皆が皆救われるわけではない。
それを徹底的に貫いた作品。
心傷ついた人が逃げ込む優しさあふれる仮初の世界を舞台にした悲しい物語。
鬱ゲーです。鬱ゲー苦手な人は回避推奨。
またテンポも悪いため、進めるのが少ししんどいです。
正直、うらら・こなつ・このみルートは結構どうでもよかったです。
確かに彼女たちが背負っているものは辛いことに違いありません。
でも、それ以上に現実に戻れば事故で死ぬことがわかっていても、嘘をついてでも、
彼女たちを現実世界へ戻そうとする主人公の姿には心打たれました。
何よりも、うみルートが一番きましたね。
前回来た時に一緒に現実世界へ帰れなかった、救えきれなかった人がいる。
そんな後悔の念を思い出したとき、それがうみだと気付いたときに、
物語は急展開します。
しかし、仮初の世界の管理者であるうみと一緒に現実世界へ帰れるはずもなく。
それでも、自分の死を恐れずに一緒に帰ろうと奔走する主人公、
そして現実世界で生きていてほしいと願い、
自らの力と引き換えに主人公に生きて帰れるようにするうみ・・・。
このどうにかしたいけどできない、でもどうにかしたい。
そのために、自分の出来ることを非情ながらも実行し、
仮初の世界が崩壊する最後の場面ではグッときました。
正にうみゲーです。
ただ、気になることが色々。
校舎とその周りが海に囲まれている仮初の世界、
なぜここにいるのかすぐに疑問に思う気がしないでもないですが。
あと、うみは管理者ですが、彼女の本来の正体とは?杏奈先生って何者?
にしても、うみのエロシーンが一回というのは残念無念・・・
杏奈先生のシーンもほしかったところです。。
シナリオ以外の要素、とにかくグラフィックは良く出来ていますね。
水軍氏はやっぱりいいです。
サウンドは普通です。CVは言うまでもなく。
システムや演出も最低限そろっています。
粗はありますが、処女作としては上出来でしょう。