過ぎない・・・。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

神族、魔族、竜族、人族が集まる勇者の養成学校。
微妙なパワーバランスのもとに成り立つ学園で、伝説の勇者を目指す主人公が見る世界とは?
って、ヴェルだけかいな。まさかの、いやまさにタイトルが全てを物語っています。
死なば諸共。一度足を踏み入れてしまった以上、しばらく付き合うしかなさそうです。

それはともかく内容ですが、あご先生らしさがよく出ています。
派手さは無いけどなんとなく楽しい感じ。
まず主人公がいいですね。
力関係では最も弱く、歴史的に負い目がある人族出身の主人公。
そんな主人公なのですが、僻むわけでもなく、
実力者と張り合えるようにひたすら努力する姿はかっこいいです。
ヒロインたちが惚れてしまうのもわかります。
モテる理由がわかる主人公ってのはいいものですね。

そしてサブキャラの個性が強烈です。
耳年増なメイドのオペラさん、豪快な学園長トリアさん、小悪魔のアミア、飄々としたデイル・・・
それはもうメインが霞んでしまうくらいのレベル。
そんなキャラを含め、総出でやってくれます日常劇場。
ボケと突っ込み、パロネタや下ネタを混ぜたお約束の連発でサクサク進められます。
また中世風の学園は雰囲気抜群で、その相乗効果は推して知るべし。

そんなこんなでテンポよく話は進むわけですが、最後は失速気味なのが残念です。
学園内外で生じた神族と魔族の確執がきっかけで、一触即発の状態に。
小事が大事を生むという、戦争のセオリーに倣ったシナリオ作りはなかなかです。
がしかし、トリアさん殺害というノートの突然の凶行には「?」が付きまといます。
運命を乗り越え、切り開いていく主人公とヴェルの姿勢に共感されたというノート。
神族の切り札という宿命に怯えるのではなく、打ち破るためにトリアさんを殺した。
とは言いますが・・・ちょっと厳しいですね。
事態は収束に向かっていたので、早計と言わざるを得ません。
切り札という宿命なら、まだまだ見守るだけでよかったでしょう。
なんというか、製作の都合上とりあえず終わらせたかのような感じです。
結果的に神族と魔族の痛み分け。主人公とヴェルの絆を引き立たせることには成功してますが。
なんだかなあ。

ちなみにエロシーンですが、メインヒロイン全員としてます。主人公食えないやつ。
でもこれは一応ヴェルとの未来なので、ヴェルを手厚くして欲しかったです。
本番2回どまりなのはいただけません。他のヒロインの妄想H回せたはずでしょが。。

ではその他についてさくっと。
まずグラフィックですが、複数原画でばらつきがあるものの、概ね良い出来です。
次にサウンドですが、ボーカル曲・BGM共に良いと思います。
OP曲の「blade heart」はなかなかの名曲です。naoさんファンは必聴の一曲。
そしてCVですが見ての通りです。心配要素は皆無のメンバー。
中でも青山さんのメイドは素晴らしいの一言。
ノッてますね~、もうノリノリ。テンション高いメイドを見事に演じ切ってます。
流石としか言いようがありません。
また、演出やシステムも○。戦闘ものとしても十分ありでしょう。

結構面白いのですが、ヴェルだけっていうのがネックですね。
メインヒロイン全員とHできればいいってもんでもないでしょう。
うん、あご先生です。

ともあれ、オペラさんやばいって。耳年増なのに初心なメイドさんに萌えつきた。
単独でFD出したら買っちゃうよ!