ギメル最高
最高!!!! でもエウリュアレは蛇足of蛇足!!!!!!!!
エウリュアレ以外最高だったけどエウリュアレが凄い邪魔。ギメルがラスボスじゃ駄目だったんですかね……。
何が最高だったかと言うと、まずはペガサス組のメンバー。この手の作品っていかに主人公含む仲間を魅力的に書いて好きになってもらうかだと思うんですけど、そこをキッチリとクリアしてくれたのでそれだけでもうこの作品に合格点をあげられる。ペガサス組の絆が終始シナリオの中核にあったのが良かった。ここが駄目だとこの作品のテーマが一気に瓦解しちゃうし。
……正直アリアンナだけは、エウリュアレの蛇足に巻き込まれて要らない一面が出ちゃってたけど……。まあ、アリアンナあってのペガサス組であるという点は崩れてないからヨシ。
特に好きなキャラ
・ヴェオ
・マークス
・ノア
・メア
・ベルカ
・ギメル(あの二人含む)
序盤の方はぶっちゃけツッコミどころも多かったんですけど、主に落ちこぼれクラスとか落ちこぼれクラスとか落ちこぼれクラスとか……お前らのどこが落ちこぼれだ……! 入試試験一位と二位がいるクラスを落ちこぼれクラスとは呼ばんやろ。どこをどう見て落ちこぼれクラスと判断したんやお前ら。というか学園長はせめてペガサス組を作るにあたって何かしら名目とか考えてやれよお告げの一点張りじゃなくて。仮にも教育者だろ。
いやわかるよ? 諸々の特権を有するのはダイヤ組だけにすることで主人公からその特権を奪って序盤の話作りに貢献したり、落ちこぼれと見下されてたやつらが蓋を開けてみれば凄い奴らで周りを見返すみたいな流れを作ったり、やりたいことはわかるんですよ。でもヤバくないですか? 入試試験成績一位と二位と史上二人目のダイヤと第四王子のいるクラスを落ちこぼれ呼ばわりする同級生たち。これは意志が石になるのも納得の我の強さですよ。いやおかしいだろ。
というか石の貴賤でクラスを決めてるわけでもなく、でもダイヤ組のカーラより入試成績が上のベルカが本来ダイヤ組ではなかったってマジで何がクラス分けの基準だったんだ(やはり裏金なんですかねえ)。総合的に色々判断したとか何とかまあそんな感じなんだろうとは思うけれど。
ペガサス組の集合CG好き。最初は皆バラバラの方向を向いているところから、みんなで同じ方向を向くようになるのが最高。
序盤の山場であるメデューサ学園襲来からのシャーロット先生の退場。退場前に、先生に教師らしい話があと一つは欲しかったかな…。退場後になってペガサス組にとって先生は大きな存在だったみたいに語られても、教師らしいエピソードがヴェオを学園に誘ったくらいしかないからあんまり感情移入できない。いつお前らの中で先生の存在がそんなに大きくなったんだ? みたいに思ってしまう。まあ退場シーンだけでも十分印象には残るけれど。
中盤から終盤にかけては、もうほんとペガサス組をどんどん好きになっていくターンがずっと続いていましたね。「たまたま同じクラスになっただけで仲良いとかは別に…全然ないです…」なスタートから「全員そろってペガサス組です!」なゴールまでよく辿り着いたもんだよ。ペガサス組が絆を育んでいくっていう過程が常に物語の中核にあって、その軸がブレずに種族差別等の作中テーマに繋がっているのが凄く良かったと思う。
特に好きなキャラはヴェオとマークス。というかこの二人は場合によっては本来の主人公であるソーマ以上に主人公してた。マークスは作中で一番成長したキャラだったし、ヴェオなんか主人公っぽい役割をちょいちょい貰ってたし。特にギメル戦の最後なんかもう完全に主人公のそれだった。先生の形見をみんなから受け取ってラスボスと最後のタイマンを張るの、主人公じゃなかったらなんなんだ。
女の子はメアが好き。救出劇良かったので。ペガサス組って、ぶっちゃけみんな成長型主人公みたいな側面があったけど、メアだけは一から十までヒロインしてたように思える。「恐れを無くし、一歩前へと進むためにまずは知ることから始めよう」っていう作中一貫してたテーマを体現しているキャラでもあったし、色々と美味しいポジションだった。ただ四ヒロインの中で唯一、ソーマとくっつくにあたって何の障害もない女の子だからか他三人より告白シーン少ないのはちょっと不満かな。不満というか、メアも何か欲しかった。
ペガサス組以外だとノアちゃんが特に好き。作中の世界観自体が抱えている問題に対して曖昧に誤魔化すのではなく、ちゃんとした解答を用意した演説シーンで一気にノアちゃん好きになった。
あとはマスターも好き。甘いソーマくんの師匠なのでマスターもなんだかんだ甘いところ好き。正体に関してはビックリしたようなそうでもないような…(正直唐突だったのは否めない)。“バッドエンドでソーマを学園内から撃つ”、“ソーマの通信を聞いてすぐに学園へ手紙を出す”と言った風に伏線自体は貼ってあったけど、ほぼそれだけだったし。まあ、スパイとしてはソーマより遥かに優秀だろうからそれだけ完璧に正体を隠していたんだなと納得はできるけど。
それよりは、「隕石」と「金」っていう特別な石(宝石とは言いにくい石)をあの二人が目覚めさせてるのは理解できるんだけど、マスターもマスターで銀っていうこれまた宝石とは呼びにくい石を発現させてるの何なんだあんた。なんで黄金と対を成す銀を目覚めさせてるんだあんた。ってことの方が気になる(対吸血鬼組織のトップ同士だからか?)。
あとは語るに外せないのは例のどんでん返しのシーンですよね。あそこでこれまでの伏線が一気に回収されて、作品への評価もグンと伸びたと思うし、何よりあのCG、正直ちょっと自分も「きもちわる…」と思ってしまったので(これまで人間と思っていた奴らが、実は違う生き物で人間には理解できない食事行為を取っていたことが判明したことから来る生理的嫌悪感)、種族間にある意識の差の問題は根深いんだなと強く実感できた。
終盤はギメル戦がとにかく良かった。最高だった。途中までは正直「これlightで見たことあるな……」って既知感を覚えるようなバトルだったんですけど、χの真実が明かされてからは一気に跳ねた。ギメルかっこよすぎる。かっこよすぎただけに……
ラスボス、どうしてお前じゃなくてあの変な蛇なんだ……エウリュアレがラスボスなの、文字通り”蛇足”でしょ。
ギメル戦までは疑いようもなく最高だっただけに、それ以降の(ハッキリ言って不要な)展開で大幅にテンションが下がったのがどうしても評価に響いてしまう。
百歩譲って黒幕を登場させるのは良いとしても、そこは無難にアストゥリオスか、せめて主人公のソーマと因縁のあるパラスにするとか……なぜよりによって三鉱脈の中で一番地味だったエウリュアレを選んだんだ。因縁もなければ描写も大して存在しない、これまで姿を一切見せてこなかった奴が黒幕として登場しても盛り上がりに欠けるんですよね…。伏線は貼ってあったとはいえ、地味だし…。吸血鬼の時みたいなどんでん返しがあるわけでもないし…。ケイトに関連する部分、全部抜いても物語は成立しませんか?
あと何より駄目だなと思ったのが、エウリュアレそのものよりも、エウリュアレとの戦いから発生したアリアンナのデウス・エクス・マキナ化の方だと思う。何となく十倍強くしましたってなんだよ…唐突な何でもありは萎える。
エウリュアレ戦の途中で、アリアンナが世界中の吸血鬼から人間への吸血衝動を消去しましたけど…あれ一番やっちゃ駄目な展開でしょ…。ノアちゃんが理想に向けて一歩ずつ前に進んでいきましょう、って世界中に訴えたのにそれを最後になっていきなり「一歩ずつとかまだるっこしいんで一気に進めました!」ってじゃあノアちゃんの犠牲は何だったんだよ。何のためにノアちゃんは命を賭けたんだよ…と凄く釈然としない気持ちに陥ってしまう。そりゃ何事も理想通りにいかないからこそノアちゃんはあんなことになったわけだし、我慢できず吸血鬼が人間を襲っちゃうこともあるかもしれないけれど、それでもさ…。恐れずに言わせてもらうと、茶番になっちゃってないか。
五百年前にアストゥリオスが似たようなことやってるとはいえ、だからってそれをやってしまったらテーマ性が台無しになってしまってる気がする。過去の過ちを知っていくことで皆で少しずつ変わっていこうってテーマを一貫してくれた方が好感は遥かに高かったし、ギメルの「全ての吸血鬼が罪業を受け止めない限り俺は奴らを認めない」って台詞的にもそっちの方が綺麗に纏まってたんじゃないかなと思う。罪業を受け止めるのではなく、罪業を無くしちゃう方向に舵をきっちゃったの…なぜぇ…。
アリアンナの見せた都合の良い世界(ゆめ)を否定して進んだ果てが、アリアンナの造った都合の良い世界なのは、ほんとに…色々と腑に落ちない。
ギメル戦が最高だっただけにそこで終わってくれていれば褒めちぎれたと思うけれど、最後で画竜点睛を欠いたなと感じてしまったのが凄く残念。
とは言え、それまでの物語の構成はよくできてたし、最後以外凄く楽しめたのは事実。
・ヴェオvsマークス
・vsギメル
・メア救出
・ノア演説
・etc
お気に入りの場面も幾つもあるし、最後に少し評価が下がったと言ってもお勧めできる作品であることに変わりはないと思います。
うーん…でも手放しで褒めたかった…。