スタート地点は他のゲームじゃエピローグ。無茶な設定ながらもしっかりまとまった良作
sultanは「イスラム教君主」等の意味の他に、「暴君」という意味も有るらしい。この作品のタイトルだと前者が相応しそう。
ピアナ、シーリーン、ロッタ、フェレース、セラクルカ、ハーレムルートの順で攻略。おかげで無駄な考察もしてしまいましたorz
ピアナルートは中途退場ルートでした。あえかなる世界の終わりにの千冬ルートのような極端なものではありませんが、BADエンドを含む他のルートの共通シーンが残っている時点でエンディングに至ってしまいます。ただ、だからといって悪いルートでもありませんでした。最初にプレイするにはぴったりなルートではないかと思いました。
このルートの長所として、主人公のレクスが王としての適正が高い思考をするという事が挙げられると思います。性格的に戦時には生き延びられるタイプではありませんが、ピアナルートで見せていた利他的な思考、引けない所では引かないという強さは王として優れた資質であると思います。ただし、彼はまだ子供で経験が少ないせいで作中では動いてから判断をしています。そのせいで優柔不断なところが前面に出てしまいヘタレな印象が強くなってしまっていますが、彼が大人になった頃には経験により行動する前に判断できるようになるでしょうから、極端な変化の少ない平和な時代だったら良い王になれるだけの才能が有るのではないかと思います。作中は戦乱の時代ですからそんな世界の王として必要な力はまた別でしょうが。
シーリーンルートではテーマであろうQOLと夫婦の話よりも別の所に目が行ってしまっていました。
政略結婚させられた筈なのにシーリーンが子供を産めず明日をも知れない命というのは納得いきませんでした。
国王が王位継承者第一候補と政略結婚させる相手の素性を全く知らないというのはおかしいでしょう。どこまで詳細かはともかく少なからず調べて知っているでしょう。その上でどんな意図で国王がこの政略結婚を成立させたのか考えてみました。
可能性その1. 自分が後継者問題で困ったから、同じような事にならないよう一夫多妻制にする為の駒かも。レクスに世継ぎが生まれないと問題だから側室を設けるようにするという言い訳としてはこれ以上無いパターンでしょうから。(ただし、これは後にプレイしたセラクルカルート等で一夫多妻制だと明言されていましたがorz)
可能性その2. 他に考えられるとしたら、レクスの次の代の王位継承問題をシンプルにする為というくらいか。レクスの子供をロッタが暗殺させるというような事態に陥る可能性を排したとしたら、巧い手だと思います。
シーリーンルートのエピローグはかなり好きです。綺麗な終わり方をすると見せかけて、あえてそれを外したのが良かったです。
フェレースルートは一番好きなルートでした。人間ドラマも設定もしっかりしていてほんのり切ない。私の好きな話のど真ん中でした。
フェレースルートのラストは他の選択肢が無かったのか悩みます。
もし肩を撃つという選択をしても反対の手でロッタを殺される。銃弾が1発だからその場で殺せなくなったという言い訳も、ロッタの仇として改めて武器を手に入れてから復讐するという先延ばしにしかならないでしょうから。
そうなると、もう一つの選択肢としてはロッタまで殺されてもフェレースを愛しぬく事。ただ、これはフェレースがどれだけ周りを殺しても無駄だと知るまでレクスの周りが殺され続ける事になるでしょうし、その途中でフェレースが捕まる可能性も有ります。そして、フェレースはずっと罪の意識に苛まれるでしょう。
結局、レクスのとった選択肢が最善だったのかも。
ただ、額を撃つのはどうかと思います。火縄銃に毛の生えたような時代の短銃とはいえ、宰相の持っていた銃なら質は良いでしょうから撃ち抜けない可能性は低いでしょうが(頭蓋骨は硬いし丸みが有るので下手な銃だと貫けないらしい)、頭を吹っ飛ばされるのを目の前で見るロッタはトラウマを持ちかねないと思います(^^; 狙うなら心臓にするべきだったと思います。
セラクルカルートはメインヒロインらしくキャラもシナリオも力が入っていたと思います。ただ、ラストで力を抜いてしまって単純な終わり方になってしまって残念でした。特に出来の良かったフェレースルートの後でプレイしたせいで余計にそう感じてしまったのかもしれませんが。
ロッタルートをプレイして思ったのが、NYAON&くすくすコンビはホモネタが好きなのかという事。 Dear My Friendにも司ルートが有りましたが、どちらもシナリオに妙に気合が入っている気がするのですが(^^; そして、イラストの画風もそれにしっかり合っていますし。色んな意味でNYAON&くすくすコンビはベストパートナーだと思います。
最強コンビとしては竹箒の二人とか、丸戸&ねこにゃんといった有名コンビもいますが、彼らは互いの作品のレベルに合う実力が有るというだけで、仮に同レベルの別の作家と組んでいたらそちらとのコンビを思い浮かべていたでしょう。
それに対し、NYAON 氏のまったりした悪人の殆どいない作風とくすくす氏の暖かい絵は互いのイメージを相乗しあう相性の良いコンビだと思います。そして、これが特にしっかり表れているのが前述のホモルートです。性格的にもイラスト的にも「こいつならホモでも仕方ない」と思わせるような説得力が有ると思えてしまうのです(^^;
NYAON&くすくすコンビの新たな作品に期待します。