主に追加シナリオの感想です。終わったと思ったらまだ続く...の連続でとても楽しませて頂きました。夢かめを好きな私にとって間違いなく100点の作品です。この作品を作ってくれた作者の方に本当に感謝。
本当にあなたとわたしがプレイした「夢を確かめる」は同じものだったのだろうか。
そう思わざるを得ない。
※士戸先生がツイートしていらした「一葉さんチェッカー」に、
「もう遊んでいない要素はないようです」と言われていない方は、この先めちゃくちゃネタバレになりますのでお気を付けください。
シナリオの感想の前に、まず、システムがものすごく使いやすくなっていてびっくりしました。
本編でセーブ&ロードはほぼ必要ないとは言え、セーブできる数も増えてとても快適に進めることができました。
タイトル画面も凝っててすごくいい!
追加シナリオは、全体的に「夢を確かめる」本編をどのようにプレイしてきたか、で進め方が変わってくるように思う。
本編が合わなかった人は、「終末のスノウ・レポート」の時点で、なんだこれはと、プレイを辞めてしまうかもしれない。
case01が終わったころには、これはどういう話なんだと読み進める手を止めるかもしれない。
でも、私は夢かめ本編が大好きなので、貪欲に、ひたすらに、「プロトタイプ・サンシロー」をクリックし続けました。
だけどこのあたりからもう様子がおかしい。
だって、セーブ・ロードをうまく使わないと、「プロトタイプ・サンシロー」の続きがとてつもなく読みづらいから。というか一回追加要素一覧の画面から離れると急に迷子になってしまう。
数種類あるタイトル画面から「プロトタイプ・サンシロー」にたどりつくことはだいぶ難しい。
菜乃が持っているチョコレートをクリックすることでしかおまけシナリオにたどりつけない上に、case01が終わるころには自分がどのタイトル画面から追加シナリオに入ったか全く思い出せなくなっていた。
幸い、セーブをしていたのでそこから読み進め、追加要素一覧まで戻ることは出来たのだが、case05くらいまでタイトル画面のからくりには気づけませんでした・・・。
このからくりに気づいたとき、素直にやられた~!となったし、気づけてすっきり。
この作品のテーマの一つであると感じたのは「順番」。
ものを食べる順番、ゲームを攻略する順番、誰かになにかを伝えるときの順番・・・。
すべてが同じ内容だったとしても、順番が変わってくるだけで、相手からの印象や自分の受ける幸福具合であったりダメージが変わってくるのは当然のこと。
好きなものは最後に食べるタイプだ。同じく、メインヒロインは最後に攻略するし、バッドエンドは最初に見ておいて後味が悪くないようにする。
でも、私が「最後」だと思っていたところに、かなえからの手紙が来るんですよ。
ああすっきり終わった!そういうことだったのか!となっているところに、あの手紙。あのメモ。
あれはさあ、ズルいよ。ここまでやってきた私が、それを「確かめ」ないわけ、ないじゃん。
この世界のある意味核であったかなえが退場する。
「どんな結果になろうとも、私はあなたを支えたいです。」と言ったかなえに、
「またお会いしましょう」と言われてしまい、
あんな見本を見せられたら。
私の見てきた現実って、いったいなんだったんだろうかという疑問が拭えない。
魔性の・・・小悪魔みたいな?計算高く、利己的で、恐ろしいほど可愛く微笑むかなえちゃんのこと、
でも嫌いにはなれなかったんですよね。
私は彼女の掌の上で踊らされていたんだなぁと、悔しいけど、かなえちゃんならいいかと思ってしまう。
case08で流れるエンディングもめちゃめちゃにいい。
ボーカルの方の中毒性のある声が凄くいいし、
この曲、ライターの方が作詞したわけではなく、歌手さんがゲームの内容から汲み取って書いたというのが凄い。
プロトタイプ・サンシローの世界観をここまでぴったり表現できているの、本当に凄いな~となりました。
最初の「ダイヤルをまわす、またやり直す、少しずつでも先に進んでいく」って歌詞は、まさしく私たちプレイヤー(サンシロー)のことでドキッとしました。
かといってもちろんcase10が嫌いなわけではなく。
むしろあのラスト。
のぞみの名前すら知らないサンシロー。それでも自分の道を笑顔で歩くのぞみ。
「出会わなかった」からこそ、純粋な笑顔で幸せに生きていけるのぞみを思うと、切ないけどすごくきれいなラストだと思いました。
それはたまえにも言えることで、サンシローと恋仲になることはなく、そのせいで死を選ぶこともなく。なんと単行本は発売されるのだ。こんなにきれいなラストはここしかない。
この横断歩道で流れるBGMが明るくポップな雰囲気なのに、何度かプレイすると涙を誘われるようになりました。
そしてエンディングのとてつもなく可愛いのぞみちゃん。ずるーい!可愛すぎる。とめきちさんの書下ろしのぞみちゃん・・・。
そして一番この物語を読んで良かったと感じたのは、
たまえ先生の、
「制作側の意図など放っておくことだよ。だって、どんな背景があろうとも、サンシローくんの網膜に映っている、この字面がこうやって生じているんだからね」
という台詞。
私は頭もよくないし、語彙力もなく、そもそも「考察をする」ということを最初から諦めています。自分に自信もないので。
だから、他人の考察やネタバレを読みいちばんしっくりきたものを自分の中に落とし込んで、そうだったのか!面白い!と納得するのが、わたしの楽しみ方でした。
でも、たまえ先生のこの言葉を聞いて、そんな私が最初に感じた気持ちとか、こうなのではないか?という考えというのは、私にとっては当たり前の、正しくて、偽りのない、真実で、現実でいいんだなと、思わせてくれました。
それが制作側の意図と多少異なっていても、私はこうやって感じたよと胸を張って発言してもいいのだなと、勇気をもらえました。
だから、考察とかそういうことは得意な方に任せて、私はただただこの物語すべてを好きだと言わせてください。
夢かめが好き!プロトタイプ・サンシローも、終末のスノウ・レポートも、最後に抹茶アイスクリームも、最後の最後の隠しシナリオも、全部好きです。
隠し要素で一番難しかったアレ。打ち上げの話。これも本当に大好きです。
ノベルゲーム、というか、物語を読むことが好きな私にとって、この話は感無量です。感動以外の言葉で表せない。
追加シナリオに出てこなかった6人にこんなところで会えるなんて、ちょっぴり泣いてしまいました。
本編を感じさせる雰囲気がとても懐かしく、なんか同窓会に来たような感じ。
夢かめ本編のヒロインはどうしたってちえりなのかもしれないけれど、
私にとって「夢を確かめる」のヒロインは、改めてこの3人というイメージが強く、本当にみんなのことが大好きだと再確認できました。
追加シナリオでぼかされていたところが小説で明らかになりそうなので、ドキドキワクワクです。
まだまだ夢かめの世界は続くとのことなので、これからの楽しみが増えました。